10話 VRでは夢を見ない

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 思わず翔は舌を巻いた。他のカードと何も変わらずにAfを使いこなす風見。何があいつをそこまで駆り立て、Afに固執するのか。
「ヘビーインパクトの威力は150。エルレイドEXの残りHPは10、か。首の皮一つつながったというところだな」
「首の皮でも繋がれば十分です、私もエルレイドもまだ戦える!」
「折角のEXを失うことになるぞ」
「本来EXポケモンを倒されたとき、サイドを二枚引かれる。でも貴方のカイリューがつけた『Afエネルギー錯誤』の効果で、仮にエルレイドが倒されても、貴方が引けるサイドは一枚減って一枚だけ! それくらいで私たちは臆しないわ」
 Afのコンボによる急襲で風見が有利なイメージは強いが、サイドは風見が三枚、澤口が二枚。ポケモンも風見はバトル場のカイリュー160/160一匹だけだ。冷静して俯瞰すれば、風見はまだリードを許している。
「私の番です。エルレイドEXに超エネルギーをつけ、ベンチのボクレーをオーロット(110/110)に進化させます。そして手札からサポート『プラターヌ博士』を発動します。手札を全てトラッシュし、新たにカードを七枚引きます」
 プラターヌ博士を使用した時点で澤口の手札は0。つまり手札を捨てることなく、リスク無しで七枚カードを引いたわけだ。しかし澤口の表情は苦虫を噛み潰したようで、冴えない。
「……グッズ『クラッシュハンマー』を発動。コイントスをし、オモテなら相手のエネルギーを一枚トラッシュします」
 風見は先のターンで全ての手札を使い切っているため、ここでエネルギーをトラッシュ出来れば足止めになる可能性はある。が、そんな小細工は通用しないとでも言わんばかりに結果はウラだ。
「ならば攻撃します。エルレイドEXでサイドスラッシャー!」
 エルレイドEXの肘刀に光が満ちる。間合いを一気に縮め、右肘刀を斜め上からカイリューの巨体に向けて振り下ろす。
「サイドスラッシャーは自分のサイドの枚数かける20の追加ダメージを与えます。基本ダメージ50に、私のサイドの枚数二枚を考慮して90ダメージです!」
 肘刀を受け怯んだカイリューに、立て続けに左肘刀で横一線薙ぎ払い、さらにおまけの掌底が快音を鳴らしカイリュー70/160にヒット。カイリューは一歩二歩と下がるが、依然やる気は十分だと言わんばかりに翼をはためかす。
 エネルギー錯誤のデメリット効果を加味して澤口の方にはまだ余裕があるのだろう。自分のポケモン二匹をやられてでもカイリューを倒せれば、そう考えているかもしれない。
「ならばこちらも攻撃だ。カイリュー、ヘビーインパクト!」
 風見はターン開始早々攻撃宣言。残りHPが僅かなエルレイドEXに、トドメの高高度からのタックルが襲い掛かる。威力150の超火力攻撃を受け、エルレイドEX0/170は肘から崩れ、倒れ伏す。
「EXポケモンを気絶させればサイドを二枚引けるが、エネルギー錯誤の効果で引けるサイドは一枚減る。だが、ここでカイリューの古代能力発動。デルタプラス!」
 カイリューの体から淡い緑の光が波紋状に広がっていく。古代能力、それはポケモンカードXYから登場した新能力だ。一部のポケモンにのみ与えられ、アルファやオメガ、デルタなどの名称を持ち各々効果が異なる。
「デルタプラスの効果。このポケモンがワザによって相手を気絶させたなら、サイドを引く枚数を一枚増やす。つまり俺が引くサイドは二枚だ」
「そんな……! エネルギー錯誤はあくまで目晦ましだったの!」
 2-1+1=2で風見は一気にサイドを二枚引く。デルタプラスがあれば、EXポケモンでなくてもポケモンを倒してもきっちりサイドを引くことが出来る。あくまでエネルギー錯誤の強力なメリットとデメリットで相手の気を惹かせ、真の風見の狙いはデルタプラスによるブーストだ。
 この時点で翔は察した。風見はAfをただのカードと同列に使っている。それどころか、Afの強力さや奇抜さに目を引き付けさせ本命は別のところにある。そんなヤツのプレイングは、Afを文字通りに巧みに使っているといえる。
 澤口の二番手はオーロット110/110だ。ここからの逆転を狙うのであれば、カイリューを倒す。もしくはカイリューに攻撃をさせないのどちらかしかない。
「確かに貴方が使うAf、他のAf使いとは違う。そういう事は分かりました。でもどうしてそこまでAfに固執するんですか?」
「聞いてもいいが……。話が長くなるぞ。それに俺は自分のことについて話すのは苦手だ」
「構いません。聞かせてください」
 真摯に風見を見つめる眼差し。凛とした声とは裏腹に、澤口の中では風見がなぜそこまでAfを必要とするか。それに対する好奇心が沸いていた。あくまで自分のスタンスとしてはAfの存在自体を否定したい。だがポケモンカード界隈でもそれなりに実績を持つ風見雄大が、何故そこまでAfにこだわるのか。
 風見はどこから話せばいいか、頭の中で筋道を立てながらゆっくりと言葉を紡ぎだす。事の始まりは彼が幼少期のことだった。
 風見の幼少期、ほとんど生家に閉じ込められた生活を送っていた。そんな彼の身の回りには、生活の世話をする大人と勉強を教える厳しい大人の二種類しかいなかった。かろうじて外に出る機会と言えば、学校に通うぐらいだ。しかし風見自身のコミュニケーション能力の問題もあるが、日頃から大人に塗れた環境で育った事もあり、早熟し過ぎた精神年齢のせいで同世代にも馴染めなかった。
 そんな彼の転機は、たまたま学校の帰りに見つけた道端に落ちていたポケモンカードとの出会いだった。強制させられていた勉強しか知らなかった彼に、娯楽という概念が初めて芽生えた。存在のしないポケモンという生き物に、ようやく年相応な夢を馳せた。
 もしポケモンが実際にいたなら、どれほど自分の環境は変化していたのだろうか。寂しいとき、そっと寄り添って励ましてくれるのか。あるいは嬉しいとき、共にその喜びを分かち合えるのだろうか。彼は今まで縁の無かった「愛しさ」という概念を本能的に察し、思わず涙した。
 年相応の愛しさへの欲求は、成熟し過ぎた発想と知識によって歪な形で彼に生きる目的を与えた。
 ポケモンが実在しないのであれば、実在させれば良い。その技術がないのであれば、その技術を生み出せばいい。
 当時小学校低学年であったにも関わらず、そこからは厳しく教えられていた勉強も彼の生きるための目的への糧と変わった。知識に貪欲な野獣は、めきめきと工学分野で頭角を現す稀代の天才になった。
 しかし彼の夢である「現実世界でポケモンと触れ合う」ことには程遠い。既に世の中には映像だけのAR(拡張現実)や、視覚だけのVR(仮想現実)が出回りつつあるが、風見が求めるのはあくまでARの延長線上。触れられる、つまり質量をもったARだ。
 本来物理的に「存在しない」はずの精神エネルギーを物理的に干渉させる事が可能なAfの存在は、「実在しない」はずのARビジョンに質量を持たせるという彼の夢の実現の足掛かりになる。
 風見は時折言葉に詰まらせたり、悩みながらも内に秘めていたその夢を打ち明けた。なぜ収益が他にも見込めそうなのに、バトルデバイスなどを始めポケモンカードに関する映像技術を風見が優先し続けてきたか。翔達もようやく腑に落ちた。
「Afはお前の言うようにプラスだけではない。だが、本当にAfはただネガティヴな存在なのか? それを判断するのはお前ではない。俺を始めとした技術屋だ」
「風見さんの主張は分かりました。……でも今の言い草だけは素直に呑み込めませんね。まるで私たちを否定するように」
「何を勘違いしている、別に俺はお前に理解をしてほしいつもりはない。俺が伝えたかったことはたった一つ。Afは俺の夢に繋がるかもしれない可能性だ。そして俺の夢の邪魔をするのであれば、例え誰であろうと全力で叩き潰す。俺にはその覚悟がある。お前には覚悟があるか?」
 鋭い剣幕に翔を始め、周りに居た者全員が圧倒される。たとえ翔や恭介程近しい存在であろうとも、そのつもりなら容赦はしない。まるでそう警告しているようにも思えた。澤口も僅かに怯んだが、すぐに風見を睨み返すよう立ちはだかる。
「そこまで言うなら、私の本気で貴方を討ちます」
 そう語る澤口の目の色がみるみると鮮やかなマゼンタに染まっていく。澤口のオーバーズか。ピリピリと張り詰めた空気を醸し出すオーバーズに、恭介は直接対峙していないにも関わらず冷汗が滲む。
「手札から超エネルギーをオーロットにつけます。続けてスタジアム、次元の谷!」
 空が極彩色に塗り替えられていく。風見と澤口を中心に、大地が円形に抉り取られて浮上していく。もっとも、それはそう見えるだけで所詮はホログラムによる映像だ。周囲からもどこからか多数の浮島が現れ、幻想的な雰囲気に彩られていく。
 これは前回翔と対戦したときでも使っていたスタジアムだ。超タイプのポケモンが使うワザエネルギーを、無色一つぶん軽減するスタジアム。
「続けてグッズ『びっくりメガホン』を発動。相手の場のポケモンのどうぐをトラッシュ。もちろん、カイリューについているエネルギー錯誤もトラッシュです。更にオーロットの特性、森の呪いによって風見さん。あなたは手札からグッズを使うことが出来ません。これでお得意のAfを含めたコンボも止めました」
 エネルギー錯誤はエネルギー二つ分を代用するポケモンの道具。このままでは次の番、風見がエネルギーを一つつけたとしても、カイリューは攻撃出来ない。
「これだけじゃないですよ。森を守りし木の霊よ。その力を昇華させ、害為す者に鉄槌を! BREAK進化、降霊せよ、オーロットBREAK!」
 オーロットの体が、みるみるとメッキを施したかのように金色に変色していく。一部のEXを除く最終形態ポケモンは、更に進化をしてその能力を高める「BREAK進化」が出来ると聞いたことがある。なるほど、これがそうなのか。
「オーロットBREAK(160/160)を初めとしたBREAK体は、進化前のワザ、特性、弱点、抵抗力、逃げるために必要なエネルギーなどのステータスを全て引き継ぐことが出来ます。なので森の呪いの効果はBREAK進化しても継続します。そのままバトル、ウッドスラム!」
 ウッドスラムは進化前のワザだ。金色に輝く腕を持ち上げ、カイリュー10/160に向け振り下ろす。
「ウッドスラムは相手のベンチポケモン二匹にも20ダメージ与える効果があります。仮にそのカイリューをベンチに逃がしても、次のターンで仕留めます。さらにオーロットの特性、森の呪いでAfはおろか他のグッズも使えません」
「やべえ、一瞬で盤面をひっくり返しやがったぞ!」
 隣で恭介が騒ぎ立てる。無理もない、風見が一方的に追い詰めていた展開から一転してこの状況。翔はあの時風見が止めに入ってくれて良かった、安堵した。いいや、それじゃダメだ。安堵しているようでは前に進めない。むしろ今考え、感じるべきは風見と澤口両者のタクティカルなプレイだ。俺自身もあのくらい戦えるようにならなくてはならない。
 今の風見の戦法は、見た所Afによる強力な効果で自分の大型ポケモンのアシストをし、重い一撃で相手を倒す方針。澤口はそう確信した。仮にエネルギー錯誤のようなポケモンの道具があったとしても、ポケモンの道具もグッズとして分類させるため発動すらさせない。頼みの綱のAfも封じた以上、カイリューが次の番に攻撃する可能性は無い。
 澤口としては無論、本来ならばここでカイリューを倒しておきたかった。手札にクロバット、或いはクロバットを引くカードがあれば、クロバットの特性で進化時にダメージを与えることができ、カイリューを倒して勝利出来た。とはいえ叶わないのならセカンドベストだ。次で、仕留める。もう喉元まで刃は食い込んだ。なのに対峙する風見の顔は、俄然鋭い眼光を宿している。
「勘違いをしてもらっては困るな。Afを使うとは言ったが、Afに頼り切るとは言った覚えは無い。そして……、お前に次の番は回ってこない」
 風見は今引いたカードに目もくれず、手札を一枚選ぶ。
「蒼海の覇者よ。風を巻き上げ唸りをあげよ! 舞い上がれ、カイリューEX」
 ベンチに突風を巻き上げながらカイリューEX180/180が現れる。乱れた大気が、バトル場にいるカイリュー10/160をも吹き飛ばす。
「カイリューEXの特性、乱入を発動。このカードをベンチに出したとき、バトル場のポケモンと入れ替えてエネルギーを好きなだけ付け替えることが出来る。勿論、全てのエネルギーをカイリューEXに付け替える。そしてサポート『フラダリ』を発動。相手のベンチのポケモン一匹をバトル場に出す」
「流石は風見くんね、森の呪いの弱点をうまく突いてきたわ」
「希さん、どういうことですか?」
「美咲ちゃんのオーロットの森の呪いは相手のグッズを封じる効果があるわ。でも、封じれるのはグッズのみ。つまり、サポートであるフラダリなら使えるの」
 風見が新たにバトル場に引きずり出したのはゴルバット110/110。オーロットBREAKがバトル場からいなくなったことで、森の呪いの効力は失われる。
「くっ、これでまたAfが使──」
「何度も言わせるなよ。Afは所詮俺の夢のための道具に過ぎない。Afに頼り切ることもない。その覚悟を、その身で受けてもらう。カイリューEXで攻撃。ジェットソニック!」
 地面すれすれの低空を飛びながら、カイリューEXが音速でゴルバットに迫っていく。必死に空へ逃げ惑うゴルバットにも、狙いを定めたミサイルのように的確に追尾していく。
「カイリューEXについたエネルギーを一つトラッシュすることでジェットソニックの威力は40上昇。ゴルバットが受けるダメージは基本ダメージ80に加え、120!」
 徐々に距離の縮まる二匹。ゴルバットが身軽に軌道を変えながら差をつけようとするが、急旋回して加速したカイリューの突進攻撃を受け、ゴルバット0/110は地面に叩きつけられる。
「風見が勝った……!」
 勝敗が付いたことでカイリューを始め、全てのポケモンが消えていく。蓋を開ければ、風見が序盤はAfで相手を翻弄させて注意を惹かせつつ、最後の最後はAfとは何ら関係のないエースポケモンがトドメを刺す。まるで風見がコントロールしていたのはAfじゃない、この対戦そのものだと言わんばかりの結果だ。
 澤口もそれを理解し、強張っていた表情が解けていく。この人は誤解を生むほど口下手で、かつ極端な思考はあるけども悪い人ではない。全国大会などで以前から知っていた人ではあったが、改めてそれを確認出来て結果として良かった。無論Afは良くないというスタンスは基本的に崩さない。だけど、正しく扱うことが出来るという可能性は確かだ。元の約束もあることだし、今は彼らを信じて前に進もう。
「Afに目が眩んだのはお前の方だったな。自分のコンセプトを崩してまで挑む覚悟は中々だったが、それしきで俺の覚悟は妨げられない。約束は守ってもらうぞ」
「もちろんです。私が持ってるAf、お渡しします」
「それだけじゃないだろう。Afだけでなく、お前自身ももらう」
「はひっ?」
 弛緩していた澤口の顔が、みるみる紅潮していく。張り詰めていた緊張の糸が切れた分、その反動もまた大きかった。歯の浮くようなセリフを聞くのはいつ以来か。返した言葉も「歯抜け」たようなものだ。が、その幻想はすぐに吹き飛ぶ。
「何を勘違いしている。お前の力を借りる、そういう話もしただろう」
「え、あぁ。そ、そうでしたね。そうだったら、ちゃんと言ってください。お願いですから本当に」
 風見の言う勘違い、が的に当たったのか。少し俯いて表情を隠そうとしても、耳まで真っ赤なのは隠せない。間近にいる風見は、すまないな。と反省する気もなく適当に返すだけだ。
 その様子を離れで見ていた仁科が、ほんとあの人。と不満げそうに頬を膨らした。



「戦いを通して感じた風見さんの覚悟。ここまでしておいて僭越ですが、私も信じることにします。奥村さん、でしたっけ。この前はすみませんでした」
「いや、気にしなくていいよ。結果オーライだ」
 場所を移し、落ち着いた澤口がまずは翔達に詫びる。今や対戦中の気迫も削がれ、普通の女の子と変わらない表情の丸さに改めてギャップを感じる。さて、と一言置いた風見が緩んだ空気をピシャリと締める。
「とにかく今日はもう遅い。今後どうするかはまた日を追って連絡しよう。最近は前に翔が言っていたダークナイト、とやらも夜に現れるらしいからな。気を付けろ」
「お前は先生か」
 恭介の間髪ない突っ込みで一笑いした後、風見の散開の合図を受け、各々帰路に向かった。
 恭介は公園の端に止めてあった自慢の大型バイクに跨り、さっきの風見の話を反芻する。
 真っ黒な甲冑で身を固め、剣を模したバトルデバイスを使う。本当にそんな奇怪なコスプレ野郎が居ればすぐわかるもんだ。
 俺は風見みたいにAfで壮大な夢を叶えるだとかであそこまでAfを使いこなすなんて難しいだろう。それに、翔のコモンソウルみたいな能力もない。新たに加わった澤口美咲も、オーバーズを発動させていた。
 立場がなくなる、っていう訳じゃない。皆そんなガラじゃない。でも、俺も何かAf事件に関して大きな戦果をあげたい。別に戦果がなくたって、皆何かいう訳ではないけど、自分自身が納得出来ないのだ。さて、俺が他のやつと比べて優れてるのはバイクに乗れる機動力くらいか。
 そうだな。今日は少し遠回りになるけど、そのダークナイトってのがいるかどうかパトロールしてから帰ろう。時間は、……まあ三十分くらい走ればそこそこの距離を見れるだろう。
 まずは地元近辺の小さな公園、路地にバイクを進めていく。街頭の少ない暗い路地を進んでいくと、突如ロービームから人影が一つ浮かび上がる。急いでブレーキを踏みつつ、車体を傾け停車した。
「おい、危ないだろ! 車道のど真ん中立つんじゃねえ!」
 バイクに跨ったまま、立ち止まる人影にがなり立てる。が、その人影は道を開けるどころか逆にこっちに近づいてくる。
 近付くに連れてシルエットが鮮明に浮かび上がってくる。白いスーツに複数の剃り込み。サングラスをしていなくても、そのいかつい服装と顔の傷で分かる。ヤバイ奴に絡まれたか。
「お前がロドニーを倒したっていう長岡恭介か」
「お、お前ら何モンだ!」
『鬼兄弟。ちょっとイカツイ兄弟だ。ユー達の連れなら知ってるかもしれないぜ』
 先週対戦した、ロドニーの言葉をふと思い返す。ロドニーを知ってる、そしてイカツイって言葉でピンと来た。いや、待てよ。兄弟っていうならもう一人はどこだ。
「黄輔ェ」
「おうよ!」
 正面の男が、誰かに声をかける。背後からした応答の声に、恭介はバイクに跨ったまま振り返る。スマートな体つきだった正面の男に比べ、筋骨隆々なツーブロックの男が何かを振り上げてるのが見えた。逃げようにもアクセルを踏めば正面の男を跳ね飛ばしてしまう。かといってUターンするには──。
 ガタン、とバイクが倒れる音と共に、恭介の意識はそこで途切れた。



翔「くそっ、何度やっても連絡がつかねえ! 生元、そっちはどうだ?」
亮太「僕の方もダメ……。電波が届いてないことはないみたいなんだけど」
翔「時間に関しては几帳面なあいつがずっと連絡寄越さないなんて……。
  次回『地獄のマルチバトル』、こうなったら俺らで探し出すんだ!」
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