第弐話 わかよたれそ つねならむ

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夢葉は逃げていた。クララから、そして幸せから。

「はぁ、はぁ、っ。そろそろ、いいかな・・・。ここ、丁度いい、スペースだ。」

昨日の夜から走って心身共に疲れ切っていた夢葉は小さなスペースを見つけ腰を下ろし深い眠りについた。

気が付けば朝になっていた。思い切り背伸びをし、欠伸をした。

そして来ていた服を脱ぎ、制服に着替える。

「えっと、ここはどこだ?」

辺りを見渡しても何もない。

「仕方ないな。さてと。奥の手だ。ラティアス、おおぞらを飛ぶ!」

夢葉はラティアスをボールからだし、ラティアスに飛び乗る。そして通常のポケモンが空を飛んだ時の高さに着いた時、夢葉は髪留めに着けていたキーストーンをそっと触り、ラティアスをメガシンカさせる。メガラティアスは高度を上げ、この地方全体が見える高さまで登った。


「ラティアス、ありがとう。さて。今私がいたのは・・・。」

下を向いて位置を確認する。どうやらまだフラワ村にいたようだ。

そして、この地形から察するに現在のホウエン地方の秘密のお花畑と言われているところだ。


「ラティアス、とりあえずフラワ村の端の方に移動しよう。見つからないように。」

ラティアスが少しずつ下がっていき、地上すれすれの位置に着く。

ストンと地上に降り、ラティアスが1回転してボールに戻る。

すると地面が唸り、雨が降り出した。

「!?な、何事!?」

時折激しい雷もなり、先ほどまで晴れていた天気とは大違いだ。

「仕方ない。エルレイド、テレポート!」

エルレイドをボーるからだし、村の中心部に向かった。



目を開けると夢葉は雨風に吹かれながらクララの家の前に立っていた。

村中はパニックを起こしていた。恵みの雨だ!と喜ぶ人や、怖がる人。様々な人がいた。

夢葉は村長を探した。

「村長!村長!」

「皆さん、速やかに家に戻ってください。」

「あの、村長。」

「おや、見ない顔だな。」

「私、夢葉と申します。」

「ああ。噂じゃ聞いとったぞ。」

村長は雨風に吹かれながらも住民を避難させていた。

「村長、もしかしたらこの雨は、カイオーガのせいかもしれません。」

カイオーガ、と聞いた直後村長の顔は真っ青になった。

「カイオーガだと?」

「はい。このままでは西の方からグラードンが現れ、この世は・・・。」

ふむぅ。と唸ってから村長はふと思いついたような顔をした。

「そうじゃ、竜神様のお力をお借りすれば・・・。」

「竜神様?」

「うむ。竜神様は我々流星の民が祀っているポケモンじゃ。竜神様を呼び起こせばこの状況を元に戻せるかもしれん。」

「あ、おねえちゃん!」

突然、声をかけられ驚いて振り向く。するとこの前ポケモンバトルをした男の子が立っていた。

「君、こんなところに居たら危ない。今すぐにお家の人のところに戻りなさい!」

「ぼく、きみって名前じゃないよ、そんちょーさん。ぼくはユウタだもん。」

「ユウタ君、お家に戻って。」

夢葉も叱る。しかし、ユウタは話を聞かず、夢葉のスカートのすそを引っ張り、話しかけた。

「おねえちゃん、ぼくの見たゆめ、ホントのことだったね。どうするの?」

「夢葉さん、このことは本部に知らせてくる。少し待ってなさい。」

「はい。」

村長は本部であろう大きな建物に戻っていった。

「おねえちゃん、クララさんのところいかないの?」

「・・・。クララさんは、もういいのよ。」

「?なにかあったの?」

「気にしないで。それよりユウタ君、お家に戻ろう。」

「ぼく、おねえちゃんといっしょにいく!きて!」

「わ、私?」

「うん。おねえちゃん、ぼくの家きて!」

「分かった。いいわよ。」

夢葉はユウタの後をついていった。


「ただいまー!」

「お邪魔します。」

「ユウタ!どこ行ってたの!」

玄関にはユウタの母親が立っていた。

「こんな雨の日に外に出あるいたらいけませんって何回言ったら分かるの!」

「お母さん、おねえちゃんつれてきたよ!」

母親はえっ?と聞き返し、夢葉の方を見た。

「こんにちは。いつもお世話になっております。夢葉と申します。」

「あら、こんにちは。お世話になっているのはこちらですよ。」

「お母さん、おねえちゃんかえる家がないからここにいたいだって。」

「あらあらどうぞ。遠慮しないでください。あまり片付いていませんが。」

「あ、ありがとうございます。」

夢葉は村長から連絡が来るまでお邪魔することにした。






数時間後、村長が真っ青な顔でユウタの家を訪ねてきた。

「夢葉さん、少しお話しがあります。」

「あ、はい。」

家を出て本部に行く。本部では会議のようなことをしていた。

「やはり夢葉さんの言う通り、この天気はカイオーガと呼ばれるポケモンがが原因と考えられます。そして東の方にはグラードンと呼ばれるポケモンの影響で日照りが起きているとのことです。そしてその2匹を唯一止められるのが・・・」

「竜神様、つまりレックウザと言う事ですね?」

「そうだ。そして夢葉さん、あなたのお力をお借りしたい。」

「わ、私の、力ですか?」

「はい。今竜神様はオゾン層の奥深くで眠られています。そのオゾン層から竜神様を出していただき、お力をお借りしたいのですが、深い眠りについていたため竜神様はお怒りになります。そのお怒りを鎮めていただきたいのです。そして、その竜神様のお怒りを鎮めていただいた後、竜神様の背中に乗っていただき、グラードンとカイオーガを眠らせたいのです。」

「何故、私が?」

「夢葉さんは遠い地方のチャンピオンだとお伺いしましたし、この村でも一番強いでしょう。私たちはあなたにしか頼れないのです。どうぞお助けください。」

「・・・・・。」

夢葉は考えた。ここで引き受けたらとんでもなく面倒ごとに巻き込まれる。しかし、この村を守りたい。夢葉の中で様々な考えが頭をよぎる。

しばらくの沈黙の後、夢葉はこう答えた。

「・・・。分かりました。」

「あぁ、引き受けていただく、と言う事ですか?!ありがとうございます。それでは早速竜神様が祀られている場所へ行きましょう。」

「村長、大変です!」

「どうした!」

「この周辺にカイオーガがいるようです!」

「なにっ!」

「村長さん、私一人で行きます。」

「あ、危ないぞ!」

「村長さんはこの村を守ってください。私は、一人でも行けますから。」

「そ、それは助かる。竜神様は空の柱の頂上で眠られておる。」

「分かりました。ラティアス、大空を飛ぶよ!」

ラティアスをボールから出し背中に乗り、飛び立つ。

「それでは、頼みましたぞーーー!!!!」

安定した高さに着くと、高くそびえたつ塔、空の柱を見つけた。

「ここか。ラティアス、頂上に降りることはできそう?」

ラティアスは首を横に振る。

「仕方がないわね。下から上がっていくしかないのかしら。ラティアス、地上に戻って。」

地上に着き、空の柱の中に入る。

中は薄暗く、ポケモンが沢山いた。

「みんな、出て来て。」

ポケモンをボールから出す。久々に外に出たポケモンたちは伸びをしたり、欠伸をしたりかなり自由だった。

「みんな、ここは色んなポケモンが出てくるの。だから、みんなの力を・・・。」

しかし、ポケモンたちは話も聞かず、フラフラと歩き出した。

「あ、ちょっと!」

ラティアスが、そっと話しかける。

『夢葉、あなたはいつもエルレイドしか出さないからみんなあなたの事を嫌っているみたいよ。』

「えっ。」

ラティアスはそう告げるとまたどこかへ行ってしまった。

「み、みんな・・・。」

夢葉はポケモンたちを信じていた。しかし、裏切られてしまい、夢葉は1人ぼっちになってしまった。





―――――我が世誰ぞ 常ならむ

いったいこの世で永遠に生き続ける
ことができる人がいるのだろうか。
いや、必ず、すべてとわかれてひとり
で死んでいかねばならない。




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感想

お名前:ホラ吹き猫野郎 さん
初めまして、ホラ吹き猫野郎というものです。作品の方を最新話まで読ませていただきました。
タイムスリップものはなかなか読む機会がないので新鮮な気持ちで楽しめました。更に、主人公が最初から強い、という設定もありがちでありながらなかなかないものでカッコ良かったです。しかし、話を読み進めているうちにさまざまな心理描写に触れて、心の何処かに人間らしい弱さを持っているのだなと感じ始め、さらに続きが気になりました。
バトル描写に関してですが、エルレイドのサイコキネシスの使い方には驚かされました。3ターン硬直という条件が付加されていることで、これからのバトル描写にも深みが増していくような気がして楽しみです。しかし、ポケモンたちは彼女の元を離れ……どうなるのでしょう。
結論として、とても楽しく読むことができました。続きも楽しみにしています。かげながら応援させていただきます!頑張ってください!
書いた日:2017年04月26日