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狭い世界だけで物事を見ることを強いられたアブソルの男の子のお話です。駄作かと思いますが、読んでくださると幸いです。

 あはは...身体の力が入らないや......。

 ...今頃シノン達は安全に川を超えて、追われずに逃げて...くれた筈......。じゃなきゃ、ボクはここで安心して死ね切れないから......。





 ...ロケット団。ボクは生まれてからずっとこの組織に居て、色々な事を覚えさせられ、失敗したら見捨てられるのが怖くて常に頑張ってた。それ以前に、ロケット団が悪い組織とは分からなく、これが正しいんだってずっと思ってた。
 けどそんな時、君と出会った。トレーナーのポケモンだったらしくて、君はその人の事を思って泣いていた。

 ボクはその感情が最初は分からなかった。だって、訓練して、成功して、ちゃんと成し遂げても、ほぼ「良くやった」しか言われず、スキンシップなんて物は無かった。それに行動を共にする、パートナー...まぁ、ロケット団なんだけど、作戦が終わったらすぐ離れ離れ。そのまま一ヶ月会えないとか普通すぎた。
 だから、寂しいとか、楽しいとか、嬉しいとか、そんな感情は生まれた頃から持ち合わせてなかったから。

 因みに何でそんなことになったかというと、偶々床の金網が外れてて、中入って、また無かったから天井から床に降りると、そこは捕まえたポケモン達を一人ずつ監禁するところだったから。

 ボクは最初
「ねえ、君の目から水出てるけど大丈夫?」
 と、質問した。この時、涙という存在さえ無知だった。今思うと、結構失礼な聞き方をしたなって後悔してる...。

 でも、後悔した君は既に遠くまで行ってしまったけど...。

 それはともかく、君は泣きじゃくる声を止め、真っ赤な目とグチャグチャの顔をボクに向けて来て、
「なによ...アンタひっく...ロケット団側のポケモンでっ...しょ...。 近づかないでよ...ひっく......」
 と言われた。だからボクは
「そうだよ。確かボクが居るロケット団とかサカキ様が言ってた気がするよ」
 と、普通の会話のように返した。因みにサカキはロケット団のボスだ。何万という幹部と部下達、更に一人に必ずボク達が付いている。みんな同じ様に、ボクと同じ様に卵から育てられて、色々な訓練をさせられ、パートナーと友に作戦を共にするんだ。
 内容は破壊、窃盗、占領、監視、警護と多岐に渡る。僕は生まれながらに凄く目が良く、監視と警護しかやった事なかった。ボクが侵入者をもし見逃して入れてしまったら、皆が戦わないといけない。怪我をすることになる。最悪会えなくなる...。そんな事にならないように僕は必死に周りを見て、怪しい事があれば直ぐに連絡をした。
 
 そして事が終われば、パートナーとボク達は一旦解散してアジトに戻り、作戦を共にしたポケモン達を一つの部屋に入れて、ご飯の時間になるまではずっとそこで話しをする。その内容は訓練や、強さの事、今後の作戦の事、中に人間のお世話係と同じ役目を持つ、ポケモンのお世話係も混じっていたりするので、その人に新しい卵が返りそうとかもたまに混じったりしてた。

 そんな生活、そんな日々が普通だったんだ。


 けど君に初めてあって、初めて否定をされ、避けられた。ボクは最初意味が分からなかった。

 だから、
「ミスした時のお仕置きは辛いけど、それ以外はロケット団ってイイトコだよ? だって作戦区域を監視して、仲間に怪我させないように守ることだもん」
「...アンタ、そんな事をひっく...本気で言ってるの...? ロケット団はねひっく...人のポケモンを奪ったり、窃盗したりするひっく...悪いことをする奴らなのよ!? 出して!ここから出してよ!!」
「出たいの? いいよ、じゃちょっと退いてて」
 僕は自慢の鎌に光を纏わせて、鉄柵をぶった切った。一応大きな音を立てないように、切った鉄柵は床に落ちる前にキャッチした。

「...あ、ありがと。 ...ロケット団のクセに良い人も、居るのね......」
「クセには酷いよ。それに、困ってるなら助けなきゃね」
「...ねぇ、貴方名前は? 私はシノンて言うんだけど」
「名前?PE284だけど」
「違う違う、貴方のちゃんとした名前よ」
「別に何でも良いよ名前なんて。ほら、行こ「PE284! お前は何やってんだっ!?」 え、出たがってたから出しただけだけど?」
 ボクはそう普通に受け答えした。そうしたら怒りの顔が静まり、ゆっくりボクの名前を行った団員が近づいてきた。だからボクも近づいて...

「ぐわぁっ!!? げふぉっ!!げふぉっ!! う、うぅぅぅぅぅ...」
 一瞬、ボクは何が起きたか分からなかった。急に痛みが来て、気が付いたら壁までふっとばされていたから。そして痛みと、団員が右足を蹴り出す体勢をしていたのを見て、蹴られたのだと認識するまで時間は掛からなかった。

「PE284、後でA1-06へ来るように。 おい、そこのメス。俺に付いて来い」
「.........」
「おいっ!! 聞こえねーのかっ!!」
「...やっぱり、最悪じゃない。 マジカルリーフ!!」
「ぐはぁ!?」
「あっ...」
 ボクを蹴った団員がマジカルリーフで攻撃を食らって逃げた...。

 そんな事より、A1-06って拷問室...ボク...何かした...?なんで蹴られた...?
 ボク、悪いことした...?


「...ふう、大した事ないじゃない。 ねぇ!大丈夫!?」
「な、なんとか...内蔵がちょっと...行っちゃってるかもだけど......」
「...ココ?」
「いったぁ!!?」
 まさに痛むところをダイレクトに押されてボクは悲鳴を上げた。この子、何がしたいの...?
 それに、急に拝み出したし...ってあれ、何か痛みが引いていくような......。

「...こ、これくらいで動ける?」
「...うん、なんとか。 ねぇ、いま一体何を...?」
「願い事って言う技よ。 貴方の身体の痛みが減りますようにって」
「思いの力...って事?」
「そういう事。 ...ねえ、何か警報なってるんだけど......」
「だね...なんだろ...」
「な、なんだろってロケット団に部下に決まってるでしょ。 ...やっと、せっかく出れたんだもん。ここでのチャンスを見逃すわけには行かない。 アイカに会いたいから」
 アイカ...誰だろそれ、いやその前にこの子は何する気?もしかしてさっきみたいにまた皆んなを傷つけるの!? そんな事はさせない!!

「...ひゃっ!? な、なにするのよ!!」
「さっきみたいに...皆んなには傷付けさせない...よ...」
「は、離してっ!! 離しなさいっ!!」
「離さない...よっ....」
 逃げようとする足をボクは傷を付けない程度に手足で足で挟んで、動けなくした。ココで離したら、ここに来る仲間を攻撃するから。

「ねぇアンタ!! さっち言ってた事と違うじゃない!!」
「何が違うのさ...またキミが皆んなを傷つけようとしてるから...止めてるんじゃないか...」
「だから、アイツらはさっき言ったみたいに悪い奴らなのっ! それに、普通仲間なら蹴るような事はしない!! 使えないからって見捨てることもっ!!」
「それは...頑張りが足らなかったからだよ。 頑張りが足らなければボク達は捨てられる。僕達の生きがいは、ミスせず、やる事や言われた事を成し遂げる事。それ故、自由なんかもない」
「自由なんかもない?アイカはそんな人じゃない。行きたいところ、食べたいものを言えばしてくれた。寂しい時に行ったら、私が寝るまで頭をなで続けてくれた! それに、ミスしたら捨てられる?だとしたら私はもう何度も捨てられてるわよ!! けどアイカは違う!!ミスしても、もし負けても、アイカは笑ってアタシのことを撫でてくれた! また頑張ろって言ってくれた!! けど、そんな幸せをアンタ達、ロケット団が奪った!アイカと離れ離れにされた!! それに、アイカの幼馴染の子のパートナーもロケット団の破壊工作で死んだのよ!!?」
「...そう、なんだ......」
 ロケット団...もしかしてボクは酷いところに居たのかな...?それに、アイカって子...どんな人なのか会ってみたい気もある...。
 それに自由か...生まれて物心付いた頃からボクはずっとそれだけに従ってた。例えばこれがしたいと願っても、許される事は一度も無かった...。

「こんなボクでも...そのアイカって人は認めてくれる...? 色んなとこ、連れて行ってくれる...?」
「当然認めてくれるし、行ってもくれるわ。 お願い、私はアイカに会いたいの。もう一週間顔を見れてない...きっとあの子泣いてる...」
「.........分かった。行こう、そのアイカって子に会いに。その為には、ココを出なきゃならない。 シノン、ボクに乗って。使っちゃいけないって言われてるけど、もうそんなの関係ない」
 ボクは首から下がるペンダントを握りしめる。そしてボクの体は大きくなり、メガアブソルへと変身した。

「さあ、乗って。突き抜けるよ」
「...ええ、頼むわよ」
「まかせて...いくよっ!!」
 しっかり張り付いた事を確認して、ボクは冷たい鉄板の床を蹴っ飛ばして前へ進む。すると団員達と鉢合わせしたけど、構わずボクは突っ込んだ。
 後ろで色んな声が聞こえる。一緒に行動を共にした団員の声、そしてポケモンの声...。僕は抜けながら
『みんな!ボクに付いてきて! ここから出るの
手伝って!!』
 そう声を上げた。しかも、その声は人間では理解出来ないポケモンの言葉。みんなはその言葉に悩みながらも団員から離れてボクについてくる。ボクは一応、ロケット団のポケモンの中では高い方の地位に居る。だから変えることは簡単だった。

『みんな、ありがとっ! どうやらロケット団はアクの組織だったらしいんだ。人のポケモン盗んだり、傷つけたり、悲しませたり、とにかく悪いことをする目的の軍団だったんだ!! それに、ここを出れば自由がある。やりたいこと、したい事、見たいこと、なんでも出来る』
『そうよ。 自由に生き生きと、誰にも縛られることなく、拷問も受けることもないし、ダメだからって見捨てられることもない!』
 見捨てられることは無い。この言葉に一番みんな反応した。ここの世界で一番怖いのは捨てられる事。つまり右も左も分からない世界に出されて死ぬか、ココで殺されたり、自殺する者が出る。
 けど、それがない。その言葉が一番効いたのかもしれない。ボクも同じ立場ならそう思うし。

『よしっ!まずはエントランスホールを抜けて外に出るよ!! でもみんな、逃げるだけを意識しないで。自分以外の誰かの目となり、耳となり、危険を言い合ったり、協力して脱出するんだっ!!』
〈はいっ!!〉
 ボクの声に皆が返事をして、不安な顔からやり遂げる目に変わる。これがボク達の、人間とは違う切り替え。ちょっとふざけてても指示があれば直ぐにそれへ切り替える事ができる。その事だけを考える事ができる。

 さて、こんなこと言っちゃったけど、どうやって出ようか...。やっぱり正面突破しようかな。

「いたぞぉ!! いたぞぉ!!」
「き、来ましたけどどうしますか!?」
「怯まないで攻撃して進んで! 大丈夫だから!」
 そう言って、ボクはジャンプして飛び蹴りを加えて団員をふっとばす。そしてドミノ倒しになった団員を気にせず踏み潰して前へ突き進む。それを見て、本気でやる気なんだと全員は躊躇を完全にやめて進むこと、出ることだけを考え始めたはず。

『もう少しでエントランスホールだよ! 気を高く持って...突入!』
〈了解っ!!〉
 30ほどのボク達の仲間、更に途中加わった者も含めて60超える仲間が一斉にエントランスホールへ一斉に流れ込んだ。当然の如くロケット団の部下達は居たけれど、それは皆が止めてくれてくれた。
 その間にボクは固く閉ざされた扉を壊し、外への道へ解き放った。何時もは車で出るエントランスホール前の駐車場...こうやって外に出るのは初めての感覚だった。

『よしっ!このまま逃げるよ! ずっとまっすぐ行けば街に出られる。そこまで行けばロケット団は手出しできない筈だよ!! もちろん、ここで別れるのもありだけどね』
 実際この中には野生から来た子も居る。だから大丈夫なはず。

『シノン、ここから先は分かるよね。 ボクは他のみんなを出さなきゃ』
『ううん、アタシも残るわ。同じことにあってる人が居るから。 ほらっ、来たわよ!!』
 あれは...上位層の幹部だね。ちらっとは見たことあったけど。冷静で残酷、サカキの左手兼サブボスでもある。この場ではちょっと逢いたくなかった......。

「まさか第二位がお出ましとはね。サカキさ...サカキは今いなかったのか。ちょうど良かったよ」
「ほーう、サカキ様を呼び捨てなさるのか。 PE284。お前のした事は辛い罰則に値し、更にそれに加担した者もキツイ処罰に値する。 誰の引き金か知らんが、まずそいつの息の根を止める」
『ひっ...』
「お前か。 出てこい、ガブリアス」
 いきなりガブリアス出してきたか...かなり厄介の出してきたね......。

「やれ。ドラゴンクロー」
『ほう、了解』
 ボクの方をチラッと見てシノンに特攻する。けど、簡単には手を触れさせないよ。

『はあっ!!』
『ぐっ...』
 ボクは自慢の鎌でガブリアスの爪を受け止めて、押し返す。そしてそのままシノンを自分の真後ろに居させ、逃げていたカメックスを加える。

『...なるほど、とうとう敵対したわけか。最初はただ単の争いごとかと思ったが、どうやら本気のようだ』
『ボク達がやってる事は悪い事って気が付いたからね。 いつまでもこんな所に居る気はないよ』
『そうか。 が、惜しいなお前は。もう少しでマース様の手持ちに収まったであろうに』
『入りたくも無いね。 あ、カメックス。ボクの後ろに居るリーフィアを連れて行ってもらえるかな?』
 問に頷くと、抱えて森の方へと逃げていく。シノンの声が何度も響くけど、ボクは振り返らずにマースとガブリアスを睨み続けた。

「逃がしたか...まあ良い、元凶のお前を拘束すればいいだけだ。 覚悟しろよPE284」
「望むところだマース」
 そう言って、まずボクは"剣の舞で"攻撃力を底上げする。その後シャドーボールをガブリアス向けて発射した。確かに支持を出しているマース本人に攻撃した方が早いだろうけど、けれどそこは正攻法で行かないとね。

「切れガブリアス。 その後に"砂嵐"だ」
『了解。 マース様のお得意のを行くのか。"砂嵐"っ!』
 天気を変えてきたか...ちょっと不味いかもしれない...。何処かに風起こし使える人は...流石に居ないね。もう殆ど逃げ切ってるし。

『...何処だ。目が痛くて開けられない......』
「ココだ。 シャドークロー!!」
「ぐあっ...げふっ......」
 や、やばい...力が抜けていく......変身も...解ける......。

「ほう、身体に刺さって泣き叫ぶ程激痛だろうにまだ立てるし、叫ばないのか」
「...はは、叫びたい位の...痛さだけどね......」
 刺された傷痕に砂が入って、正直立っているのがやっとほどの激痛が全身を駆け巡る。

 あれ...ちょっと待って......もしかして、これマースから僕のこと見えないんじゃ......。

 一か八かでボクは動かなくなっていく足を無理矢理動かしてシノン達が逃げた方向に向う。もしかしたらガブリアスが向かってくると思ったけど、そんな気配はせずに立っていた。
 そして「じゃあな」と言いたげに、左手だけ上げて直ぐに降ろした...借り、返してもらったよ......。


ーーーーー


「こ、ここまで...逃げれ...ば...。 大丈夫...なはず......」





 あはは...身体の力が入らないや......。

 ...今頃シノン達は安全に川を超えて、追われずに逃げて...くれた筈......。

 じゃなきゃ、ボクはここで安心して死ね切れないから......。



 ...でも、アイカって子に会って...見たかったなぁ......。

 本当の楽しさや世界を...見たかったなぁ......。



 ...ボク、後悔しきれないよ...。それに、もう死ぬなんて...。

 だって、もうこんな身体...助かる訳がない......。

 身体に穴が空いて...血が抜けて...全身傷だらけで......。



 そう思えば...あの子に...お礼言ってなかったなぁ......。

 短い時間だったけど...ココへ来るまで...普通見れないのを見れたり...感じたり...嗅いだり......そして、何より自由に地を駆け抜ける事が出来た...。










 ありがとね...シノン...。少しだったけど...楽しかった......よ.........
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