第23話 不死鳥よ燃え尽きろ

※作品によって表示に時間がかかります
読了時間目安:10分
 前話の投稿の際に、こちらの手違いでトップページに前話のことが掲載されておりませんでした。お読みになられてない方はそちらからお読みください。お手数をおかけしますがどうぞよろしくお願いします。

「僕はここのブレーン、ジャック・ケリーだ。とりあえずケリーとでもジャックとでも好きなように呼んでくれ」

 青年は高圧的な目線で見下ろしてくる。

「みんなすぐ脱落していくから面白くないんだよねぇ...やっと上がってきた人もみんな既に精神ズタズタで張り合いがないんだよなぁ...君はどこまで僕を満足させるのかな?」


 ジャックはニヤリと笑う。
 辺りは相変わらず薄暗い。

「さあ、試させてもらおう!君の力を!」

 ジャックはそう叫び、ボールを投げる。

 出てきたのは、サンダー。

 ジャックは笑いながら続ける。

「ハハッ!君はどうでる!伝説に対しどう戦う!伝説の力を思い知れ!伝説の前にひれ伏せ!」

 急にジャックのテンションが変わる。
 『伝説』を手にした満足感からかろうか。


 ついに、エストはぶちキレる。


「...五月蝿い、ミナト、行くよ」

 静かに怒るエスト。

「タイプ相性ぐらい覚えてよね!サンダー、10万ボルト!」

 恐ろしい威力の電流がミナトに向かい飛ぶ。しかしエストは落ち着き払った様子で、

「あなたこそ勉強すべき。ミナトッ!ミラーコートッ!!」

 叫ぶ。
 自分が馬鹿にされていることに怒っている訳ではない。自分と共に居てくれるラインたちを馬鹿にされたことへの怒りだ。

ーー了解ですッ!


 二人の絆がサンダーの10万ボルトのパワーを押し殺し、倍にして返す。


「ッ!!」

 勿論一撃必殺。

 ジャックも驚きを隠せない様子。普通の人間ならこれで倒せるはずなのに。伝説をいとも簡単に倒すなんて。何者だ。


「クソッ!フリーザー、行ってこい!」

 またもやジャックは伝説を繰り出す。
 辺りは冷気に包まれる。

「ミナト、ありがとう。畳み掛けるよ相棒、ライン!」

 急にジャックの顔に苛立ちの色が現れる。フライゴン。氷タイプが4倍弱点だ。

「...舐めてるのか?フリーザー、殺ってしまえ!冷凍ビーム!」

「殺るのはこちら側だ!ライン、ストーンエッジ!」

 フリーザーに岩の刃が突き刺さる。
 岩の刃はいとも簡単に氷の翼を貫き、フリーザーを一撃の元に沈める。

「な、なんて強さだ...」

 焦るジャック。

 対しエストは静かにそして怒りを込めてジャックを睨む。しかし落ち着きは無くさない。

「ファイヤー!行ってこい!」

 ジャックは叫ぶ。

「じゃあ最後は任せた!僕のパートナー、カプ・レヒレ!」

 出てきたカプ・レヒレはすぐ、ミストフィールドを展開させる。

 唖然とするジャック。
「お、お前!伝説のポケモンを持っていたのか!!」

「そうだけど」

「まあいい。ファイヤー、部屋全てに向け熱風だ!」

 ジャックの機嫌が明らかに変わった。
 『伝説』と戦え満足なようだ。

「カプ・レヒレ!水の壁を作り防いで!」

 辛うじてファイヤーの熱風は防ぐが、恐ろしい程の熱さの風が照明を壊す。


 そして辺りは真っ暗になる。


 カプ・レヒレはエストにくっついてきた。しかし、常に燃えているファイヤーはハイドロポンプの格好の的だ。対してファイヤーは彼女が見えない。

ーー怖い...

「大丈夫。僕が傍にいるから。カプ・レヒレ、ハイドロポンプをよろしく」
 エストは小声でカプ・レヒレに耳打ちする。

ーーわかった。
 彼女は頷き、激しい水流をファイヤーめがけて飛ばす。

 しかし、ファイヤーはそう甘くなかった。

「ファイヤー、燃え尽きるだ!」


 ファイヤーはまるで不死鳥のように燃え上がる。その炎のせいで部屋は一気に明るくなり、カプ・レヒレの居場所もバレバレだ。

「突っ込め!」

 ジャックは叫ぶ。
 ファイヤーは燃え盛る炎を身に纏い、カプ・レヒレに突進する。彼女の激流を蒸発させながら。

 「カプ・レヒレ!殻でガードして!」


ーーッ!!


 物凄いパワーだった。殻に籠ったカプ・レヒレでさえ半端じゃないダメージを喰らったからである。

 しかし、その反動でファイヤーの炎は消える。
 そのせいで辺りは完全な闇に包まれる。

 怯えるカプ・レヒレ。

「これじゃああなたも僕たちの姿は見えないのでは?」

 エストは訊ねる。

「ハハッ、そう思ってればいいさ。やれ!ファイヤー!」


 ファイヤーの目が光る。まるでスポットライトのように。そしてその光はしっかりとカプ・レヒレに当てられていた。

「にらみつけるだ!驚いただろう。ファイヤー、羽休めだ!」

 ファイヤーは地面に降りる。

「カプ・レヒレ、ハイドロポンプだ!」

 激流がファイヤーを襲う。しかし、既にタイプがひこう(それも羽休めで消えている)のみとなったファイヤーにとって耐えるのは易かった。

「そしてタイプが無くなったファイヤーは地面に降りるとそのフィールドのタイプになる!ハハッ!」

 要するに今のファイヤーはひこう・フェアリータイプということか。

「ファイヤー、とどめを刺すぞ!プレイブバード!」

 ジャックはニヤリと笑い叫ぶ。
 しかしエストも笑っていた。

「カプ・レヒレ!秘技、スマートホーン!」

 彼女は自身の角のような部分を突っ込んでくるファイヤーに突き刺す。
 エスト自身もこの技がスマートホーンかどうかはわからなかったが、一応そう呼ぶことにしていた。

 効果は抜群だったようだ。

 激しい技のぶつかり合い。しかし、2匹には決定的な差があった。トレーナーとの絆だ。
 その差が明暗を分ける。

 ファイヤーは地面に落ち、戦闘不能となる。

 ジャックはただ呆然としていた。自分が完封されたことに。完封という二文字は彼を絶望の底に陥れるには十分過ぎた。

「...ブレイブシンボルだ」

 小声でジャックは言い、エストにシンボルをこっそり渡す。

 その時だった。

「喝ッ!!!!」

 エストがびっくりして振り向くと、そこには謎のおじさんが立っていた。緑色の探検服を着、まさに熟練の探検家という印象をエストに与えた。

「我が弟子よ。それでもお前は『伝説』を持つ者かッ!負けは負け。しっかり認めんかッ!」

 ジャックの顔には焦りが浮かんできていた。恐らく彼の師匠のようだ。

「はいッ!先代!すいません!」

 ジャックは慌てて返答する。
 すると謎の探検家はエストの方を向き、

「おっと失礼。名乗り遅れたが私はジンダイ。元ピラミッドキングだ。今はこの馬鹿弟子にブレーンの位を譲っているがね。」

 と言いまたジャックを睨み付けたが、すぐこちらに向き直って、

「少年よ、お前には良い人生を生きる素質があるようだ。今の戦いを見ていてすぐわかった。その大切な友を大事にしつつ今後の人生の大冒険を大いに楽しむがいいと私は思う。それでは失礼する。うちの弟子がすまなかったな。」

 そう言い残し、ジンダイさんは去っていく。

 エストもバトルフィールドを去り、後には脱け殻のようになったジャックが残されるだけとなった...

 更新遅れて申し訳ございません。次回更新も来週の月曜日の予定です。
前に戻るもくじ|次へ進む

読了報告

 読了報告及び評価をするにはログインが必要です。

感想フォーム

 この小説は感想を受け付けていますが、感想を書くにはログインをしている必要があります。

 そのため、感想を書くにはアカウントを所有している必要があります。

感想

 この小説には感想がついていません。