2-1

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

今回からサブタイトルを2-1、2-2等と表記するようにしました。

登場ポケモン→・スパイア→メガリザードンX ・フィーロ→ルギア ・マーニ→イーブイ ・セル→ブイゼル

カンナギタウンを出発したタツミ達はデンガン山を越えキッサキシティまで約80キロの地点まで辿り着いていた。キッサキシティに近づくにつれ辺り一面が雪景色に変わると同時に雪が深くなり、数百メートル移動するのにも30分程度掛かるなど移動困難な状況へと陥っていた。

タ「スパイア・・・大丈夫か・・・!そうか尻尾の炎!これだ!」

ス『えっ?何タツミ・・・おもむろに後ろに回って・・・えっ?僕の尻尾の炎で進路を確保するって?あまり深すぎるから溶けないと思うけど一応やってみるよ!』

フ『早い所移動するか山小屋みたいな安全な場所に避難する方が良いと思う・・・何かもうすぐ地吹雪やってきそうな気がする・・・。』

タ「マジか・・・急いで移動したいところだけど・・やっぱりスパイアの炎だけじゃキツいか・・・それか火炎放射で溶かしながら行くとかどうかな?」

スパイアはタツミに言われ火炎放射を雪に向けて放つが、その炎が当たった部分しか溶けない為移動する為に必要な幅の通路を確保するには相当な負担になるような感じだ。そこでタツミはバックの中からシャベルを取りだしおもむろに雪かきを始めた。

ス『タツミがおかしくなった・・・ぼ・・僕が炎で溶かすから!そんなキツい事しなくて良いって!タツミが倒れちゃうって!』

フ『・・・何かずっと思ってたけど、スパイアの背中に乗ってから近くの山小屋まで移動するのが早いのでは・・・?』

タ「・・・・それが一番早いか!じゃあスパイアよろしく!」

ス『凄い切り替えの早さ・・・分かった!じゃあ僕の背中に乗って!行くよ!』


フィーロが言った通りタツミ達がいた場所はすぐに地吹雪に襲われ視界がホワイトアウトしてしまう事態となった。しかしタツミ達は間一髪地吹雪に巻き込まれる直前に空へと回避していた為被害はなかったが、その光景を見たタツミ達は巻き込まれると最後と思いながら近くの山小屋を探した。

タ「うーーーん・・・・あっ!あんな所に家がある!一旦あの家の前に降りて避難小屋かどうか確認してみよう。」

タツミの目の前には立派な2階建ての木造住宅があった。中の電気が灯っていることから誰かはいるようであるが外からは人の気配を感じ取ることは出来ない。タツミ達は意を決し、中へと入ってみる。すると・・・

タ「暖かい・・・ストーブを焚いているのか・・・あの~?誰かいらっしゃいませんか?」

タツミがそう呼び掛けると1人の山男とみられる男性が2回から降りてきた。

「おや?君もホワイトアウトに見舞われたのかい?ここら辺では最近よくそれに見舞われて方向を見失う人が多くここに避難してくる人が多いのだよ。さぁさぁここは避難小屋みたいな所だから天候が落ち着くまで休んでいくと良いよ。」

男性はタツミが来た事に特に不審を抱かず家へと招き入れた。家の中は木造で出来た外観とは違い近代的で、テレビや冷蔵庫などの電化製品の他ゲーム機なども備わっており一種の宿泊ロッジみたいな感じになっていた。

タ「ここって最近視界が全く効かない事も多いですか?」

「そうだね・・・最近は風が強くて軽い雪が簡単に舞い上がっちゃう事も多いから去年と比べると多い方かな?まだ方向を見失わずにこう言った避難小屋に辿り着ければ良いけど、視界が真っ白になると方向を見失って最悪滑落とかに繋がりかねないからね。ついこの前もいたし・・・。」

タ「えっ・・・その人どうなったのです?」

「一応大丈夫だったけど骨折でね・・・でもこう言った場所だから救急隊も中々辿り着けなくて・・・ほらこいつに連れていって貰ったんだよ。」

そう男性は言うと、モンスターボールを取り出し中からポケモンを出した。ボールから飛び出して来たのはユキノオーと言うポケモンだが部屋で出すには大きすぎるポケモンで自由に動ける空間がすぐになくなってしまった。

「ごめんごめん、ちょっと部屋の中では出すのは無謀だったかな?まぁこいつに連れていって貰ったって訳よ。」

タ「なるほど・・・でもどれくらいで収まりますかね・・・。」

「早ければ1時間程度、遅くても半日で収まるから暫く休んでおくと良いよ。ここからキッサキまではまだまだ先が長いからね。」


その後も地吹雪はやむ気配を見せず夜になってしまった。このような状況の下で夜間移動するのは大変危険なため、タツミ達はこの山小屋に1泊することにした。タツミ達が来てからも2人のトレーナーと思われる人がやってきてそのまま滞在するようだったが、タツミ達には目もくれずそのまま荷物を置くと横になり眠ってしまっていた。

ス『何かあまり良い感じがしないね~、明日までにやむと良いんだけどどうなんだろうか・・・。』

タ「明日には治まるとは思うけどこのような状況だとちょっと今後の事を考え直さないといけないかもしれないね。取り敢えずここは一般の人も利用する山小屋、迷惑にならない程度に今後の事を作戦会議しよう。」

セル『分かったぞ!おいらも何かこのままだとちょっと時間的に厳しいと思ってたぞ!』

ス『あんたはさっきそれ思いついたでしょ・・・それよりもここからキッサキまでが大体80キロ程度って聞いたけどこのような状況になりかねない危険な道を80キロも進むとなるとちょっと危ないと思うけどどうだろうか?』

タ「うーん・・まぁ大丈夫でしょ!最悪また空を飛ぶで一気に移動すればどうにかなると思うし!」

ス『こんな悪天候の低気温の中空を飛ばされる僕の身にもなってよ・・・寒いんだからね?』

タ「はっ!・・・ごめん・・・じゃあ明日はスパイアじゃなくてフィーロに飛んで貰うから大丈夫!心配しないで!」

ス『そういう事じゃなくて!・・・・うーん・・分かったから僕が飛ぶから・・・取り合えず今日はもう休もう?ずっと朝から移動しっぱなしだったから僕達だってちょっと疲れてるよ・・・。』

タ「分かった・・・じゃあ明日は一応確認の為に6時に起床してから行けそうだったらそのまま出発って事で大丈夫かな?」

ス『分かった。』

セル『おいらも明日は一緒に歩きたいぞ?』

タ「もうちょっと先に行ってからね?ここら辺は雪が深くてすぐ埋まっちゃうからセルはちょっと厳しいね・・町に着いてからで良い?」

セル『むーー・・・分かった!』

ス『聞き分け良いな・・・じゃあそれで明日は行くって事で、今日はこれにてお休みって事で!じゃあおやすみ!』

タ「ちょ・・・まだ時間的には早いって・・・ってもう寝ちゃったよ・・・毛布をかぶって寝るのは構わないけど燃やさないでくれよ・・・それでみんなは?」

セル『おいらはまだ起きれるよ!何する!何して遊ぶ?』

マ『遊ぶことばかり考えないの。それよりもタツミさんの方は大丈夫なの?大分ここまで雪道を歩いてきたから相当疲れが溜まってるんじゃない?明日も移動するなら早めに寝た方が・・・。』

タ「あまり早く寝ると返って早く起きちゃうからちょっとね・・・今の時間はまだ22時だから23時くらいになったら寝る事にするよ。」

バ『そうなの?でもあまり遅くに寝ると翌日に響くと思うよ?体を第一に考えて行動しないと結局倒れてプラマイゼロどころかマイナスになる事もあると思うけど・・・?』

マ『その考えも確かにあるわね・・じゃあタツミさんは早く寝ないと!』

タ「いやいやいや、大丈夫だって!うーん・・・じゃあバンギラスの名前付けよう!そうしよう!」

セル『唐突!?』

バ『名前付けてくれるのは嬉しいけど・・・早めに休んだ方が・・・』

タ「名前付けたらね?名前付けたらもう休むから!ね?さてと・・・じゃあ何にしようか・・・ちょっと待ってね・・・・・よし!決まった!バンギラスの名前はリーナ!ってどうかしら・・・?」

『リーナ・・・・?・・・・タツミさんが付けてくれた名前なら何でも嬉しいです!僕も感激してs・・あれ?』

マ『ここでぐるぐる回すのは周りの部屋にお泊まりの方に大変ご迷惑が掛かるからやめましょう。』

リー『はい・・・・でもすっごく嬉しいよ!タツミさんありがとう!流石僕が見込んだだけある人だ!』

セル『何かこのポケモン凄く絡みづらいぞ・・・。』



天気は着実に回復傾向にあった、翌日にはいま吹雪いている外ももう少しすると何時もの白銀の綺麗な雪景色が見られる。積雪は1メートルをゆうに超えるが下が圧雪されている為歩きにくいと言う事はない。タツミ達は天気の回復を見計らい山小屋から出発した。

タ「天気が回復してくれたから良かったものの・・・キッサキまでまた同じような地吹雪に発展する事が考えられる・・・かと言って急いで行こうと思うと雪に足が取られて前に進みづらくなる。」

ス『さっきから何言ってるの?ほら、ちゃんと前見て歩かないと転ぶよ!』

タ「ごめんごめん、雪が深いなーと思ってね~。」

セル『おいらもこんなに雪が積もってる所に来るのは初めてだぞ!凄い柔らかい!サラサラする!』

ス『下は圧雪で上は新雪・・・軽い雪が乗ってるからちょっとした風でも地吹雪みたいにホワイトアウトするって原理か・・・。』

タ「そうそう・・・。」

タツミ達が他愛ない会話をしていると急に目の前に大きなポケモンがタツミ達を待っていたかのように進路上に立ちふさがった。その瞬間、スパイアはタツミの一歩前にそしてリーナはタツミの真横にそれぞれタツミを庇うように立ち止まる。

タ「?何これ?・・・ポケモン?」

ス『このポケモンは・・・何だっけ?多分これもあっちの地方のポケモンだと思うけど名前が全く分からない。』

リー『うーん・・・僕も分からない。・・・多分カロス?か何処かの地方のポケモンだとは思うけどなんて名前だったかは全くもって興味なかったから調べてない。』

ス『それじゃあ意味ないでしょ。』

『お前らか?あの時俺達に酷い事をしたって言うキュウコンの男って言うのは?』

タ「!」

ス『!こいつまさかあの時に上にいた・・・・なんて呼べば良いのよ・・・。』

『・・・お・・お前らな・・・俺様はクリムガンのキョウゴ!お前らが解散したせいで俺様のバラ色の人生もおしまいよ!!折角あいつらからその身を捧げてくれたら一生不自由なく暮らせるくらいの金はやるって言われてその気でいたのに・・・その責任取って貰うからな!!!!』

タ「責任も何も・・・第一犯罪組織に属しておいて人生バラ色って考えもおかしいと思うけど・・・・・うぉ!!危な!」

相手はタツミ達が動き出す前にきりさくを繰り出してきたがそこはスパイアが横っ腹に蹴りを入れることで進路を変更させ事なきを得た。

『くっ・・やっぱり強いな・・・だが俺も馬鹿じゃないのよ・・・おい野郎ども!やっちまおうぜ!!』

そう一声掛けると雪の壁から2体、他のポケモンが飛び出してきた。

ス『まさかの3体いたとは・・・他の2体はゲンガーとフーディンか・・・これまた厄介な感じのポケモンだな・・・。』

リー『ゴーストタイプとエスパータイプ・・・うーん・・・あまり良い感じではないなぁ・・・どうする?タツミさん、一気に片付けるならば僕の地震で3体共にダメージを与えるけど?』

タ「そうするか。じゃあここは面倒だし先も長いしそういう事で・・よいしょっと。」

タツミはリーナの提案を受け入れそそくさとスパイアの背中へと乗る。それを見ていた相手達はスパイア目がけてそれぞれ攻撃を放って来たが、その瞬間リーナが立ちふさがるようにタツミとスパイアを守り相手を睨み付ける。相手は睨み付けられた事で怖じ気づいてしまい一瞬攻撃が止まった所をスパイアは上昇、そして次の瞬間3体を地震が襲った。



タ「っとまぁこんな感じで逃げれたから良かった良かった。でも今度からはああいう変な奴らにも気をつけなくちゃいけなくなっちゃったね・・・やっと解放されたと思ったのに~。」

ス『僕達が守るから安心しててよ。それよりも意外とリーナが強くてびっくりした・・・流石ホウエンからここまで歩いてくる強者なだけあるわ・・・。』

リー『そう?僕としてはあんまり自覚無いけどな~ね?タツミさん。』

タ「逆にその自覚の無さはどこから来るのよ・・・ま・・まぁ!リーナも強いからこれなら何かあっても大丈夫かな!ささ、さっさとキッサキシティに着かないとまた日が暮れちゃう!」

ス『そうだね、じゃあ僕の背中に乗る?そっちの方が楽じゃない?』

タ「それでも良いけどやっぱり暫くは歩くよ?限界に来たら背中に乗らせて?」

ス『勿論!じゃあ歩こう!』

リー『所で、そのキッサキって町には何があるの?何もないのに行くのはもったい無い気もするけど。』

タ「簡単に言うと本土最北端の石碑がある、何か分からない観光地っぽい神殿がある、そこからチャレンジエリアって言う何ともな名前の場所へと行く定期船乗り場がある等かな?ジム巡りしている人からすると、そこにもジムがあるから寄らないと行けないけど。」

ス『簡単に言うと、ジム戦とかバトルとかする人じゃない僕達みたいなただの観光客にはその本土最北端の石碑しか見るのがないって事?』

リー『それ以外にも何かあるでしょ~。どっち道行ってみないと分からないって事か・・・じゃあ早い所行こう!またホワイトアウト状態に陥っても危ないし!』

タ「急ぎましょ。」


そこからも雪の深さは変らないが、ある一定の場所を過ぎると下がすぐに圧雪に変わり普通の路面と同じような道路になった。先程までは見渡す限り大雪原だった景色も木々が増え、景色も一変した。タツミ達はその中を歩き続けるが、変わり続かない状況から少々飽きが入り出していた。

ス『タツミ・・・・飽きた!もうこの景色ばっかりで変らないし全然距離感もつかめない!この状況何時まで続くの!!』

タ「まぁまぁそう怒らず。そうだな~・・後数キロ行ったら湖があるからそこから大体町まで20キロ程度って感じかな。湖は寒いし観光地ではないのか入り口も整備されていないから立ち寄らないけどさ。」

リー『その湖も整備すれば暖かい季節良さそうなのに残念ですな~、もしかしてこんな所歩くような物好きな人間以外は何か他の方法でキッサキに辿り着いているんじゃ・・・?』

ス『マジで!!!?』

タ「辿り着けるは辿り着けるけどその分費用が掛かるでしょ。」

ス『費用費用ってそんなの気にせず出したら良いんだよ!減ったらまた増やせば良いんだし!』

リー『でも逆に考えると、仮にバスとかで行ってたらここまでタツミさんと一緒に歩いたり寝たりする事が出来なかったと言う事だから、これはこれで僕は有りかなと思う。スパイアもそう思わない?』

ス『う~・・・そう言われるとそう思うけど・・・。』

タ「はい、ここまで!ようやく看板が見えてきた・・・えーっと・・・後30キロ程度だね!これなら一応今日中に町には着けそうな感じがする!じゃあホテルも取らないといけないしちょっと急ぎ目で歩きますか!」

ス『分かった!じゃあここからは僕がタツミを背中に乗せて次の町まで行くことにするよ!・・・・・リーナどうしたの?そんな僕も乗りたい見たいな目で見ても乗せないぞ?』

リー『でもスパイア位強いリザードンなら僕とタツミさんを乗せるくらい簡単な事じゃ』

ス『死ぬわ!!第一あんたは体重何百キロ単位でしょ!それが背中に乗ったら飛ぶどころか昇天してしまうわ!!』

リー『そこまで重くないって!!それに酷いでしょ!!タツミさんもそう思わない!?』

タ「スパイアの方が正しい事言ってる気がする。」

リー『酷い!!』

タ「まぁまぁ、そう嘆かずに・・・暫くボールの中で暖まっててよ。・・・よし、これでいいな・・・じゃあスパイア、次の町まで一気に行ってしまいましょ!!」

ス『りょーかい!!』
新年、明けましておめでとうございます。今回の話からちょっと路線を変えていこうと思いますのでよろしくお願いいたします。

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