第42話 エピローグ&作者後書き

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~1年後~

「すみません、アイス一つください。」

「あ、はい!」

私は顔がばれないように麦わら帽子を深くかぶる。

季節は夏。近くの大きな公園では子供たちが駆けまわっている。

この公園には屋台のアイス屋さんがあってとても美味しいと評判だ。

「お待たせしました!チョコレートアイスです。」

「ありがとう。」

私はアイスを受け取って近くのベンチに腰掛ける。

・・・。おいしい。

この一年、本当にいろいろなことがあった。

チャンピオンとしての心構えを一から学び、ほかの地方のチャンピオンに挨拶。ポケモン協会の会議には必ず出なければいけない、地域のポケモンバトルショーに出なければならない、と、とにかく忙しかった。

でも、たまにある休みの日にはセイラちゃんと会って買い物に行ったり、フウ姉たちと遊んだりして、楽しんでいた。

「あの人どうなったんだろうねぇ・・・。」

あの人、とはキツネの事だ。

キツネは、私たちがチャンピオンになってしばらくして逮捕された。サタン団の頭領だったと自ら告白し、尚且つ様々な人間を自殺まで追い詰めた、などと言う事も自供し、自首したようだ。

お母さんにキツネの事はどう思っているか聞いたところ、

『あの人の事はもう何とも思ってないわ。ただ、自首してくれて嬉しかったわね。』

と言っていた。

「んー・・・。それにしても暑いなぁ。」

ホウエン地方は温暖な地域にあるため、夏はとても蒸し暑い。

「このアイスのおかげで生き返るな・・・。」


「そうだね、ぼくにも一口頂戴。」

「え?」

振り向くと懐かしい匂いがした。

1年前と変わらない笑顔。少し伸びた背。何もかもがあの人だった。

「か、カエデ・・!」

私はずっと会いたかった人の名前を呼ぶ。

「ただいま。」

「な、なんで?!帰ってくるなら連絡してよ!」

「ごめんごめん。サキを驚かせたくって。」

「え、あ、え、えぇ?ほんとにカエデ?」

「うん。」

「ほ、ホントにカエデなのね・・!」

「そうだよ。」

しばらくカエデの顔を見つめる。何一つ変わっていない、強いて言うなら背が伸びたカエデだった。

「・・・・おかえりなさい。」

そう言うとカエデはニッコリと微笑んだ。

「うん。ただいま。」

しばらく沈黙が続く。やがてカエデは私の隣に座った。

「ホウエン地方久しぶりだなぁ・・・。あったかいね。」

「カロス地方は寒いの?」

「うん。ホウエンより北にあるからね。」

「そっか。」

「どう?チャンピオンとしての生活は。」

「忙しいけど楽しいよ。」

「そっか。僕も頑張らなきゃな・・・。そうだ。」

カエデはポンと手を打った。

「なに?」

「ポケモンバトルしない?」

「え?」

「久しぶりにサキと戦いたいな・・・なんて・・・。」

「・・・!!いいよ!もちろん!」

念のためいつもポケットにはモンスターボールを入れている。

私たちは公園のバトルコートに移動する。

「久しぶりのバトルね」

私は麦わら帽子を取る。

公園にいた人々が集まってくるのが分かった。

「お願い・・・サーナイト!」

「やっぱりサーナイトだよね・・。僕はエルレイド!」

一年ぶりのバトル。胸がどきどきしてきた。






私たちは大人になっても変わらない。

いつまでも、私たちの物語は続いていく。

あなたとなら、どんな物語でも作っていけるような気がする。

「サキ?どうしたの?」

「ううん。なんでもない。・・・サーナイト、サイコキネシス!」




ねぇ、カエデ。私と出会ってくれてありがとう。私と旅に出てくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう。

私の物語は終わらない。

あなたとなら・・・・きっと明日も。














~一憶分の一 fin~










~作者後書き~
こんにちは!射手座の住民です!
とりあえず、「一憶分の一」完結です!!
連載を開始したのは2016年の10月ごろ。気が付けば1年と3か月ほど経ちました。
正直言ってここまで続けられたのは読了報告、感想、観覧数、お気に入り登録と1ミリのやる気でした。時々よく読まれている連載小説に一億分の一が入っていたり、感想をいただいたりすると喜びの舞を踊ってました。
ここで「一億分の一」は終わりになりますが、サキとカエデの冒険はまだまだ続きます。ぜひ温かい目で見守ってあげてください。
因みにもう次のストーリーを少し考えてます。(恐らく次はサキちゃんとカエデが主役ではなさそうですが)
次はとある夫婦の双子の子供ちゃんがメインになるかと思います。

最後になりますが、こうやって自分の小説を見ていただけるようなサイトに出会えたこと、とても感謝しております。そして、ここまで読んでいた頂いた皆様。こんな小説を読んでくださってありがとうございました!またどこかでお会いしましょう!

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