第44話 キラキラにキングとキント?

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「ここが鈴の塔……」
「デケーだろ? 流石シンボルだけあるよなぁってオイ! 見上げすぎて倒れるなよ」

 五階建ての建物にマイが顔を上げて、その威風堂々とした寺を見ている。真っ赤な屋根瓦が上へと永遠に続いているようだ。

「まあとりあえず入ろうや、中は涼しいかもしれないしな!」
「うん!」

 ゴールドが先を歩き寺の扉を開けると、中にいた修行僧が顔をこちらに向け睨みつけるかのように見てきた。
 ファントムバッジと虹色の羽を見せると、顔色を変え、頭を下げると、ない髪のせいで眩しかったのか眼を細めるマイ。

「失礼しました、どうぞ。二階からはご自由に見学を……」
「はいはーいっと。マイ、転んだら床抜けるかもなー」
「ええっそんなにドジじゃないもん! ワッ!?」

 お早いフラグ回収お疲れさまです。床の継ぎ目に足を取られたマイが前に転びそうになったがゴールドに受け止められてホッと一息。修行僧もこちらの様子を伺っていた。下手に転んで装飾品を壊されたらたまらないから。
 最上階まで行ったものの、マダツボミの塔とは違いお偉いさんもいなければ、コウもいなかった。
 特に何もなかった二人は鈴の塔を後にする。

「うわっ! なんか太陽が急にキラキラした? あれ、気のせいだった……おかしいなぁ」

 その様子を高い空の上から見ていたホウオウ。太陽の横を通り過ぎたので、その黄金の羽に太陽の光が反射してマイの目に届いたのだ。
 ゴールドが上を見上げた頃にはすでにホウオウは遠い空へと飛び去ってしまう。

「えへへ、ごめん。見間違いだったかも」
「たくよー」

 昔見たことのあるポケモンだったのかな? とマイは思ったが間違いだったらゴールドが怒ってしまうと嫌なので勘違いということに。ゴールドはとくに気にすることもなく歩みを続けた。

「さーてと、次はアサギシティに行くか!」
「アサギシティってどんな街なの?」
「一言で言うなら青い海、水着ギャルがうじゃうじゃいるぜー!」

 ゴールドがニヤニヤと口をいやらしくして視線をマイに向ける。引き気味にマイが聞けば欲望丸出しの答えが返ってきた。
 やっぱりね、と肩を落としつつも進路である38番道路へ向かう。アサギシティが近いとあってほんの少しだけ風が強く感じる。風の中に海の香もしたりするのだが、それをマイの歩みを速めた。

「おーと! デートかい? お二人さん! ちっとばかしポケモンバトルで時間つぶしをしてくれないかー!?」
「わわ、元気なおじさんだ。バトルならしたいしたい! したいです!」

 コンキングのモチーフがついた帽子にギラギラと光るサングラス、青いジャージに赤いライフジャケットに黒い長靴、完全に釣り人だ。
 時間つぶしと言っていたが、ライフジャケットを着ているあたり船に乗り遅れたかまだ出航まで時間があるとみた。

「多分、水タイプを出してくるからピカチュ、ピーくんでも準備しとけよ」
「うん! わかった! 行ってきてピーくん! 得意の電撃をお見舞いしちゃおう!」
「ぐぬぬ、やはりこの格好だと水タイプ使いだとバレてしまうか! コイキング、行け! 気合いだ!」

 釣り人が出してきたポケモンはゴールドの予想通りの水タイプ。しかも最弱のポケモンともいえるコイキングを出してきた。
 説明する必要もないくらい簡単にピカチュウのの電撃にやられてしまう。

「ピーくん、電気ショック!」
「コイキング、はねる!」

 ピカチュウの電気ショックにも避けることもできず、はねるしかできないコイキング。経験値の差もあったのか電気ショックでも簡単に倒れてしまった。しかし、続けて釣り人はトサキントを出してきた。

「わあ! 金魚みたいでかわいい!」
「あの角には気を付けろよ! ピカチュウでも結構痛いぞアレ!」

 赤い金魚のようなポケモンで頭に大きな角が生えた可愛らしいポケモンが地面でバタついている。水辺でないので動きは鈍そうに思えた。

「トサキント、角でつく!」
「早い! ピーくん!! そのまま電気ショック!」

 トサキントが思わぬ速さで突進してきて反応ができなかったため角がピカチュウのお尻に突き刺さる。飛ばされて身体を立て直す前にピカチュウの電撃がトサキントに当たる。

「トサキィント……」
「トサキント! やるな、そのピカチュウ! ならばこいつだ! 行け! ギャラドス!!」
「ギャオーン!!」

 トサキントが目を回してはねる力もなく地面に倒れすぐにボールに戻す、そして主力であるポケモン、ギャラドスがピカチュウの前に現れた。
 アヤノのギャラドスを見たことのあるマイですら一歩後ろに下がり、ゴールドの顔を思わず苦い顔で見てしまう。

「ぴっか~!」
「ピーくん!? 勝手にリューくんにタッチしちゃダメだよー! リューくん、行ってきて!」

 その強面に耐えられなかったピカチュウが尻尾を巻いてマイの元へ走ってくる。
 顔が必死なあたり本当に怖いらしい、マイですら背中に嫌な汗が落ちてくる。ピカチュウに勝手にハクリューを出されたが先程の二戦でピカチュウの体力も消耗していたので、そのまま戦わせることにした。

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