この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
タ「そうだった・・・グレンは火山で無くなったんだね・・・。」
グレン島は火山島だったため一部地域が火山地区と認定されており立ち入りが禁止されていた。しかし、それ以外では小さな店やポケモンセンター、廃墟マニアには有名だった屋敷等
他の町と同等、若しくはそれ以上の活気があった。しかし、数年前突如火山が噴火。幸い負傷者や死者は出なかったもののすべてを焼き尽くしてしまい暫くは上陸はおろか周りに近づくことも出来ないほどだった。
最近になり噴火は収まり火山活動も終息に向かって行き安全が確認されたためポケモンセンターだけは周りを泳ぐ人の為に設置された。
ちなみにふたご島には以前はグレン島にあったジムが移設されておりそのため活気があったと思われる。
レガ『ここで人と待ち合わせ?』
タ「うーん・・・そうなんだけどなぁ・・・ポケモンセンターの中かな?」
ポケモンセンターへと向かってみるが、商店はもちろん居住禁止区域が広いため民家もない。ポケモンセンターしかこの島には今はないようだ。
暫く何もない平野を歩いていると一つの赤い屋根が見えてきた。タツミはポケモンセンターへと入りリュウセイを探す。ポケモンセンターの中は外は打って変わって数人のトレーナーがおり島の
中では唯一の人がいる場所のようだ。
タ「えーっと・・・リュウセイは・・・いたわ・・・。相変わらず早いな。」
リュ「おっ、タツミ!久しぶりやなぁ~。待ちくたびれたわ・・・。」
タ「ははは・・・ごめんごめん。それで話ってなんだ?」
リュ「そうそう話っていうのはな・・・ちょっとカイリューしまってくれないかな?恐らくそいつあいつの事嫌いだろ?あとあんまり他のポケモンとかに聞かれるのは・・・。」
タ「よくわかったな。そういう事だからレガ、ちょっとの間だけボールに入っておいて。」
レガ『・・・・ボールに入っていても外の声聞こえるからこのまま出ておくよ。なんか嫌な予感もするし・・・。』
タ「そうなの?リュウセイそういう事なんだが大丈夫か?」
リュ「そうだったの・・・俺知らなかった・・・。ったく、教えてくれてもいいじゃんかよー。」
そういいながらリュウセイは手持ちのポケモンのボールをつつく。中から反発しているのかボールは小刻みに揺れていた。
タ「それで話ってなんだ?」
リュ「実はショウの事なんだがな・・・どうも最近様子がおかしいんだ。」
タ「様子がおかしい?つまりどういう事?」
リュ「あいつがリザードンになったのは知っているよな?前まで会ったときは普通に何時ものあいつだったんだが・・・この前会った時はいきなり威嚇されたり攻撃を仕掛けられそうになったんだよ・・・。」
タ「もしかして人違いとかじゃないのか?ほら最近は野生のポケモンとかも多いし・・・。」
リュ「いや・・・あいつの腕にリストバンドしているだろ?まさにそれだったからあいつで間違いないと思う。」
レガ『もしかしてポケモンの本能…つまり人間としての理性が無くなりかけているのではないのかな?』
タ「つまり・・・・。」
リュ「あいつはあいつじゃなくなると言う事か・・・。いや、厳密にいうと人間だった時の記憶が無くなるってことか・・・?確かにあいつはもう容姿は人間ではなくなったが・・・。」
タ「うーん・・・それでその後はどうなったんだ?」
リュ「ああ、あの時はそのあとはっとしたような表情でいつものあいつに戻ったよ。でもな、今は連絡付かないし・・・もしかして持っていた携帯壊してるんじゃないかって思って・・。」
タ「うーん・・・・。難しい問題だな・・。携帯が壊れたかどうかは定かではないが前本で見た時は時間が経つにつれて記憶が薄れていき最終的には初めからその姿だったっと思い込むようになり
人間としての理性・記憶が無くなったって感じの本は見たことある・・・もしかして・・・。でも僕らがどうにか出来る問題とも限らない・・・。」
リュ「そういえばあいつ一回理性失っていたな。ロケット団とかから。」
タ「確かに言ってたな。その副作用?」
リュ「わからんなぁー。ますますわからない・・・。」
タ「まぁそんなに考えても事が解決するとは限らないんだから・・・。今はショウを見つけることが優先と思うよ・・・。でももしかしたら・・・。いやなんでもない。」
リュ「そうだよなぁ・・。それでタツミの意見を聞きたかったんだよ。とりあえず俺はもうちょっとあいつを探してみるよ。ありがとな。」
タ「これくらいどうってことないよ。また連絡してよ。」
リュウセイはやや小走りにポケモンセンターを出ていった。
タ「?なんか急用でも思い出したんかな?それよりもレガ出ていたけど大丈夫だった?」
レガ『?えっ?何が?」
タ「いや、レガってショウの事好きじゃないだろ・・・?だから嫌いな人の事で相談していたの聞いていて嫌な気分になったかなーって思って。」
レガ『あいつはとにかく嫌いだけど大丈夫。話を聞くだけなら別に大丈夫だよ。それよりもスパイアの方が心配かな?』
タ「あっ・・・スパイアかぁ・・・。結構落ち込んでたみたいだけどね・・・。」
レガ『まぁタツミが気にするような事じゃないと思うよ。』
ス『・・・・・・・・・。』
タ「あの・・・・スパイア・・・・。」
ス『・・・・何?』
タ「いえ・・なんでもありません・・・・。」
ク『スパイアってあんなキャラだったか?』
レガ『僕は詳しいことは知らないけどあの姿って・・。』
ル『どうも、メガ進化ってやつをしてしまったようです。でもバトルが終わると元に戻るって聞いてはいたんですけどね。』
フ『タツミの方は大丈夫?』
タ「えっ?・・・・あ~僕の方はご覧のとおり大丈夫だよ。」
レス『・・・・・?』
タ「レスタにはまだ難しいか・・・レスタはボールの中に入っておいて。」
タツミ達はグレン島の火山公園に来ていた。ここは火山が噴火した時の町の真ん中の位置に作られた公園で一応トイレやベンチと言った公園に必要なものは揃っているいわばグレンの新しい仮の観光施設である。
タ「とりあえず、ここで夕食にしようか。ポケモンセンターとかはダメだったから・・・。」
ク『それもそうだね!食べよう食べよう!』
レガ『クラウンはまったく・・・。』
ス『・・・・・・・・・・。』
タ「(スパイア・・・何か怒っているのかな?)」
フ『タツミー、早く食べよー。』
タ「ああはいはい。」
食べているときも終始スパイアだけは無言だった。流石にこの雰囲気は耐えきれなかったようで
ク『スパイア!何さっきから黙ったままなんだよ!かなり調子狂うでしょ!』
ス『・・・・だから?』
ク『いや・・・その・・・何時ものスパイアってそんなんじゃなかったなって思って・・・・はい。』
ス『はぁ~・・・。黙っていても良いでしょ?何?喋っておかないといけないって法則でもあるの?』
レガ『・・・・・・スパイア、お前ちょっと頭冷やせ。何時ものお前らしくない。』
タ「あー、はいはい。喧嘩はそこまで。スパイアもたまには静かに過ごしたい時もあるんだよ。気分ってものがあるでしょ。」
ク『タツミ・・・・。』
ス『・・・・さい・・。』
タ「えっ?」
ス『うるさい!何時もそうやって偽善者ぶるのもいい加減にしろ!!もう目障りなんだよ!!俺はもうお前の命令では戦わないし一緒にもいないからな!・・・ここでお別れだ。もう二度と会うことはないだろう!!』
そう言い残すとスパイアは空へと飛び上がって行った。
タ「・・・・・。」
レガ『タツミ・・・・。あいつ・・・少しは分からせないとダメか・・・・。』
スパイアの後を追うようにレガも空へと飛び上がって行った。
ク『タツミ・・・・そんなに気を落とさないで・・・・。あいつも本気で言ったわけでは・・・・。』
タ「・・・・・・。」
タツミは無言で走り出した。その横顔は悲しそうな顔をしており今にも泣きそうな感じだった。
フ『タツミ・・・・・。』
ク『スパイアの奴・・・帰ってきたらただじゃおかねぇ・・・・。フィーロ!行くぞ!ルビアはレスタを頼む!』
ル『了解!』
タツミの後を追うようにクラウンとフィーロは駆けて行った。
一方その頃空の上では・・・
レガ『スパイア!ちょっと待てよ!』
ス『・・・・・・・。』
レガがスパイアに呼びかけるがスパイアはまったく応じようとしない。
レガ『仕方ない・・前に回り込むか・・・。』
レガはやや速度を上げスパイアの前に割り込み正面に立ちはだかった。
ス『・・・・どけよ・・・。邪魔なんだよ。』
レガ『お前なんかあれからおかしいぞ。一体何がお前をそこまでさせているんだよ、あとお前タツミの事どうするつもりだ?悲しそうな顔してたぞ。』
ス『うるさい・・・お前なんかにわかってたまるか・・・。タツミ?あんな奴もう知らねぇよ。弱い癖にずっと命令してきてもういい加減にしてほしいんだよ。異世界から来たとか変な事言ってたがな・・・あれも嘘じゃねぇのか?
俺としてはあいつは信用できない。まっはなっから信用していたわけじゃないけどな、ははは!あんな奴早く消えればいいのにな。』
レガ『お前・・・最低だな。今のお前とヒトカゲの頃のお前とでは断然ヒトカゲのころが良かったな。』
ス『・・!何を言うかと思えば・・・。俺はもうあいつの言いなりにならないし戻るつもりもない。じゃあな・・・・・・・・・どうしてもどかないつもりか?』
レガ『お前・・・前言撤回しろ!!タツミの事を馬鹿にして・・・お前今までタツミに色々と迷惑かけてきただろ!!少しは感謝の気持ちもないのかよ!!』
ス『ちっ・・・うるせぇな・・・。何だったらお前のこと倒してから先に進むとする。進化したばっかりでろくに飛ぶことも出来ないへなちょこカイリューなんかすぐ終わりだ。』
レガ『言いたい放題言いやがって・・・。少しは分からせてやるよ!!!』
その頃地上では・・・
ク『タツミー!!ちょっと待ってよー!』
クラウンとフィーロがタツミを追いかけている最中だった。しかし、総面積が広くないこの島ではすぐに海にたどり着いてしまい逃げようにも逃げれない状況になった。
タ「スパイア・・・・・。」
ク『タツミ・・・・。心配しないで。』
フ『そうだよ、あれは本心で言った事じゃないと思うからそんなに落ち込まないで・・・・ね?』
タ「うん・・・・。でも、流石に今回は堪えたよ・・・。でもなんで・・・スパイア・・・。」
ク『(うーん・・・どうもあのメガ進化してからおかしくなったな・・・。もしかして・・・。)フィーロ!ちょっと背中に乗せて!』
フ『えっ?』
ク『良いから早く!』
フ『わかった!!』
タ「フィーロ!僕も乗せて!直接スパイアと話してみるから!」
フ『うん!!』
レガ『はぁ・・・はぁ・・・・。おかしい・・・スパイアはこんなに強くなかったはず・・・。おっと!』
ス『よそ見しているとすぐぶっ倒れてしまうぜー!もうちょっと張りが合って長く楽しめるかと思ったが・・・楽しくねぇな。さっさと終わらせて先に進むか・・・。これで終わりだ!!!』
レガ『・・・ちっ・・・このままではスパイアに負けてしまう・・・一体どうすれば・・・。』
タ「レガ!!スパイア」
レガ『!?タツミ!もう大丈夫なのか?』
タ「大丈夫だ、問題ない。」
ク『おいおい・・・。それよりもスパイア・・・。」
ス『ちっ・・・腹が立つなぁ・・・寄りにもよってお前らが来るとはな・・・。もう少しでこいつを落とすことが出来たのによ!』
タ「フィーロ、もうちょっとスパイアに近づいて。スパイア!!お前を元に戻す!いいな!!」
ス『はぁ?戻すって何を?馬鹿ッじゃねーの?お前らも一緒にくたばれぇぇぇ!!』
タ「今だ!」
スパイアが技を出した瞬間を狙いタツミはフィーロの背中からスパイアへ飛び立った。スパイアは技を出している間はその場から動かないという特徴をタツミは知っていたのだ。
レガ『!?』
フ『タツミ!!うわ!!』
ク『くっ・・・これじゃあ間に合わない・!』
タ「熱!!・・・けれどあれさえ取れれば・・・・。」
タツミは精一杯腕を伸ばしスパイアの首元にかかっていたスカーフに手を伸ばした。そう、スカーフにはメガストーンが付いている。それを取ろうとしたのだ。
ス『おま・・・!』
タ「スパイア!!元に戻れーーーー!!!」
タツミはスカーフをそのまま力いっぱい引っ張った。
ブチっ
スカーフに巻き付けてあったメガストーンが落ちていく。それと共にタツミも落ちていく。
メガストーンが体から離れたことによりスパイアはまた何時もの姿に戻っていった。
タ「やっぱりか・・・まっ・・・これで良かったんだ・・。」
フ『タツミ!!!』
レガ『タツミ!!』
ス『・・・・あれ?僕今まで何して・・・・?』
スパイアはふと下を見た。するとそこには石と共に落ちていくタツミの姿があった。下は海、しかしこの高さから落ちると重症若しくは死ぬ恐れがある。スパイアはすぐに下降しタツミへと向かっていった。
タ「あー・・・・もう目の前が滲んできたわー・・・。これで僕の人生も終わりか・・・まぁ最後に救えたからイイか・・・。」
そう思いタツミはそっと目を閉じた。
ドサッ
タ「ん?」
タツミは何かに落ちた感触を受けた。しかし水ではなくやや熱い背中・・・。そうスパイアの背中だった。
ス『タツミ大丈夫だった!?』
タ「あー、やっといつものスパイアに戻ってくれたんだね・・・。よかったよかった・・・。」
ス『・・・・・・・・。』
レガ『タツミ!スパイア!』
フ『大丈夫!』
ク『おい!タツミやけどしてないか!何か冷やせるもの!』
フ『冷凍ビームなら・・・・。』
レガ『死ぬわ!何か冷やせるもの・・・何もない・・・急いでポケモンセンターに連れていこう。ポケモンだけじゃなくて人間も治療してくれるだろう!』
ク『急ごう!!』
残暑と言う残暑が無くなんかあっという間に秋が来てしまいましたね。もう正月も早いんでしょうね・・・。そういえばSWが近づいてますが私は用事があり動けません(泣)