11話目 あなたを守るために。

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「ルッルナッ」

「どうしたの?アルトー。そんなに慌てて。」

「ルリリが、危ないっ!」

大体のいきさつ、さっき感じた感覚を伝えると、ルナはうーん、とうなる。

でも、もしそれが本当だったら。
ルリリはどうなるんだろう?

「このあとは暇なんだから、私たちで何とかするしかないよっ!行こう、アルト!」

やる気を出したルナは、トレジャータウンにいる人々に聞き込みをする。

スリープとルリリの行った場所。
それが分かればいいんだけど……
そんなことを考えながら、アルトとルナは必死に聞き込みをする。

「スリープとルリリですか?それならー。」

ートゲトゲ山に行きましたよ?ー

そんな証言が、アルトの耳に聞こえた。
その情報を発しているのは、ライチュウというポケモン。

「そうなんですかっ!?ありがとうございます!」

「ルナ、トゲトゲ山だって?」 

「うん。そこに、スリープとルリリが。」

「……分かった、行ってみよう。情報が少ない今、行く価値はあるよな。」


こくんと頷くルナを見て、「よしっ」と掛け声を掛ける。
もしかしたら、スリープと戦うことだって、あり得る。

そんなことを考えながら、アルトはトゲトゲ山へと向かった。




アルト達はトレジャーバッグなどなどを貰った時とは別に、ふしぎなちず、というものをぺラップから受け取っていた。
地図を読むのはルナ。アルトも読めるっちゃ読めるので、とりあえず二人で頑張っている。

「ここを、右?」

「そうっぽいな。……見えてきたな。本当にトゲトゲしてる。」

「そそ、トゲトゲ山はその名の通りトゲトゲしてるの。まぁ、私も行ったことないから、初めて訪れるけどねぇ。……とりあえず、ルリリを守ることが先決だねっ!」

「うん。スリープもできれば身柄を拘束したいんだがね。」

「まぁまぁ、高望みはせずに。」

スリープが何のためにルリリを連れ去ったのかは分からない。
しかし、ルリリが危険になっているのは事実。

「よし、気を引き締めてくよっ!」

ルナの声はいつものように明るく、元気だが、顔は真剣そのもの。
ずっと前を見据えていて、ルリリを助けようっていう眼差し。

アルトもその姿を見て、気合いを入れ直す。
ルナは真剣。ルリリを助けるために。
これまで、こんなに真剣なルナを見たことがあったか?
出会ってからは日が浅いけれど、それでも、ここまで真剣なルナは見たことが、無い。

「ルナ、凄く本気だね。」

ふと、そんな言葉がポロリと口から溢れる。
ルナはアルトの方を見ると、ニコッと笑った。

「うん。ルリリを助けるためにね。はじめて、依頼じゃなく、お尋ねもの退治みたいなのをやるから、実は変な話、ワクワクしてるんだ。」

少し先を見据えて話すルナを見て、アルトもふっと笑う。

「そっか。なら、頑張ろう!」

「うんっ!」

アルトとルナは互いにニコッと微笑むと、真剣な表情に戻る。

ールリリを、助けるため。ー

そう思うと、二人の足は、徐々に速まっていった。




「ふぁぁっ……、おはようございますぅ」

「ああ、シャムさん。おはようございます。」

大きなあくびをしながら、シャムが寝室から出てきた。ペラップも、若干困惑気味。
まわりをキョロキョロしながら、ペラップに訪ねる。

「あれ?ポケモンズ達は?」

「ああ、アルトとルナですか?ええと、ビッパの話によると、トゲトゲ山に行ったらしいですよ?何だか焦っていたようでしたが。」

「ふぅん、トゲトゲ山ですか。ふぁぁっ……」

シャムは寝ぼけ眼で、その場に座り込む。
数秒した後に、シャムが覚醒したように、目を開いた。

「トゲトゲ山は、今の時期は入っちゃダメだ……!」

「どうかしましたか?シャムさん。」

「今のトゲトゲ山には、多分、サザンドラ達が居ると思います。サザンドラ達が獲物を捕らえる為の休息所として、トゲトゲ山の山頂付近を使用しています。サザンドラは凶暴な性格故、誰も入らないと思っていたが……。ルナ達ならやりかねない……っ!」

シャムは慌てて飛び出すと、真っ先にトゲトゲ山へと向かった。

「ルナ…ッ、ルナァッ!」

また、守れないのか?
あのときと、故郷を守れなかったあのときと、変わってないのか?

ールナを、また守れないのか?ー

シャムに苦痛に歪んだ表情になりながら、全速力で駆け抜ける。

ーどうか、無事で居てくれー









「もう、少しで山頂……?」

弱点を突かれるドードーの攻撃を受けたアルトに、そのドードーの相手で、かなりのダメージを負ったルナ。

「ここからもしもスリープの相手をするとなると、厳しいな……」

「んー、でも、頑張らなきゃ。もう、少しだと思うから。」

坂も急になってきて、体も重くなってきた。
傷も多く、息もきれて、今にも倒れそう。

ルリリを守る。助ける。

この目的のためだけに、この二匹は戦っている。立ち上がっている。

「あ、あれが山頂じゃない?」

「い、急ごう。」

少しペースをあげて、山頂へと辿り着く。


二人はその光景を見て、絶句した。

あの、凶悪、凶暴なポケモンとして知られるサザンドラや、その進化前のジヘッドやモノズがたむろしているのだ。

そして、ルリリとスリープは、サザンドラ達に囲まれている。

「ううっ……」

今にも泣き出しそうなルリリを見て、真っ先に飛び出したのは、ルナだった。

「やめろーっ!」

サザンドラ達の群れに飛び込んでいくと、囲まれていたルリリとスリープを逃し、囲まれるのは、ルナだけとなった。

ルナを守るために、アルトもその輪の中に入る。

ー挑発しないように。慎重に。ー

その考えながら、次は何をしようかと考えるアルト。

「テメェラ、オレタチノジャマ、シタイノカ?」

「いいえ、邪魔なんてする気は。」

「ソウカ?コウナッテイルノハ、ジャマヲシタカッタカラダロウ?」

「私たちに、その意思は無い。」

「エエイ!ダマレダマレダマレッ!」

周りのサザンドラと色が違う、リーダー格のようなサザンドラが大きな声で怒鳴る。
アルトとルナは怖じけずきながらも、堂々としていた。

「オマエタチ、コイツラヲナワデシバレ。」

「リョウカイ。」

側に居たジヘッド達に指示を下し、アルト達を縄で縛ろうと、縄を取り出す。

「ううっ、助けてっ」

縄が、ルナの目の前に出てきたときー。




ーチータ!マジカルシャイン!ー

空から光の針が、ジヘッドめがけて降ってきたのだ。
空を舞うポケモンが地上に降りてきたとき、見たことある顔が、こちらへ微笑んでいた。




「待たせたな、アルト、ルナ。」

「ラ、ラン兄っ!」
つまりましたが、一応投稿。
一生分の気力を使い果たした気分です。

トレーナー物書きたいな。

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