第1話 森に住む少女

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

オルス地方、シノバの森。
その奥は毎日騒がしくなる。

「ルキ、はっけい」

白銀の髪を靡かせた少女は青黒の獣人のような波紋ポケモン、リオルと共に目の前にいるリオルより二倍ある少し似たポケモン、ルカリオを相手に掌を前に出し戦っていた。
リオルの攻撃を交わしたルカリオ。

「コメットパンチ」

それを見越してはっけいからのコメットパンチが見事にルカリオを捉えた。
腕を交差させて防御したルカリオだったが攻撃の勢いに後ろに押される。
ルカリオはリオルを見詰め溜め息を吐き顔を振った。

「グルゥッ」

「キャン」

ルカリオのその一言にルキと呼ばれたリオルは振り返り嬉しそうな表情で鳴いた。

「うん、やったね!」

ルキはお母さんに認められ喜び、少女とルキはハイタッチした。

「キャンキャンクゥ~ン!」

ルキは少女に向かって話しかけていた。
分からないポケモンの言葉を、少女は腰を下げ楽しげに頷き相槌をする。
そう、少女はポケモンの言葉が分かるかのように────

「ルキのお陰。
強くなる為に特訓してた」

『うん、凄く頑張ったから!
でもシーナの指示があっての勝利だから、母ちゃんに認められたのはシーナのお陰』

「そう?
じゃあ、私達二人のお陰ね」

『うん、そう!』

手振りで伝えやすくする事もなく、ルキはシーナと呼ぶ白銀の少女はポケモンと会話していた。
そんな二人の元に草村が揺れ、何か現れた。

「ニィ~」

灰色の猫の様な自制ポケモン、ニャスパーだった。

『バトル終わったよね?』

そう言ってシーナの肩にピョンッと跳び乗るニャスパー。

『ニース、俺勝ったんだ』
『うん、おめでとう』

肩に乗りながらルキに目線を合わせたニースと呼ばれたニャスパーだったが、余りにも感情の入っていないその言葉にルキはジド目で見詰める。

『ニース…こんなおめでたい日に勝利祝いとして少しぐらい遠慮しようと言う考えはないのか?』
『うん、無いね。
ここ僕の特等席』

「クーン」と溜め息を吐くルキに、ニースは嬉しそうにシーナの肩に乗っていた。
そんな二人のやりとりにシーナはルキの両脇にそっと手を通し抱き上げた。

「キャン!?」

ニースの様に甘えるのが苦手なルキだから、驚きそっぽを向くが尻尾を振り嬉しそうな姿にシーナは微笑む。

「もう暗くなるから帰ってご飯食べよう?」
「「キャン!/ニィ~」」

ルキを抱っこして肩にニースを乗せシーナは、森の奥へと入っていった。

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