作者が修学旅行のため先週は更新出来ませんでした。申し訳ございません。
「じゃあ、また」
フェルータたちは、カキョウタウンを去る。ブナンの見送りを受けながら。
「また来いよ~!待ってるからな!」
手を振るブナン。横でぴょんぴょん飛び跳ねる彼のヒノアラシ。
フェルータも同じように手を振る。ラティアスも同じく手を振る。短い手を...と本人に向け言ったら怒られるだろうが。
ーーフェルータ。
ラティアスが急に話し掛けてくる。
「何?」
ーーあの二人、絶対良いタッグになりそうだね。
「うん。息ぴったりだしね。」
ーー後さ、
「ん?」
ーーさっき私の手短いって呟いたでしょ。結構気にしてるんだから...言わないで。
気にしてるんだ...
「ごめん」
ーーまあこれがある意味私のチャームポイントなのかもね。
「手繋いだらラティアスとの距離も近くなるから僕は良いけどね。喋りやすいし♪」
フェルータにとって、ラティアスは親友である。一番心の許せる相手であり、心の支えでもある。
ーー成る程ね。そう言う考えも...あるね。
ラティアスも満面の笑みを浮かべる。彼女のコンプレックスが一つ消えた瞬間だった。
二人手を繋いで、5番道路を歩いて行った...が、それを快く思わぬ輩も存在する訳で...
「おい、テメエら。イチャイチャしてんじゃねぇッスよ!」
「お前は!」
コロナ団員である。しかもそこそこの位に就いてそうな。
「俺の名はコナラ。コロナ団四天王の一人ッス。」
「...何の用だ」
「ここの道はコロナ団の管轄でね。通行者の管理をしてるんスよ。勿論お前のような不適合者は、排除するのみッス!行け、ダーテング!」
「ダーテング...ラティアス、下がってて。エアロスター!頼んだよ!」
フェルータの前に、エアロスターがどっかりと構える。
「あんたはタイプ相性も分かんないんスか!ダーテング!馬鹿をリーフブレードでしばいてあげなさい!」
ダーテングは両手の団扇(?)に力を込め、エアロスターに向け切り込む。
「エアロスター、じっくり狙って、」
「むしくいだ!」
一間開け、フェルータが叫ぶ。それに呼応するように、エアロスターはむしくいを繰り出す。大顎をダーテングの団扇に食い込ませ、ダーテングを無理矢理引き倒す。
「ダーテング!大丈夫ッスか!?」
コナラはダーテングに声を掛ける。ダーテングは動かない。戦闘不能。
「畜生!まだ次峰がいるッスよ!行けフォレトス!」
鋼鉄の体を持った球体がドシン、と地面に落ちる。
「...フォレトス」
「先手必勝ッス!フォレトス、ジャイロボール!」
フォレトスは激しい回転をかけ、エアロスターに突撃する。
「エアロスター、しっかり狙って...」
「今度は何スか!フォレトス、変わらず突っ込むッス!」
「まだ...」
その間にもフォレトスボールはエアロスターに急接近して行く。そうして、フォレトスが目の前にきた瞬間、
「賭けだ!じわれ!」
エアロスターは地面に大顎をぶつける。その衝撃で地面が割れ、フォレトスを落とし、挟む。
「ここで、完全に落としきらなければ負けだ...」
フォレトスの頑丈な殻はこの衝撃に耐えられる...筈だった。
が。
「まさかそう来るとは想定外ッス。技を解除して貰えるスか?こいつの特性は頑丈じゃなくて防塵ッス。」
頭を抱えるコナラ。その言葉通り、エアロスターが地割れを解除すると、そこには目を回したフォレトスがいた。
「だから嫌いなんスよ...護神のポケモンとベタベタしているトレーナーと戦うのは...かつて、アローラの守り神とベタベタしてるトレーナーと対峙したことがあって...その時はそいつのポケモン...メタグロスとミロカロスに...トレーナーの指示無しでボコボコにされたッス...結局そのトレーナーはボスすら吹き飛ばして...コロナ団の野望を打ち砕きかけたんスよ。......俺の前から消えてくれッス。もう通っていいッスから。」
と言うと、コナラは木々の間へ姿を眩ませた。
「...今のって、あのエストさんのことだよね...今の人、エストさんのポケモンと対峙し、見事なダブルバトルを繰り広げたとして悪名高い...」
ーー今の人って絶対まだポケモン持ってたよね。何であそこで切り上げたんだろ
「さっきメタグロスとミロカロスに敗れた、ってあの人言っていたでしょ。実はあれ、実際はコロナ団四天王は、かなりその二匹を追い詰めていたらしい。でも、その必死な二匹の姿を見て、その四天王は撤退を決めたっていう噂だよ。あくまで噂だけれども。」
ーーへぇ~。コロナ団の中にも情緒を解する心を持つ人もいるのね。
「まぁコロナ団に入っている理由は人それぞれだからね...」
そう。一概に世界征服という目的であっても、特に四天王、そしてリーダーは必ずしも私利私欲で世界征服をしている訳ではない、と聞いたことがある。ならば何故、悪に手を染める?
フェルータの悩みは深まって行くばかりだ...