ダブルバトルも知ろう

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 トオルの勝利で終わった第1戦。
 興奮冷めやらぬトオルと軽くハイタッチすると、今度はリュウがバトルフィールドに立った。
 反対側には、髪を短く切りそろえた青年が楽しそうに立っている。
「次はオレ、ダイキが相手だよ!対戦方法はどれが良い?」
「リュウです。それじゃあ、ダブルバトルを希望します。」
 ダイキと名乗った青年は、オッケー!と軽く返し、早速ポケモンの選択に入った。
(大丈夫かな…リュウ…)
 チヒロの不安な表情に気がついたのか、リュウと入れ替わりで戻ってきたトオルが軽く笑い飛ばした。
「リュウなら心配ないって。元々ダブルバトルの方が得意なんだ、あいつ。」
「…そうなの?」
「シングルも強いけどね。まぁ今回は多分…チヒロにダブルバトルの戦いも見てもらおうって感じだと思う。」
 リュウもまた、チヒロの事を考えて戦い方を選んでくれたようで、二人の好意に胸が熱くなる。
 対戦が始まるまで、トオルにダブルバトルについて簡単に教えてもらおうと思って、思い切って聞いてみると、笑って頷いてくれた。
 トオルなりにまとめて対戦の醍醐味について話してくれる姿は、いつも学校で見ている姿より頼りがいがあって、少し大人びて見えた。
 ダブルバトルは、4匹を選んで戦うスタイルだ。
 バトルフィールドに2体ずつ出して戦うから、シングルバトルよりも戦術は幅広くなる。もちろん、その分相手の戦い方も増えるから、考えることが増えるのだという。
 トオル曰く、俺にはムリ、ということらしいので、頭の良いリュウに向いているのだと思った。
 対戦相手のダイキはどうなのだろうと思って、向こう側を見れば既にポケモン選択は終了していて、リュウの完了を待っているようだった。
 糸目の表情は柔らかで、先程の口調からして明るく、ちょっと子供っぽさも見え隠れする感じの青年のような気がする。
 左頬にはどこかで怪我でもしたのか、傷跡が残っている。
(そういえば…そっくり…)
 ふと、ブルーオーシャンのもう一人のメンバーも、同じような顔をしていることに気がついた。

「行け、キリキザン!ウルガモス!」
「サンドパン!バイバニラ!行くよっ!」

 フィールドの二人の声が響くと、アトラクション参加カードからバトル開始のアナウンスが流れた。
 チヒロがカードを裏返すと、リュウの欄にキリキザンとウルガモスが、ダイキの欄にサンドパンとバイバニラが表示されている。
 このサンドパンはアローラの姿だから、こおり/はがねタイプだね。
「うわっ、雪パか!」
 トオルの驚く声と、フィールドにあられが降り注ぐのがほぼ同時だった。
 どうやらバイバニラの特性、ゆきふらしによるものらしい。なんとなく、見ているこっちも寒くなってくる。
 渋い顔をするトオルに、さっきの発言について聞くと、あぁそっか、と分かりやすく意味を教えてくれた。
 どうやら、あられという天候を有効活用したパーティの事を『雪パ』と言うらしい。他にも天候を使ったパーティは色々あるそうで、雨やら砂やら対人戦ではよく見かける構成らしかった。
「あいつ大丈夫か…!あのサンドパン、特性多分ゆきかきだぞ…!?」
「ゆきかき?」
「えーっと…ゆきかきって特性があって、天候があられだと、素早さが2倍になるんだ。ゆきふらしの特性と組み合わせる奴が多いんだ。」
 サンドパンは上空から降る霰を見て、嬉しそうに飛び跳ねており、その姿とトオルの説明にようやく状況が飲み込めた。
 相性は良くても、キリキザンもウルガモスもそんなに素早さが高くないという補足を聞いて、チヒロの表情が曇る。
 だが、そんな不利な状況にも関わらず、フィールドに立つリュウの表情に変化はないように見えた。

「それじゃあ、先手はもらうよー!サンドパン、オーロラベール!」

 ダイキのサンドパンが予想通り先手を取って、技を繰り出す。
「ウルガモス、ちょうのまい!キリキザンは、サンドパンにアイアンヘッド!」
「バイバニラ、ウルガモスにみずのはどうだ!」
 4体のポケモンが見事な技を繰り出して、お互いに攻撃がヒットすると、その衝撃がチヒロ達の方まで伝わってくる。
 オーロラベールによる防御の固め方、特性の掛け合いによる戦術。
 シングルバトルでは見かけない、補助技を上手く使った戦法を、チヒロは食い入るように見つめていた。
「これで抜けるはず…!ウルガモス、ねっぷう!」
 先程の攻撃を耐えきったウルガモスの攻撃が2匹にヒットするが、サンドパンは持っていた気合いのタスキで耐え凌ぐ。
「サンドパン、いわなだれ!」
 耐えたサンドパンの反撃で、ウルガモスが戦闘不能になった。
「アイアンヘッド!」
 倒れたウルガモスをボールに戻すと即座にキリキザンがサンドパンに突っ込み、攻撃を見事に決めて戦闘不能に持ち込む。
 お互い一歩も譲らぬ戦いに、トオルが隣で元気に声援を送っていた。

(すごい…これがダブルバトルなんだ…!)

 目の前で繰り広げられる戦いにただ圧倒されるばかりだが、1秒たりとも目が離せなかった。
 それだけリュウもダイキも真剣勝負をしているのだというのが、ありありと伝わってくる。
 バイバニラの攻撃がミスに終わって、お互い3匹目のボールを手に取って放り投げると、ヌメルゴンとプテラが姿を現した。
 何かを呟く間もないまま、プテラとリュウの持つキーストーンが反応する。
「リュウの奴、一気に決めに行く気だな!」
 トオルのテンションが一層上がり、声援もより一層大きくなって、でもそれがちょっとうるさくて、チヒロは分からないように半歩トオルから離れた。
 不自然かな…と不安を抱えながらトオルを見たが、トオルは眼前のバトルに夢中のようで気づいていないようだった。
 学校にいる時もそうだが、トオルは時々周りが見えなくなることがあって、そういうところがチヒロは少し苦手だった。良い友達ではあるのだが。
 そういう時にたしなめるのが、リュウの役目。だから、二人は良いコンビでクラスからも一目置かれているところがあった。
 急に大きな風が吹いてきて、チヒロは慌てて踏ん張って前方を見た。
 プテラがメガシンカした姿、メガプテラ。
 本来の強そうな大顎がより一層強そうになり、力強さの増した羽ばたきだけで砂煙が巻きおこる。
 静かにフィールドを見守っていると、リュウのメガプテラが、その大きな顎から繰り出される氷のキバで、ヌメルゴンに襲いかかっていた。
 体力が残り僅かだったバイバニラも、キリキザンのアイアンヘッドで戦闘不能に持ち込まれている。
「やるね!でもオレのヌメルゴンはまだ戦えるよ!ふぶきだ!」
 天候があられの時のふぶきは、命中率100%の全体攻撃で、リュウの両方のポケモンに攻撃が当たってしまう。
 それと天候の効果で、ついにキリキザンが力尽きた。
「ありがとう、キリキザン。最後はエルフーン、頼むぞ!」
 もこもこふわふわのエルフーンがふわりと登場すると、ゆったりと地面に着地した。
「あ…かわいい…!」
 その姿が可愛らしくて、チヒロが思わず呟いていると、隣でガクッと力の抜ける音がして慌てて振り返った。
「ト…トオル!?」
「いや…だ、大丈夫…!流石チヒロ…この状況でよく可愛いとか言ってられるよな…!!」
「えっ…!?ご、ごめん、私つい…!」
 真剣勝負の最中だった事を思い出して、慌てて顔を赤らめながらぺこぺこ謝った。
 その様子を見たトオルも、慌てて首を振っている。二人でわたわたしている姿は、多分滑稽に見えたと思う。
「ほ…ほら!バトルバトルっ!!」
 不自然な様子でトオルがフィールドを指差すと、ダイキが最後のポケモン、ギャラドスを呼び出して攻撃に備えていた。
 リュウとダイキの指示がほぼ同時に響き渡る。

「エルフーン、ちょうはつ!」
「ギャラドス、でんじは!」

 互いの技を聞いて、ダイキのうろたえる声が聞こえてきた。
 一方のリュウは相変わらず表情に変化はなかったけど、してやったという空気は感じられる。
 エルフーンの技が先に決まって、ギャラドスが技を出すのを失敗するのを見届けると、メガプテラが大きな声で吼えた。
「いわなだれ!」
 ギャラドスには効果抜群、ヌメルゴンはいわなだれの効果で怯んでしまい、ダイキが苦い顔をした。
「これで…最後だ!メガプテラ、いわなだれ!エルフーンはムーンフォース!」
 リュウのポケモン達が一斉攻撃を仕掛けると、フィールドに大きな爆発音と衝撃波が発生した。



『ポケモンバトルが終了しました。』

■第2戦
 ダイキ VS リュウ(ダブルバトル)

■バトル結果:リュウ
 キリキザン ×
 ウルガモス ×
 プテラ   ○
 エルフーン ○

■バトル結果:ダイキ
 サンドパン ×
 バイバニラ ×
 ヌメルゴン ×
 ギャラドス ×

■勝者
 リュウ(ピカチュウ☆ラブ)



『チーム戦が終了しました。各チームにBPが付与されました。』

■勝者
 ピカチュウ☆ラブ

■獲得BP
 ピカチュウ☆ラブ:30BP
 ブルーオーシャン:3BP

まだよく分かっていないのですが、読了報告って良いですね…励みになります。ありがとうございます。
嬉しくなって、勢いだけでこの回書きました。
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