第18話 ジムリーダーの作戦、サキの迷い

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~サキのトーク~
(カエデ)今日は僕目線でストーリーが進んでいくよ(セイラ)サキさん、大丈夫ですか?(サキ)・・・・・・。




私には考えていることがあった。フウさんと姉の事だ。

実を言うと私の姉である、カレンとフウさんはよく似ている。

顔が似ているというのもあるが、髪の色がとても似ている。

私のお父さんもお母さんもそして私も髪は水色なんかじゃない。

さっきまでお姉ちゃんの髪の色は突然変異なんかじゃないのかって思ってた。

だけど、フウさんと出会って、フウさんの過去を聞くと、少しお母さんの過去に似ているものが合った。

私のお母さんも昔、別の人と結婚していて昔の旦那さんから暴力を受けていたそうだ。

もしかすると、もしかしたら・・・・・・。








「・・キ、サキ、起きて。」

「ん、ん~?」

「サキ、もう起きて。今日のジム戦間に合わなくなるよ。」

「ふぁあ。サクラ、今何時?」

「もう8時30分だよ。ほら、着替えて。私先に下にいるからね。」

「セイラちゃんは?」

「もう下にいるよ。」

「ふぁい。」

どうやら寝坊してしまったようだ。

「ん~?」

眠る直前まで考えていたことを思い出し、どうしても険しい顔になってしまう。

「ま、違うよね。あくまでも想像だし・・・。さてと。朝ごはん~朝ごはん~」









~カエデside~

「おはよー。」

「おはよー。じゃないよ。もう後30分で出発だよ?!」

サキが起きてきた。サキが寝坊するのは珍しい。それにサキの目の下にはクマができている。

「サキ、よく寝たのかい?」

「ふぇ?よく寝たけど?」

「目の下黒くなってるぞ。」

「あれ~?おかしいな・・・。」

サキはそう言いつつ眠そうな目をこすりながら朝ごはんを食べ始めた。

僕はすでに食べ終わっているので、みんなに一声かけてから自分が泊まっている部屋に戻った。

今日はジム戦だ。なんせ2つも先のヒワマキジムのジムリーダーも来ている。きっと強いはずだから気を引き締めていかないといけない。

コンコンコン

「あ、はい。」

「カエデー。サキもご飯食べ終わって支度してるからそろそろ来てー。」

「分かった。」

僕はリュックを背負い、部屋を出る。


「お待たせ。」

「待ってないですよ。」

「それじゃ、行こうか。」

「うん。」

「やあ!君たち。」

ポケモンセンターを出たところでヒノさんとフウさんはすでにポケモンセンターの前で待っていた。

「ヒノ先輩、フウ先輩、おはようございます。」

「おはよーっ!今日はジム戦だね。楽しみにしてる?サキちゃん。」

「え、あ、はい。楽しみですよ。」

「サキ、お前、クマ出来てるぞ。平気か?」

「え、平気ですよ。あはは。」

「あははって。ジム戦の前の日にはきちんと眠ることが重要なんだ。」

「えー。そうなんですか?私昨日寝ましたよ?」

「本当か?」

「はい。」

「まあ、それならいいな。」

「よーっし。それじゃあ、僕も準備して来ようかな。」

「お前、まだ準備していなかったのか?」

「うん。フウしたの?」

「もちろんだ。」

「や、やば。じゃ、じゃあ先にジムにいるね。」

「はーい。それじゃあまた後で!」

「全く。あいつも準備くらいしておけよ。」

「ま、まあまあ。先輩、落ち着いてください。」

「あ、もうすぐ着くんじゃない?」

「ここかぁ。」

「また『広ーーい!!!』なんて叫ぶんじゃないぞ?」

「あ、はい。」

ガチャ

少し重たいドアを僕は開き、少し先に立っているヒノさんを見る。

「ようこそ。ジム戦へ。」

ヒノさんはいつもと違い、やはりジムリーダーらしい風格を見せていた。

「それでは、挑戦者はそちらに。観客の皆様はあちらのお席にお座りください。」

「サキ?」

「・・・っえ!?」

先ほどからサキがボーっとしている。

「大丈夫か?」

「あ、へ、平気だよ。」

「そっか。」

「それではただいまより、ジムリーダー、ヒノ&フウVS挑戦者サキ&カエデの試合を始めます。両者、ポケモンを出してください。」

「僕の相棒はバシャーモなんだ。行けっ!バシャーモ!」

「フワライド、行ってこい。」

「バシャーモなら、サーナイト、よろしく!」

「オオスバメ、行ってこい!」


「ルールはジムリーダーの使用ポケモンはそれぞれ2体ずつ、挑戦者の使用ポケモンも2体ずつ。それでは、ポケモンバトル、スタートです!」

「こっちから!バシャーモ、オオスバメに火炎放射!」

「フワライド、サーナイトにシャドーボール。」

「オオスバメ、バシャーモに燕返し!」

「・・・・!サーナイト、逃げて!」

しかし、サーナイトに指示が届く前にシャドーボールが当たってしまう。

「サキ!」

「あ、ごめん。」

「バシャーモ、オオスバメにもう一回火炎放射!」

「サーナイト、バシャーモにサイコキネシス!」

「オオスバメ、バシャーモに近づくな。フワライドにエアスラッシュ!」

「フワライド、ちいさくなる。」

サーナイトの攻撃がみごとバシャーモに命中するが、バシャーモは傷1つ負っていない。

「な、なんで?!」

「バシャーモ、オオスバメにローキックだ!」

「オオスバメ、バシャーモにブレイブバードでぶつかれ!」

「フワライド、ちいさくなる。」

「させない!サーナイト、フワライドにムーンフォース!」

オオスバメはバシャーモと衝突したが、バシャーモは予想よりも全然傷を負っていない。

「僕のバシャーモはタフだからね。」

「な、なんでだ?」

「フワライド、もう1回ちいさくなる。」

「サーナイトの攻撃が当たらないっ!」

「オオスバメ、バシャーモにエアスラッシュ!」

「バシャーモ、見切り。」

「フワライド、たくわえる。」

「サーナイト、フワライドの周りにどんどんテレポートして、見失わせて!」

サーナイトがテレポートをはじめ、フワライドはきょろきょろと辺りを見渡す。

「サーナイト、後ろから10万ボルト!」

「バシャーモ、フワライドを守れ、火炎放射!」

「させない!オオスバメ、横からブレイブバード!」

フワライドに攻撃しようとしたサーナイトはバシャーモの攻撃を受け吹っ飛ぶ。しかし、バシャーモにオオスバメのブレイブバードがヒットし、バシャーモも吹っ飛ぶ。

だが、オオスバメもそれなりのダメージを負って戦闘不能になってしまう。

「オオスバメ戦闘不能!バシャーモ、フワライドの勝利!」

「お疲れ。オオスバメ。戻って。さあ。次はキルリアだ!行ってこい!」

「へえ。噂通りほんとに色違いなんだね。バシャーモ、つじぎり!」

「・・・・・・。」

「サキ、何ボーっとしてるんだい?キルリア、チャームボイス!」

「フワライド、シャドーボールだ。」

「サキ、逃げろ!」

「・・・。あっ!」

しかし、時すでに遅し。サーナイトにシャドーボールが当たってしまう。

「サーナイト戦闘不能!バシャーモ、フワライドの勝利!」

「・・・。ごめん。サーナイト。代わりに行って来て、ハスブレロ。」

「ハスブレロかあ。相性悪いな・・・。なーんてね。バシャーモ、ローキック!」

「フワライド、俺たちはキルリアを倒す。シャドーボ―ルだ。」

「キルリア、逃げることに専念しろ!」

「フワライド、シャドーボールの連発はできるか?」

フワライドは小さくうなずいた後、シャドーボ―ルを乱発してくる。

「ハスブレロ、キルリアを守るのよ!目覚めるパワー@電気!」

「フワライド!・・・・。だ!」

ハスブレロの技が命中し、フワライドは倒れてしまう。しかし、ハスブレロも同様に倒れてしまった。

「フワライド、ハスブレロ、共に戦闘不能!」

「どうして・・・?」

「フワライドは次倒れることはなんとなくわかっていた。だから道連れをさせてもらった。」

「・・・。」

サキは昨日の疲れからか、もしくは倒れたショックか何かで倒れてしまった。

「さ、サキさん!」

観客席で見ていたセイラとサクラが急いでサキのところに走って介抱する。

「大丈夫か?!」

フウさんも走ってサキを抱える。

「さ、サキ・・・。」

「あらら。倒れちゃったけどバトルはどうするかい?」

「・・・。」

僕は悔しみながら言った。

「この勝負・・・。降参します。」

僕は下唇をぎゅっと噛んだ。







~サキside~

私の意識が途切れる直前、ヒノさんが不気味に笑っていた。

「・・・・・。はっ。ここは?」

目が覚める。

「サキ、大丈夫?ここはポケモンセンターの病室だよ。」

ベッドから体を起こすとフウさんとセイラちゃんとサクラが心配そうに私を見ていた。

「あ、ごめんなさい。」

「いや、無理するな。お前は倒れたのだからしばらくはじっとしていないと。」

「は、はい。」

「あ、じゃあ私、カエデさんにサキさんの意識が戻った事報告してきます。」

「あ、私も行くよ!」

セイラちゃんとサクラは病室を出て行った。

「サキ、今日はどうしたんだ?なにか考えてることがあるなら教えてくれ。」

フウさんは真剣な瞳で見つめてくる。

私は、私が今日1日中考えていた質問をフウさんにぶつけてみる。

「フウさん、単刀直入に伺います。あなたのお母さんと私の母親は同一人物ですよね?」

「・・・。どういう事だ?」

室内はシン・・と静まり返っている。

「私、ずっと思っていたんです。私には姉がいるのですが、その姉の髪の色は水色なんです。私の父親も母親も髪は水色なんかじゃありません。しかし、あなたは水色ですね?」

「・・・。それがお前の母さんと俺の母さんが同じという理由にはならないが?」

「次です。私の姉とあなたはとても似ています。それに私の母親は以前、結婚していたが夫の暴力に耐えかねず家を飛び出したと言っていました。これはあなたに似ていますよね?あなたのお父さんも暴力をふるっていると。」

「・・・・・・。」

「私の姉の髪の色は、最初は突然変異なのではないかと思っていました。ですが、昨日、あなたと出会って変わりました。あなたのお父さんの髪は水色ですよね?」

「・・・。よく分かったな。さすが俺の妹だ。」

「・・・・・・。」

「そう。俺の父親の髪の色は水色だ。それに兄に聞いたんだが、俺の弟は双子だった。もう一人は女だった。だが、母親は父親の暴力に耐えきれずもう一人の双子の赤ちゃんを連れて逃げた。その赤ちゃんがお前の姉、カレンってわけだな。」

「カレンの事をご存知ですか?」

「もちろんだ。俺の本当の家族だからな。だからお前と俺は異父姉妹になる。」

「異父姉妹・・・。」

「よく分かったな。」

「ありがとうございます。これでスッキリしました。」

「良かったな。そうだ。俺からも2つ言っておくことがある。」

「そろそろ面会時間終了ですよ。」

「はい。分かった。単刀直入に言う。1つ目はカエデはこのバトルを降参した。そしてもう1つは、ヒノの使っていたバシャーモ、あのバシャーモはバシャーモじゃない。」

「え?」

「・・・じゃあな。」

フウさんは病室から出ていってしまう。

「バシャーモは、バシャーモじゃない・・・?」

私のつぶやきが病室に響き渡った。





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