第9話 今日もポケセンで泊まる夜

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 渡船は薄暗がりの中、対岸に着く。フェルータとラティアスは船長さんにお礼を言い、渡船から桟橋に降りた。船長さんの言う通り、渡場の建物の真横にポケモンセンターがあった。中に入り、フェルータはすぐに併設のフレンドリィショップで夜ご飯を買う。昼御飯抜きで歩き続けたため、お腹が空いて仕方がないのだ。ジョーイさんに部屋の鍵を借り、部屋に入る。

 部屋に入るとすぐ、フェルータとラティアスは備え付けのテーブルに夜ご飯を置いて、イスに座って食べ始める。
「お腹ぺこぺこだよ!」
 カップ麺をすすりながらフェルータはラティアスに話しかける。
ーー生き返るね~♪
 ラティアスも即席焼きそばをすすりながら返す。
「ラティアスは歩かなくていいから楽そうだね...」
 フェルータはため息をつく。
ーーそんなことないよ~。飛ぶのだってけっこう気力を使うからねぇ...ほら、木の枝にぶつからないように飛んだり、フェルータとごっつんこしないように気をつけたり...意外に大変なんだよ。私フェルータたちみたいに歩けないからね...
 ラティアスにも足らしきものはあるが、それの力で歩くことはできないらしい。フェルータは、そうラティアスから昔、聞かされたことがある。
「へぇー、そうなんだ。てっきり飛ぶって楽なのかと思った...」
 ちょっと意外だったようだ。
ーー案外楽そうに見えてキツかったり、キツそうに見えて楽だったりするからこればかりはわかんないだろうね~まあフェルータが研究所の庭で走り疲れたあの時のように足は痛くならないのはプラスポイントかな?
 そこからフェルータとラティアスはどんどん過去の話に入って行く。
「僕は昔、今目指している町に住んでいたって言ったでしょ」
ーーうん。
「なんで僕たちはわざわざハジリの町に引っ越したと思う?」
ーー...旅に出たかったから?
「違う。カキョウの町に変な噂が流れたから。謎の集団が少しずつ色んな町を侵略して行ってるって。この噂は強ち間違いでは無い、と読んだ僕のお母さんが、人口も少なくポケモンバトルが強いと定評のポケモン博士もいる、ハジリタウンに引っ越すって決めたらしい。結局その噂は本当っぽいし、謎の集団もコロナ団って想像がつく。怖いんだよ...故郷がコロナ団に侵略されてないか...カキョウタウンに入った瞬間捕まったりしないか...」
ーー何言ってるのフェルータ。私がいれば安心でしょ?もし奴らがフェルータに手を出そうとするならば、私は奴らのアジトまで突入してコロナ団を滅ぼしてやる!大丈夫。怖くない。君の隣にはずっと私がいるから。
「...そうだね。ありがとう。このまま順調に行けばたぶん明日の夕方位にはカキョウタウンに入れて、そのままポケモンセンターに滑り込めると思う。まあ元々そこまで治安の悪い町じゃ無かったし、まだ大丈夫だとは思うけどね。心配して損すること無いし...」
ーーまあいいじゃない。気楽に行こ!気楽に。


ーーごはん!
 そんな話をしていると、ボールからエアロスターが飛び出してきた。そう言えば彼も朝ごはんしか食べていない。ボールの中でもお腹は空くのかな...ふとそんなことを考えたフェルータ。
 エアロスターにも夜ご飯を渡す。こちらはちびポケモン用のポケモンフーズ。人間で言うところの離乳食に近いものだ。さっき夜ご飯を買った時、ラティアスのアドバイスでこっちを買ってみたのだ。
 エアロスターの反応を見るフェルータとラティアス。エアロスターのポケモンフーズを噛み砕く音が響く中、しげしげとエアロスターの様子を眺める二人。
ーーおいしい!
 エアロスターの笑顔が弾ける。つられてニコッとなるフェルータ。ほっと一安心のラティアス。そのまま器までバリバリ食べてしまいそうな勢いだったので、少々ハラハラしていたらしい。

 お腹一杯になったのか、ウトウトし始めるエアロスター。ベットに潜り込んで出てこなくなってしまった。ラティアスは、テーブルに座って何かををすり鉢ですりつぶしているようである。フェルータが気になって何をすりつぶしているのか聞くと、
ーー道端に生えていたアロエで塗り薬作っているの。天然のキズぐすりになるから。少しでも旅費浮かせたいでしょ?
 ごもっともである。自慢気そうな顔をしているラティアス。
 ありがとうと言い、せっせと明日の支度を始めるフェルータ。が、少し経つとテーブルの方から寝息が聴こえてきた。そっと音の源の方を見るフェルータ。すると、ラティアスが、作ったキズぐすりを瓶に入れる途中で寝落ちしてしまい、すーすーと寝息を立てていた。それに気づいたフェルータは、すっとそばにあった毛布をラティアスに掛けてあげた。気持ち良さそうに寝るラティアスを見て、フェルータも睡魔に襲われ...気が付くとベットに倒れ込んでいたのだった...

 12月1日、この小説の前作に当たる「時空を超えて」が二周年を迎えました。簡単ではありますが様々な記念企画を予定しておりますのでお楽しみに。
 これからの一年も宜しくお願いします!
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