第73話 テレポートでどこでーしょう?

※作品によって表示に時間がかかります
読了時間目安:10分
『三人はテレポートでどこかに飛ばしたわ』
「助かったのか!? 今どこにいるんだよ!」

 ゴールドはエーフィに顔を近づけて話を聞きだす。
 エーフィの話によると――マイがハクリューに乗ったけどバランスを崩して湖に落ちた、それを助けようとしたアヤノが湖に飛び込んだ、少し待っても湖に顔を出さない二人を心配してコウがキングドラに手持ちを変えて湖にダイブ。
 落ちた際マイは意識があったが、ギャラドスの高い頭頂部から飛び込んだアヤノは水に入る際の衝撃で気絶をしてしまう。意識がないから湖に潜むギャラドスの餌食になると焦ったマイはアヤノを引き寄せるが誤って水を飲み込んでしまった。そこにコウが登場したがギャラドスに邪魔をされ意識をなくす。
 このままではラチが開かないとボールの中で技を使い、三人と外に出ていたポケモンをテレポートで飛ばした。急いでいたため冷静にはなれずにどこに飛ばしたか分からない。だから、エーフィはこのことを伝えようと間一髪でボールから出てきて泳いでここまで来たらしい。

『どこにいるかは分からない……その子に聞いてみてほしい』
「その子? シルバーか?」
「俺は知らないぞ、こいつじゃないか」

 首を下に向けて申し訳なさそうにするエーフィの頭を撫でてやり、その子とやらに顔を向けるがシルバーがいただけ。そんな見つめられたシルバーは指でその子らしいものを指さした。それはタマゴ……? のようなポケモンだった。

「なんだこのポケモン!? 俺のポケモンなのか!?」
『あなたの持っていたタマゴから産まれたのよ、その子の能力でマイが無事か分かると思うわ』

 ゴールドが受け取ったタマゴからはトゲピ―という下半身がタマゴで上半身がトゲトゲした頭のポケモンが産まれていた。ポケモン図鑑でゴールドが確認をする。

「はじめて見るポケモンだな」
「なんだシル公も知らねぇのかよ。おいトゲピー、マイは無事か分かるのか!?」

 目つきが赤ちゃんとは思えないほど悪いトゲピ―。この目つき、ゴールドに似ているような気がするが、もしかしたら持ち主に似るのかもしれない。ラプラスはマイが持ってたりしたので優しい印象のタレ目をしているが……。

『トゲピ―、あなたの事をタマゴ時代から可愛がってくれた子がピンチかもしれないの。指を振る!』
「チョゲプリー!」
「おいなんでエーフィの言う事聞いてんだ!?」

 タマゴ時代の時にマイがトゲピーのタマゴに話しかけたりタオルで汚れを拭いていてあげていたことを知っていたらしいトゲピーはエーフィの言葉にハッとして指を左右に振る。眉間にしわが寄っていて可愛さがあまり感じられない。

「ちょげ!? ちょげー!」
「ん!? なんだって!?」
『どうやら無事みたいね……でもここはどこかしら? 暗い、洞窟?』

 トゲピ―が指を振って見たものはマイ達のビジョン。エーフィは尻尾で感じとり、ゴールドに伝える。怪我は多少あるようだが生きているようだ。

「生きているのか、よかった。俺はクリスにこの事を報告しに行くぞ、ゴールドお前はどうする」
「俺はしばらくここにいる。マイが戻ってくるかもしれないからな」

 「生きている」シルバーの台詞に心に羽が生えたように一気に軽くなる。しかし場所が分からない。ポケギアで連絡をしようにも電波が届かないらしい。シルバーはヤミカラスに掴まってワカバタウンに飛ぶ。

「エーフィ、しばらく俺の手持ちってことでよろしく頼むぜ」
『ええ、よろしく』
「ちょげー!」
「お前、まじで産まれたばっかかよ!?」

 元気すぎるトゲピ―にゴールドは眉を眉間に寄せる。そっくりな行動にエーフィは笑みがこぼれるように鳴いた。

(――マイ、戻って来い)

◆◆◆

「いって~……あれ? 水の中じゃない?」
「リュー!」
「リューくん! よかった、無事だったんだね! っうう」

 エーフィにテレポートされたことにマイは気づいていないのか不思議そうに首を傾げていた。側にハクリューが横たわっていたのだが元気そうな声に一安心。立ち上がろうとして腕に力を入れてみたら両腕に電気が走ったような激痛がに走る。どうやら打ちどころが悪かったらしい。折れてはいないので動かすことは可能だ。

「とりあえず……」

 マイはなんとか立つと周りを見渡す。辺りは真っ暗で何も見えない。いつの間にかボールに戻っていたピカチュウを出すとフラッシュをしてもらい洞窟内を灯す。

「ここどこ? ゴールドは? そうだ、ポケギア! う、電波が届いてない~!」

 痛みを我慢してポケギアを起動させても電波が届いていないようだった。
 何もない空間の筈なのに、急に耳を塞ぎたくなるような音が洞窟にこだまする。

「なにこの音?! ポケモン図鑑から!?」
「それは図鑑の共鳴音よ!」
「アヤノ! 生きてたんだ!」
「勝手に殺さないでちょうだい、うるさいしボタン押して止めなさいよ」

 アヤノがロコンの炎を頼りにしているのか近くに寄って来た。

「わかったよ、いてて……。このホームボタン?」
「そうよ、もう貸しなさい。止めてあげるわ。はい、どうぞ」
「どうも」

 図鑑を開くと液晶画面の下についているボタンをアヤノが押してやると音が消える。この共鳴音はポケモン図鑑を持っている人が近くにいるか確認するために押すと反応するらしいが、ゴールドとマイの図鑑は反応しない。これはウツギ博士が設定したらしくゴールドとマイが離れることはまずないので共鳴音をオフにしたらしい。

「…………」
「なに」

 痛がるマイに代わってアヤノが代わりに共鳴音を消してやったのだが冷たい対応をするマイに不信感を覚えたらしく黙って見つめる。
 それにまたマイが冷たい反応を返すとため息付きの返事が帰って来た。

「ふう……。マイってゴールドさんの前だとぶりっ子なのねって思って」
「はぁ!? ち、違うし!」
「分かったわよ、その態度は運命の相手にかしないってことよね、はいはい」
「今はそれでいいよ」
「いいんだ!?」

 肩をすくめて目を細めながらアヤノはドヤ顔で言って来るもんだがマイが顔を赤くして抗議する。アヤノも負けじと弄ってみるがマイにスルーされてツッコミを受ける。

「二人無事だったんだな」
「コウちゃん!」
「コウ! よかった、三人共うまい具合に集まれたのね」

 ぎゃーぎゃーと騒いでいるとコウが顔を青くして近寄ってくる。足元にはモココというポケモンが明かりを灯してくれていた。

「うーん、ここって怒りの湖の底?」
「その可能性はあるけど、それだと私達どうやってこの塞がれた空間に来たの?」
「テレポートとか、か?」

 マイが動きたくないのか洞窟の壁に背中を当てて腕組みをしている。その腕組みはただの恰好つけなので痛いだけで何の意味もない。そんな痛みを知らないアヤノとコウ。それに、そのポージングを気にしていない。

「誰のポケモンが?」
「分からないが、もしかしてマイのエーフィ?」
「え!? フィーちゃんが!? さっすが~!」
「あんたのエーフィいないわよ」

 コウがもしかして、を提案してマイの顔が明るくなる。自分の手持ちを褒められたのだから当然。アヤノが立っているマイの横に行き、しゃがみ込んで腰につけているボールを確認するがエーフィがいない。

「なんでー!?」
「これは憶測だが、エーフィによってテレポートされて、そのことを伝えようと一匹で地上に残った?」

 慌てふためくマイにハクリューとピカチュウは落ち着かせるように鳴き声を上げる。
 冷静に原因を突き止めるコウにアヤノは同意するように頭を縦に振る。

「それはありえそうね。マイと違ってエーフィは頭がよさそうだったし。マイと違って」
「本当にな、あのエーフィはマイと違って頭がいいらしい。俺のブラッキーが言っていた。マイと違って」
「コウちゃんとアヤノ、わたしのことなんだと思ってんのー!?」
「「 単細胞馬鹿 」」
「た、たんさいぼう……」

 知らない場所にテレポートをされたのに案外いつも通りにできているので心配はそこまでいらないらしい。
前に戻るもくじ次へ進む

読了報告

 読了報告及び評価をするにはログインが必要です。

感想フォーム

 この小説は感想を受け付けていますが、感想を書くにはログインをしている必要があります。

 そのため、感想を書くにはアカウントを所有している必要があります。

感想

 この小説には感想がついていません。