第42話
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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
あれからすぐにトキワのポケモンセンターへと戻ったタツミ達。到着してすぐにジョーイさんに今までの事を伝える。するとジョーイさんは冷静にスパイアを処置室に連れて行った。
タ「・・・・・・・・・。」
ク『タツミ・・・大丈夫か?』
タ「ん?あぁ・・・何とかね。でも、何だったんだろうな。久々にやったトレーニングが不味かったかな・・・。」
レガ『そうはないと思うよ。あの時スパイアは本当に張り切っていたし何よりも調子悪いような様子は一度も見せていなかったよ。』
タ「そうだよね・・・。クラウンの爆裂パンチが・・・。」
ク『おいおい・・・あの後すぐ立ち上がったぞ・・・。』
タ「だよね・・・。でも今はジョーイさんに任せておこう。」
・・・・・・・・・
あれから1時間位した時に・・・
タ「あっ、ジョーイさん・・・スパイアはどうだったんですか?」
ジョーイ「大丈夫よ。病気とか怪我とかじゃないわ。ただの心理的な問題よ。」
タ「心理的?」
ジョーイ「そう。多分あの子神経質で結構ため込む子みたいなの。そういう子は結構いるのよ。理由はいろいろだけど、どれもトレーナーに対することで考え込んでしまうことがあるみたいなの。でも、大丈夫。一緒に傍にいるだけでも落ち着くものだから・・。だから今はそっと傍にいてあげて。」
タ「わかりました。クラウン、レガ行こう。」
タツミは傍のドアから中に入りスパイアがいる部屋へと入っていった。
タ「スパイア・・・。やっぱり僕が頼りないからいろいろと考えこませてしまったんだろうな・・・。」
ク『タツミ、大丈夫だから。そう考えこまないで。タツミまで倒れられたらこっちの身が持たないよ。』
タ「そうだな・・・。そうだね・・・。うん。」
暫くすると寝ていたスパイアが目を覚ました。
ス『うっ・・う~ん・・・あれ?タツミ・・・みんなも・・・。』
タ「スパイア、覚めたか?心配したよ、急に倒れるから・・・。」
ス『あっ・・・またタツミに心配掛けちゃったね・・・。ごめん・・・・。』
タ「謝ることはないよ。それよりもスパイア。何でもかんでも一人で解決しようとするな。自分の心の中にため込むな・・・。」
ス『・・・・・タツミにはわからないと思うよ。僕のこの気持ち・・・。』
ク『そりゃ誰でも人の心は分からない。だけどわかり合うことは出来るだろ?タツミはその事を言ってると思うよ。タツミを思う気持ちは分かる。けど、それのせいでタツミを余計に心配させるのは言語道断だぞ。』
ス『うっ・・・・。』
タ「クラウン、ありがとう。スパイア、お前が何を思っているのかなんて僕にはさっぱりわからない。でも話してくれないかな・・・?何で悩んでるのかを・・。僕、全力で考えてみるから・・・。」
ス『・・・タツミ・・・・。タツミは僕の事どう思っているの?』
タ「・・・家族の一員だな。」
ス『そういってすぐタツミは綺麗な言葉で済ますけど、実際はバトルでも危うく負けそうになったりこうやって悩みすぎで具合悪くする僕を見て絶対嘲笑っているんでしょ!』
タ「スパイア!」
ス『・・・・・・・・もう放っといてよ・・・。』
タ「・・・・クラウン、レガ、行こう。」
ク『でも・・・タツミ・・・。』
タ「いいから!」
レガ『タツミがそこまで言うなら・・・。クラウン・・・。』
ク『そうだな・・・。』
・・・・・・・・
ポケモンセンターのソファに腰掛けながらタツミは考えていた。
タ「(なぜスパイアがあそこまで追い詰められていたのにわかってあげられなかったんだろ・・・。もうちょっと僕が気を利かせていればこうならなかったのかもしれない・・・。)」
ク『タツミ・・・大丈夫か?』
タ「大丈夫だよ。」
ク『そうか・・・。でもあんまり考えすぎないでくれよ。タツミまで体壊したりしたらこっちの身が持たないよ・・・。』
タ「そうだな・・・。僕がしっかりしないとな・・・。うん。」
タツミは立ち上がり
タ「もう一回スパイアの元へと行ってくるよ。もう一回今度は2人きりで話してみようと思う。クラウンとレガはここで待っててくれ。すぐ戻るから・・・。」
タツミはそういうとスパイアがいる病室へと入っていった。
タ「スパイア、入るぞ。」
タツミはスパイアがいる病室に入ったが何か違うことにすぐに気付いた。
タ「・・・・窓が開いている・・・もしかして・・・。」
タツミはすぐにスパイアが横になっているはずのベッドを見た。
タ「・・・・いない・・・。どこ行ったんだ・・・。」
ベッドはもぬけの殻になっていた。それに気づいたタツミはすぐに病室を出た。
ク『!?タツミどうしたの?そんなに慌てて・・・。』
タ「スパイアがいなくなった・・・。」
レガ『えっ!!さっきまでいたのに何で・・・。』
タ「今見たらベッドがもぬけの殻で窓が開いていたんだ。恐らく外に出たんだ・・・。探しに行ってくるから2人はここで待ってて。帰ってくるといけないから・・・。それと、クラウンこれフィーロのボール。」
ク『えっ!でもそれじゃタツミが・・・って行っちゃった・・・。』
レガ『でもスパイア・・・どうして・・・・。』
・・・・・・・
タツミは町の中を探し回ったがどこにもスパイアの姿はなかった。
タ「一体どこに行ったんだ・・・シロガネの方はトレーナーがいっぱいいるから話が回ってこないはずもないし・・・マサラに戻るとも考え辛い・・・もしかしてトキワの森とかに行ってないよね・・・。行ってみるか・・・。」
タツミはトキワの森へと走り出した。
暫くするとさっきまでいたキャンプ場に戻ってきた。あれから人は増えていないようで静かな雰囲気に包まれていた。
タ「・・・本当にどこに行ったんだよ・・・。とりあえず早めに見つけなきゃ・・・。」
タツミはさっきまでいたキャンプ場を過ぎてトキワの森へと走って行った。そしてそれを木陰から見ていた一つの影が・・・
ス「タツミ・・・・僕を心配して・・・いや、それはない・・・クラウンがいなかったな・・・ポケモンセンターに戻ってみるか・・・。」
・・・・・・・・・
ク『・・・・あっ!スパイア!』
レガ『今までどこに行っていたの!スパイアを探しに出かけてタツミが結構前から帰ってきてないんだ!』
ス『えっ・・・・・・タツミ・・僕を心配して探しに・・・?』
ク『とりあえず早くタツミを見つけないと野生とかに襲われたらやばいぞ!』
ス『タツミなら・・・トキワの森に行ったと思う・・・。』
レガ『トキワの森・・・!クラウン!』
ク『ああ!これフィーロのボール、持っていてくれ!タツミを探してくる!』
クラウンは一目散にポケモンセンターを出てトキワの森へと向かった。
レガ『スパイア、お前がした行為がタツミをどんだけ傷つけたかよく考えておけよ。タツミはかなり心配していたんだからな。』
ス『・・・・・僕も探してくる。』
スパイアもまたトキワの森へと駆けていった。
・・・・・・
タツミはトキワの森をさまよっていた。辺りは暗くタツミは手持ちにあった懐中電灯で先を照らしていた。
タ「スパイア・・・どこ行ったんだよ・・・。それよりもここ気味悪いなぁ・・・。」
時折怪しげな物音が木陰から聞こえてくる。トレーナーの姿は見かけない。
タ「一体今どこら辺歩いているのか・・・・。いたっ!」
タツミは前を注視しすぎて木の根につまずいてしまった。
タ「いたた・・・あっ、今ので懐中電灯の電池が切れた・・・・。」
タツミの持っていた懐中電灯がどうやら転んだ衝撃で壊れてしまったようだ。辺りは一面真っ暗になってしまいタツミは不意に動けなくなってしまった。
タ「・・・・なんか・・・前にいる・・・。」
そう、タツミの目の前には今ポケモン達がいる。しかし、真っ暗なため視界が効かないのでタツミには何がいるのかわからない。
ク『くそっ・・・一体どこにいるんだ・・・タツミーーーー!!!!』
クラウンはトキワの森の入口にいる。クラウンは背中の炎を出しているのでちょっとだけ視界が開けていた。っとそこにスパイアも合流した。
ク『・・・スパイア、タツミがどんな気持ちでお前のことを心配したかわかるか?』
ス『わからない・・・けど、僕のことを思って言ってくれたんだと思う・・・。それに気づかないなんて・・・もう・・・僕・・・。』
ク『自暴自棄になるなんていう馬鹿なことはやめろよ?それよりもタツミを探すことに専念しろ。』
ス『うん・・・。』
・・・・・・
その頃タツミは近くの木にもたれかかって明るくなるのを待っていた。
タ「みんな心配しているだろうなぁ・・・。早く帰りたいけど明かり無いしなぁ・・・。」
タツミはちょっとでも動いておこうと立ち上がろうとしたが、どうやらさっき転倒した時に足を怪我してしまったようだ。
タ「はぁ・・・ここで待つしかないのか・・・。」
ク『これじゃあキリがない!何か手がかりないのか?』
ス『クラウン!これ、タツミのじゃないかな?』
スパイアが指差した先には1枚のハンカチが落ちていた。
ク『多分タツミのだろう・・・つまり・・・この先か?』
ス『行ってみよう!』
クラウンとスパイアはハンカチが落ちていた方へ走り出した。
・・・・・・・
タ「あー・・・どうしようっか・・・。ん?あの光なんだろ?」
タツミは暗闇の中に光る2つの小さな光を見つけた。
タ「何だろ・・・。こっちに来る・・・。」
「・・・・ミー!タツミー!』
タ「・・・クラウン?」
ク『タツミー!どこだぁー!返事してくれー!』
タ「クラウン!ここだここ!」
ク『あっ!タツミ!無事だったか!』
タ「何とかね・・・。それよりもスパイア見なかった?」
ク『スパイアならここにいるぞ。おい、スパイア。』
ス『・・・う・・・うん。』
タ「スパイア・・・ごめん!僕スパイアの気持ちも考えずにあんな無責任な発言して・・・。」
ス『タツミが謝ることじゃないよ!!僕の方が悪いんだから・・・。本当に迷惑かけてごめん!』
タ「スパイア・・・。うん・・・。それじゃあポケモンセンターに戻ろうか。もう大分夜も更けたことだしね。」
ク『そうだな。レガとフィーロ置いてきたしな。』
タ「置いてきたんかい!レガがいるから大丈夫だろ。行こう、クラウン、スパイア。」
ス『うん!』
ク『(スパイアの奴、泣きそうになってるな・・・相当辛い思いしてきたんだろうな。まぁスパイアなら大丈夫だろう、タツミが傍にいるならね。)』
タ「クラウン、行くぞー。」
ク『ちょい待ってよー!』
3人はポケモンセンターへ向けて歩き出した。