「ルッルナッ」
「どうしたの?アルトー。そんなに慌てて。」
「ルリリが、危ないっ!」
大体のいきさつ、さっき感じた感覚を伝えると、ルナはうーん、とうなる。
でも、もしそれが本当だったら。
ルリリはどうなるんだろう?
「このあとは暇なんだから、私たちで何とかするしかないよっ!行こう、アルト!」
やる気を出したルナは、トレジャータウンにいる人々に聞き込みをする。
スリープとルリリの行った場所。
それが分かればいいんだけど……
そんなことを考えながら、アルトとルナは必死に聞き込みをする。
「スリープとルリリですか?それならー。」
ートゲトゲ山に行きましたよ?ー
そんな証言が、アルトの耳に聞こえた。
その情報を発しているのは、ライチュウというポケモン。
「そうなんですかっ!?ありがとうございます!」
「ルナ、トゲトゲ山だって?」
「うん。そこに、スリープとルリリが。」
「……分かった、行ってみよう。情報が少ない今、行く価値はあるよな。」
こくんと頷くルナを見て、「よしっ」と掛け声を掛ける。
もしかしたら、スリープと戦うことだって、あり得る。
そんなことを考えながら、アルトはトゲトゲ山へと向かった。
アルト達はトレジャーバッグなどなどを貰った時とは別に、ふしぎなちず、というものをぺラップから受け取っていた。
地図を読むのはルナ。アルトも読めるっちゃ読めるので、とりあえず二人で頑張っている。
「ここを、右?」
「そうっぽいな。……見えてきたな。本当にトゲトゲしてる。」
「そそ、トゲトゲ山はその名の通りトゲトゲしてるの。まぁ、私も行ったことないから、初めて訪れるけどねぇ。……とりあえず、ルリリを守ることが先決だねっ!」
「うん。スリープもできれば身柄を拘束したいんだがね。」
「まぁまぁ、高望みはせずに。」
スリープが何のためにルリリを連れ去ったのかは分からない。
しかし、ルリリが危険になっているのは事実。
「よし、気を引き締めてくよっ!」
ルナの声はいつものように明るく、元気だが、顔は真剣そのもの。
ずっと前を見据えていて、ルリリを助けようっていう眼差し。
アルトもその姿を見て、気合いを入れ直す。
ルナは真剣。ルリリを助けるために。
これまで、こんなに真剣なルナを見たことがあったか?
出会ってからは日が浅いけれど、それでも、ここまで真剣なルナは見たことが、無い。
「ルナ、凄く本気だね。」
ふと、そんな言葉がポロリと口から溢れる。
ルナはアルトの方を見ると、ニコッと笑った。
「うん。ルリリを助けるためにね。はじめて、依頼じゃなく、お尋ねもの退治みたいなのをやるから、実は変な話、ワクワクしてるんだ。」
少し先を見据えて話すルナを見て、アルトもふっと笑う。
「そっか。なら、頑張ろう!」
「うんっ!」
アルトとルナは互いにニコッと微笑むと、真剣な表情に戻る。
ールリリを、助けるため。ー
そう思うと、二人の足は、徐々に速まっていった。
「ふぁぁっ……、おはようございますぅ」
「ああ、シャムさん。おはようございます。」
大きなあくびをしながら、シャムが寝室から出てきた。ペラップも、若干困惑気味。
まわりをキョロキョロしながら、ペラップに訪ねる。
「あれ?ポケモンズ達は?」
「ああ、アルトとルナですか?ええと、ビッパの話によると、トゲトゲ山に行ったらしいですよ?何だか焦っていたようでしたが。」
「ふぅん、トゲトゲ山ですか。ふぁぁっ……」
シャムは寝ぼけ眼で、その場に座り込む。
数秒した後に、シャムが覚醒したように、目を開いた。
「トゲトゲ山は、今の時期は入っちゃダメだ……!」
「どうかしましたか?シャムさん。」
「今のトゲトゲ山には、多分、サザンドラ達が居ると思います。サザンドラ達が獲物を捕らえる為の休息所として、トゲトゲ山の山頂付近を使用しています。サザンドラは凶暴な性格故、誰も入らないと思っていたが……。ルナ達ならやりかねない……っ!」
シャムは慌てて飛び出すと、真っ先にトゲトゲ山へと向かった。
「ルナ…ッ、ルナァッ!」
また、守れないのか?
あのときと、故郷を守れなかったあのときと、変わってないのか?
ールナを、また守れないのか?ー
シャムに苦痛に歪んだ表情になりながら、全速力で駆け抜ける。
ーどうか、無事で居てくれー
「もう、少しで山頂……?」
弱点を突かれるドードーの攻撃を受けたアルトに、そのドードーの相手で、かなりのダメージを負ったルナ。
「ここからもしもスリープの相手をするとなると、厳しいな……」
「んー、でも、頑張らなきゃ。もう、少しだと思うから。」
坂も急になってきて、体も重くなってきた。
傷も多く、息もきれて、今にも倒れそう。
ルリリを守る。助ける。
この目的のためだけに、この二匹は戦っている。立ち上がっている。
「あ、あれが山頂じゃない?」
「い、急ごう。」
少しペースをあげて、山頂へと辿り着く。
二人はその光景を見て、絶句した。
あの、凶悪、凶暴なポケモンとして知られるサザンドラや、その進化前のジヘッドやモノズがたむろしているのだ。
そして、ルリリとスリープは、サザンドラ達に囲まれている。
「ううっ……」
今にも泣き出しそうなルリリを見て、真っ先に飛び出したのは、ルナだった。
「やめろーっ!」
サザンドラ達の群れに飛び込んでいくと、囲まれていたルリリとスリープを逃し、囲まれるのは、ルナだけとなった。
ルナを守るために、アルトもその輪の中に入る。
ー挑発しないように。慎重に。ー
その考えながら、次は何をしようかと考えるアルト。
「テメェラ、オレタチノジャマ、シタイノカ?」
「いいえ、邪魔なんてする気は。」
「ソウカ?コウナッテイルノハ、ジャマヲシタカッタカラダロウ?」
「私たちに、その意思は無い。」
「エエイ!ダマレダマレダマレッ!」
周りのサザンドラと色が違う、リーダー格のようなサザンドラが大きな声で怒鳴る。
アルトとルナは怖じけずきながらも、堂々としていた。
「オマエタチ、コイツラヲナワデシバレ。」
「リョウカイ。」
側に居たジヘッド達に指示を下し、アルト達を縄で縛ろうと、縄を取り出す。
「ううっ、助けてっ」
縄が、ルナの目の前に出てきたときー。
ーチータ!マジカルシャイン!ー
空から光の針が、ジヘッドめがけて降ってきたのだ。
空を舞うポケモンが地上に降りてきたとき、見たことある顔が、こちらへ微笑んでいた。
「待たせたな、アルト、ルナ。」
「ラ、ラン兄っ!」
つまりましたが、一応投稿。
一生分の気力を使い果たした気分です。
トレーナー物書きたいな。