朝の日差しを浴びながら

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 あなたが二個の宝石をはめて扉を開けると、そこは今日目覚めた時と変わらない日差しが降り注いでいた。今まであった天井が消え去っている。それで日差しが降り注いでいるのだろう。
 登ってきた感覚や扉の存在から、頂上に着いたのは間違いない。だから天井がないのは説明が付く。
 しかし、それでは目の前に広がるのがただの空なのが説明できない。天井だけではなく、壁や床も存在しないのだ。いつも見上げていたあの青い空と白い雲が、見渡す限り広がり続けている。
 疑問符で頭上が埋め尽くされるあなたに対し、パートナーは嬉しそうに駆けだしていく。空の上なんて歩けるのか。そのようなことを考えている間にも、パートナーはまるで何か嫌なものから逃げるかのようにとても早く、あっと言う間に見えなくなっていく。
 ここはダンジョンのようだったところとは違い、手がかりになりそうなものは何もない。本物の空とは違うようだが、一体どこまで広がっているかもわからないため、見失ったらまず再開することは難しいだろう。
 また宝石といった扉の鍵となるものを集める可能性があることを考え、あなたはため息と共に足を踏み出そうとする。
 が、どれだけ動かそうとしても足はピクリとも動かない。まるで足が鉛にでもなったかのようだ。不思議に思ったあなたが足元を見てみると、そこには扉にはめたはずの二個の宝石がぐにゃりと形を変えて足に纏わりついていくではないか!
 あなたは思わず悲鳴をあげて振り払おうとするが、手で取り除こうにも宝石はまるで水あめのように指の間をすり抜けていく。足は相変わらず鉛のようで、そもそも動かしようがない。
 どうしようもない絶望に囚われたあなたは、何もできずにただ目の前に広がる青い空を見つめる。白い雲が穏やかに流れるその空間に、かつてあなたと一緒にいたパートナーの姿はどこにも見えない。
 あなたはパートナーに酷いことをした。ここでいくら待ったとしても、パートナーがあなたの元に戻ることはないだろう。それを頭の隅でわかっていても、待つ以外あなたができることはない。
 今の気分とは真逆に近い爽やかな日差しを浴びながら、あなたはただただ戻らぬパートナーを待ち続けた。

エンド2「朝の日差しを浴びながら」 終わり

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