第6話 旅の理由とは

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 スピアーの大群に襲われた後、フェルータとラティアス、そしてエアロスターはニノの森を抜け、3番道路を東に進んでいた。
 天気は快晴、春の心地よい陽気な日だった。
 相変わらずフェルータとラティアスはペチャクチャ喋りながら歩いていた。
「ねぇラティアス、この旅の目的は何なのだろうね。この地方にはまだ他の所みたいにポケモンリーグ無いし。ポケモンジム巡り出来ないし。僕10歳になれた!ポケモン持てる!っていう喜びだけで家を飛び出してしまった感じが今になってしてきているんだよねぇ...」

 ラティアスは笑って、
ーーいいんじゃない?そんな理由も。私がアルトマーレ...えっと、私の故郷ね。そのアルトマーレからお兄ちゃんを振り切って、ジークと共に歩もうと決めたのも私がジークに何か可能性を感じただけなの。結果、私はフェルータっていう大切な友達に出会うことが出来た。もしね、私があの時お兄ちゃんの言う通りアルトマーレに残ってたら確かに平和に暮らせていたかもしれない。でも、たぶんフェルータには出会えなかったと思う。こうして楽しく雑談を交わせられる友達も出来なかったと思う。浅はかな行動は勧められるものじゃないけど、それがいいことに傾くことはよくある。安心して。フェルータのこの旅は私が絶対良いものにしてみせるから。

 フェルータも笑って、
「ありがとう、ラティアス。なんか吹っ切れたよ。そーんな始めっからくよくよしてちゃだめだよね。」


ーーゴハン...ゴハン!
 フェルータとラティアスが和やかに笑い合っていると、突然足下から声がした。はっと驚いて見ると、エアロスターがキラキラした目でこっちを見ていた。フェルータがさっと時計で時間を確認すると、既に昼過ぎだった。視線を前に向けると、そこには街が。そしてその先には光を反射し輝く海が。
ーー海だ~♪
 ラティアスが嬉しそうにぴょんぴょん跳ねる。
「まだ昼下がりだけど今日はナミトシティのポケモンセンターで1泊取ろうか!海に遊びに行こ!」
 やったー!とラティアスが万歳して喜ぶ。
 喜びを爆発させるラティアスを見、フェルータは満足そうにニヤリとする。その足下で、ご飯をくれというように視線をじーっと送り続けるエアロスターがいた...










ーー久しぶりの海だ~♪

 フェルータとラティアスはナミトシティに入ってすぐポケモンセンターで部屋を借り、エアロスターに昼ご飯を食べさせてから、急いでナミトのビーチにやって来た(因みにエアロスターはボールの中でお昼寝中である)。
 ラティアスは砂浜の上を海に向かって低空飛行で突進して行った。それを走って追いかけるフェルータ。が、勿論ラティアスにスピード勝負で勝てる訳ない。尚更ここは砂浜である。案の定フェルータは砂に足を取られたりしながらあっという間に砂浜に置いてきぼりだ。
 ラティアスは波打ち際を越えるや否や即行海に飛び込む。後から遅れてフェルータも波打ち際にやって来る。
ーーフェルータ、私の背中乗って、ゴーグル着けて!海の中の世界見せてあげる!
「わかった!」
 フェルータはゴーグルを着け水面の上に浮いていたラティアスに飛び乗る。
ーー行くよ!掴まって!
 ラティアスは急発進。沖の方へ全速力でぶっ飛ばして行く。
ーーゴーグル押さえて、息止めて!ダイブするよ!
 余りの風圧に何も言えないフェルータ。言われた通りゴーグルを押さえた直後、ラティアスはちょっと上方に旋回したかと思うと、すぐにダイブした。

 水中は、果てしない岩の山脈とその間に少しずつ生える海草の繰り返しだった。
 岩の山脈の隙間からヨワシの魚群がぬっと出てくる。その下にはサニーゴの群れがいた。そのサニーゴの傍にはサクラビスが紛れ込んでいてサニーゴを狙ってやって来る魚を逆に食べてやろうと狙っていた。
 岩肌に目を凝らすとそこにはクラブの姿。さらに岩影にはハギギシリが身を潜めていた。
 ラティアスとフェルータは顔を見合わせてニコッとした。綺麗だ。少し沖に出るだけでここまで水中は綺麗なのか。
 とフェルータは見とれていたが、息が続かない。ラティアスの背中をポンと叩き、水上に出るよう合図する。
 コクリと頷いたラティアス。一気に浮上する。

ーーね!凄いでしょ!
 ラティアスは自慢気に胸を張る。
「そうだね。凄かった。滅茶苦茶綺麗だったよ!」
 少々興奮気味なフェルータ。
 それから暫く様々な箇所でダイビングを試みたフェルータとラティアス。その後、夕日の方へラティアスはのんびりと砂浜に向かって飛んで行く。フェルータを背に乗せ飛んでいるこのひとときを噛み締めているかのように。まだ名残惜しさが残っているようにも思える。
 砂浜に上がり、二人は今日の小さな冒険について語り合いながら、ポケセンに向かって歩いていく...。

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