僕たちは目を覚ます。
起き上がり、窓を開けて朝のひざしを浴びる。
僕たちが寝ていた間に船は出港していたらしい。海風が吹き込んで来る。
しばらく海風を吸っていると、遠くからバルジーナが小包みをもって飛んで来ていた。
僕には関係ないと思って眺めていると、一気に急降下して僕に小包みを渡してきた。
それを受け取り、紐をほどく。
中には、光輝く石が2つと一切れの紙が。
紙にはこう書いてあった。
...昨日はありがとう。
私の名はギーマ。イッシュの四天王。
名乗り遅れて申し訳ない。
これはキーストーンとメタグロスナイト。
私からの贈り物さ。
有効に活用してくれたまえ。
使い方はじきにわかるだろう。
それでは失礼させていただこう。
ギーマ
「昨日そんなすごい人とバトルしてたんだ...」
「でも勝てたからいいじゃん、ライン。」
その時、アナウンスがなる。
~次の停泊地は、ポニ島です。お降りの方は お忘れ物のないように ご注意ください。~
ポニ島か...もうアローラに来たのか...
アナウンスは続く。
~次のポニ島では、約2日間停泊致します。 どうぞ観光をお楽しみくださいませ。~
ポニ島の名物ってなんだろう...
僕はポケットモンスターサンをやっていた時の記憶を掘り起こす。
今考えればこの世界にやって来た時からまだ5日しかたっていない。
この5日間忙しかったからな...
でもラインたちに助けられ、切り抜けてきた。
ちょっとこの石使ってみるか...
僕はこの石の効能は知っている。メガ進化に必要な石だからだ。
しかし、使い方は知らない。
ミナトとグロリオをボールから出し、部屋の外に出て、朝食を済ませ、甲板に登る。
こんな早朝にも関わらずたくさんのトレーナーがいた。
おそらくここにいるほとんどがバトルフロンティアに挑戦するのだろう。
グロリオにメガストーンを持たせ、そこらのトレーナーに勝負を挑む。
「俺に勝負を挑むなど...かかってこい!行け、サマヨール!」
「グロリオ、メガ進化!」
メガ進化には、トレーナーとポケモンとの深い絆を要する。
そして、メガ進化後はトレーナーと一心同体となる。
ただ、その代償として、かなりの体力を奪うことをエストは知らなかった...
メタグロスに4匹のダンバルが合体、ただでさえ高いメタグロスの知能が増加する。
そして重さも飛躍的に上昇、物凄いパワーを有するポケモンとなった。
また、自身をサイコパワーで若干浮かせているため、高速で動けるようになる。
「グロリオ、アイアンヘッド!」
アイアンヘッド。威力80 相手を30%の確率で怯ませる。
しかし、このアイアンヘッドは並みのポケモンでは受けきれない。
「サマヨール!」
メタグロスはもともとサマヨールとは相性がかなり悪い。
しかし。
サマヨールは壁に激突、怯んでしまう。
「サマヨール、シャドーボールだ!」
黒い塊がグロリオを襲う。
筈だった。
「グロリオ、サイコキネシスだ!」
黒い塊はサイコキネシスのパワーに負け、消えてしまった。
「残念、メガメタグロスは特殊攻撃力も高い。このまま一気に押しきろう!」
「チッ、サマヨール!シャドーパンチだ!」
サマヨールは手に力を込め拳を繰り出す。
しかしその拳はグロリオに届くことはなく、サイコキネシスで吹き飛ばされ、倒れた。
「何なんだあいつ!反則だ!」
「これがメガ進化の...パワーだ...ゼェゼェ...」
ーー大丈夫でしょうか?
グロリオは彼の体調を気にかける。
「大丈夫...ちょっと休んでくるよ...」
「待て!」
「どうかした?...疲れたから休みたいんだけど...」
「お前もバトルフロンティアに行くんだろ?お互い頑張ろうな、お前ならブレーンを全員倒せるぜ!」
「ふふっ...ありがとう。」
その後。
「疲れた...」バタッ
ーーエストさん!
グロリオはサイコパワーでエストを持ち上げ、あわてて部屋まで運ぶ。
ラインが慌てている。ミナトはついに気絶してしまった。
物凄い熱だ。先程の一戦でパワーを使い果たした?いやそんなことはないだろう。
さっきまで何も異常はなかった。
グロリオはエストを気にかけ数分に一回体調を確認していた。明らかにこの数分の間に何かが起こっている。
部屋の扉を開け、ベットに寝かせる。
その時だった。
バンッ!
「俺のサマヨールを知らないか!?」
ーー知りませんが。
グロリオはテレパシーで語りかける。
「多分さっきのバトルで君のトレーナーを逆怨みして呪いをかけようとしたみたいだ。」
ーー既にエストさんの様子がおかしくなってます!
「分かった。出てきてくれ、ナマコブシ、じょうかだ。」
「ぶっし!」
一瞬でエストの熱が引く。
「すまなかった...俺の管理が行き届いていなかった。あいつはすぐ逆怨みするんだ。いつもはすぐボールに入れて...」
「そりゃあんな勝ち方したら恨むよ」
エストが起き上がった。
ーーエスト!
ラインが泣きじゃくりながら抱きつく。
「エスト...死んじゃうかと思ったよ...」
「そんな簡単に死なないから...ほら...」
「すまなかったな...あとでサマヨールを取っ捕まえて厳しく言っておくよ。」
「気にしなくていいから...多分僕が死んでたら間違いなくラインが君たちを半殺しにしてただろうからね」
部屋は笑い声に包まれる。
しばらくしてサマヨールのトレーナーは去って行った。
「よし、昼ごはんだ!」
ーーやったぁ!
ラインがとても喜ぶ。
そして彼らは昼食場所に向かって行った...
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