72話 情熱

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 臆病そうな見た目に反して、大胆でいて力強いプレイングだ。
 俺のバトル場にはギャラドス130/130。ベンチにはヤジロン50/50と炎エネルギーが一枚、水エネルギーが二枚ついたコモルー80/80。残りのサイドは五枚。
 対戦相手の井上心大のバトル場は超、ワープエネルギーとワザマシンTS-1が二つ、ワザマシンTS-2が三つついたポリゴンZ120/120、ベンチにはユクシー70/70、アグノム70/70、超エネルギーとワザマシンTS-1がついているポリゴン50/50、そして超エネルギーのついたムクホークFB LV.X100/100。そして残りのサイドカードは俺より一枚少ない四枚となっている。
 ベンチの充実具合でも俺の方が劣っている。そして井上には常にサポーターカードを供給できるムクホークFB LV.X、140ダメージを叩き出すことのできるポリゴンZと難敵が揃っている。
「俺のターン。サポーターのミズキの検索を使う」
 手札のスージーの抽選をデッキに戻してボーマンダをサーチする。今回の俺のデッキのエースはギャラドスだけでなく、ボーマンダとの二大エースだ。
「炎エネルギーをコモルーにつけてボーマンダに進化させる」
 大型ドラゴンのボーマンダ140/140がベンチに現れ、雄叫びをあげる。迫力のあまり井上は少し体を震わせた。
「ギャラドスでポリゴンZを攻撃。リベンジテール!」
 先ほどはコイキングが二匹しかトラッシュにいなかったが今は三匹いる。よって与えるダメージは30×3=90。ポリゴンZのHPも半分を切り30/120。
 90や140という大台ダメージが序盤から飛びまくっている。ここまで乱打戦になるとは戦う前の井上の印象を見ると予想だにしてなかった。
「俺はターンエンドだ」
「それじゃあ僕のターン。ムクホークFB LV.Xのファーストコールでデッキからミズキの検索を手札に加えて効果発動。僕は手札を一枚戻してポリゴン2をデッキから加え、ポリゴンを進化させます」
 角ばったポリゴンのフォルムが白い光に包まれながら丸みを帯び、ポリゴン270/70に進化してゆく。
「ポリゴン2のダウンロードでオーキド博士の訪問を選択。ポリゴン2のポケパワー、ダウンロードは手札のサポーターをトラッシュする効果でその効果を得ることが出来る。僕は三枚ドローして一枚デッキボトムに戻します」
 一ターンにサポーター二枚を使って自分の場を出来るだけ綺麗に整えていくこの素早さが井上の戦法だろうか。そしてポリゴンZの熱暴走の恐ろしい威力で相手の場が立つ前に倒しきるみたいだ。
「ムクホークFB LV.Xに超エネルギーをつけ、ポリゴン2にワザマシンTS-2を一枚つけて攻撃します。ポリゴンZで熱暴走!」
 熱を帯びて真っ赤に染まりゆくポリゴンZが溜めていた熱を四方八方に飛ばしていく。異常な熱気に包まれただろうギャラドスのHPはみるみる削られて0。
 熱暴走の威力は基本ダメージ40に、ポリゴンZがつけているワザマシンの数×20ダメージ増えていく。今ポリゴンZにはワザマシンが五つあるので、40+20×5=140ダメージ、130しかHPのないギャラドスはあっさり倒れるしかない。
 しかしこれで問題はない。むしろ十分良いほどに事が運んでいる。
「ボーマンダをバトル場に出そう」
「サイドを一枚引いてターンエンドです」
「よし、俺のターン!」
 引いたカードはミズキの検索。いいところに来たもんだ。
「サポーターカード、ミズキの検索を使わせてもらう。俺は手札を一枚デッキに戻してネンドール(80/80)を手札に加え、ベンチのヤジロンをそれに進化させる」
 今の手札は二枚。ネンドールのポケパワーであるコスモパワーをめいいっぱい使うにはベストな状態だが、ここでもう一枚だけ使わせてもらおう。
「俺は手札の水エネルギーをボーマンダにつけてからネンドールのコスモパワーを発動だ。手札を一枚戻し、六枚に手札がなるようドロー。俺の手札は一枚戻したことによって0。よって六枚ドローだ」
 井上には火力だけでなく速攻性でも完全に後れを取っている。俺のポケモンは残り二匹だけで、サイドも井上は残り三枚しかない。
 しかしそれでも井上には弱点があった。
「手札からタツベイ(50/50)をベンチに出し、エムリット(70/70)をベンチに出す。更にこの瞬間、エムリットのポケパワーが発動する。サイコバインド!」
 井上の場の全てのポケモンの周りに一匹に対しそれぞれ二つの紫色の輪っかが現れる。しかしそれらの輪っかは何をするでもなく井上のポケモンの周りを舞っているだけだ。
「このポケパワーはエムリットをベンチに手札から出した時に使えるもの。次の相手の番、相手プレイヤーはポケパワーを使う事ができなくなる」
 これはムクホークFB LV.Xとポリゴン2のシナジーを抑えるためのモノ。これ以上都合勝手にはさせない。
「そしてボーマンダで直撃攻撃!」
 ボーマンダが勢いよく体一つでポリゴンZに猛スピードで突進していく。飛行機にはねられたかのような強力な一撃がポリゴンZを簡単に吹き飛ばした。
 もちろん吹き飛ばしたのはポリゴンZの体だけではなく、HPもだ。直撃は相手の弱点、抵抗力、ワザの効果に無関係に50ダメージを与えるワザ。残りHP30のポリゴンZは50ダメージを受け0、気絶だ。
 ただしこれはただの気絶よりも強力な意味合いを持つ。ポリゴンZ以外にも進化前、ついているエネルギーもそうだが何よりワザマシンもトラッシュされること。
 ワザマシンは一度トラッシュに行ってしまえば墓地から回収することは困難極まりない。つまりこれ以上今ベンチにいるポリゴン2にワザマシンが新たにつけられる可能性が極めて低いのだ。
 このポリゴンZを倒したことで井上のポケモンの火力は全体的にダウンする。現に井上の表情は早くも曇っていた。
「ポリゴン2をバトル場に出します……」
「俺もサイドを引かせてもらおう。ターンエンドだ」
「僕のターン」
 井上のターンが始まると同時に井上の場の全てのポケモンが、先ほど現れた二つの紫色の輪っかに絞めつけられる。これで相手のポケパワーは封じられた。
「僕は、ポリゴン2をポリゴンZ(120/120)に進化させてサイクロンエネルギーをポリゴンZにつけ、その効果を発動します」
 サイクロンエネルギーがポリゴンZにつけた刹那、ボーマンダの足元から竜巻が現れてベンチに強制的に飛ばされてしまった。
「サイクロンエネルギーは無色エネルギー一個ぶんとして働き、このカードを手札からバトルポケモンにつけたとき、相手のバトルポケモンをベンチポケモンと入れ替えさせる。入れ替えるポケモンは相手が選びます」
 まだ自分で選べるだけいくらかマシだろう。
「エムリットをバトル場に出そう」
「サポーター、クロツグの貢献を発動します。その効果でトラッシュのポケモン、基本エネルギーを合計五枚までデッキに戻せるので僕は超エネルギー、アンノーンG、ポリゴン、ポリゴン2、ポリゴンZを選択します」
 五枚トラッシュから回収することで少なくなったデッキを補ったのだろう。
「ポリゴンZで熱暴走攻撃!」
 今ポリゴンZについているワザマシンの数は三つ。よって与えるダメージは40+20×3=100、エムリットの最大HP70を上回る一撃になる。
 一匹目のポリゴンZが倒されたら倒されたですぐに戦法を変えてくるところは評価できる。
 倒されたエムリットの代わりに再びボーマンダをバトル場に出した。
「サイドを一枚引いてターンエンドです」
 ターンエンドと同時に井上のポケモンを縛り付けていた二つの紫の輪っかは消滅していく。
「俺のターンだ。ドロー!」
 すでに井上のサイドは残り二枚。しかし焦ることはない、戦術は既に整っている。
「グッズカード、不思議なアメを手札から発動。ベンチのタツベイをボーマンダ(140/140)へと進化させ炎エネルギーをつける! ネンドールにポケモンの道具、ベンチシールドもつけよう」
 ベンチシールドはこのポケモンがベンチにいる限りワザによるダメージを守るもの。井上のポケモンでそういう攻撃を仕掛けるポケモンは今のところ見当たらないが念には念を、だ。
「コスモパワーを発動し、手札を二枚デッキの底に戻す。そして六枚ドローだ。ミズキの検索を使う。手札を一枚戻しレジアイスを手札に加える。そしてボーマンダで攻撃を仕掛けよう。水エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」
 バトル場のボーマンダが大きく地面を踏みならすとベンチにいるムクホークFB LV.Xの足元から強力な水柱が現れてムクホークFB LV.Xに強力なダメージを与える。
「ベンチにっ!?」
「ドラゴンフィニッシュは攻撃前に水エネルギー二枚または炎エネルギー二枚をトラッシュしなければならない厄介なワザだ。だがトラッシュするエネルギーによってワザの効果が変わる面白いワザでもある。そして水エネルギーを二枚トラッシュした場合、相手のベンチポケモン一匹に100ダメージを与える」
 水柱が無くなり、高く飛ばされていたムクホークFB LV.X0/100が力なく落ちてゆく。
「これでサポーターを自由に供給できなくなったな。サイドを一枚引いてターンエンド」
 サイドは俺が残り三枚、井上が残り二枚。そろそろバトルも最終段階というところか。
「僕のターン。ハマナのリサーチを発動。デッキからポリゴン、超エネルギーを手札に加えてベンチにポリゴン50/50を出して超エネルギーをつけます。ここでバトル場のポリゴンZをポリゴンZLV.Xにレベルアップ!」
 ここでレベルアップか。だがしかしポリゴンZLV.X130/130には新たに攻撃ワザがなく、その代わりポケパワーが二つあるだけだ。
 しかもそのうちのポケパワーの一つ、モードクラッシュはレベルアップさせたときに使え、相手の場の特殊エネルギーをトラッシュするもの。俺の場には特殊エネルギーなど一枚もない。
「ポリゴンZLV.Xのポケパワー、デコードを発動します。自分のターンに一度だけ使え、自分の山札の好きなカードを二枚選び出しデッキをシャッフル。そののち選んだカードを好きな順にして山札の上に戻します。最後にポリゴンZLV.X熱暴走攻撃!」
 レベルアップしたからとはいえワザの威力は変わらない。100ダメージは非常に強力な一撃だがHP140のボーマンダを倒すには足りない。
「俺のターン。バトル場のボーマンダに水エネルギーをつけ、スージーの抽選を発動。手札の不思議なアメを二枚トラッシュして四枚ドロー。ボーマンダの炎エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」
 先ほどとは違い、ボーマンダの口から灼熱の炎が放たれバトル場のポリゴンZLV.Xを焼き尽くす。
 炎エネルギーを二枚トラッシュしたドラゴンフィニッシュは、相手のバトルポケモンに対し100ダメージを与えるもの。ポリゴンZに比べると同じダメージでもいささか効率の悪いように見えるかもしれない。
 しかしそれも今のうちは、だ。ポリゴンZLV.Xの残りHPは30/130。あと一歩というところにまで体力を減らせば十分だ。
「……、心を、心を強く!」
 井上は胸に手をあて深く深呼吸をする。最後に両手で両頬をパチンと叩くと落ち着いた眼差しで場を睨んでいた。
「僕のターン。手札からハンサムの訪問を使います。その効果でまず相手の手札を確認できる」
 自分の手札のカードを井上に見せる。手札は七枚あるが、特にこれといった特徴のない手札である。ハンサムの捜査はこの後自分か相手を選択して選択されたプレイヤーは手札を全てデッキに戻しシャッフル、その後五枚までドロー出来る。井上は自分を選択して新たにカードをドローした。
「ベンチにいるポリゴンをポリゴン2(70/70)に進化させてポリゴン2のダウンロードを発動! 手札のハマナのリサーチをトラッシュし、デッキから超エネルギーとユクシーを手札に加えます。そして超エネルギーをポリゴン2につけ、ポリゴンZLV.Xで熱暴走攻撃!」
 100ダメージの攻撃がボーマンダに止めを刺す。俺の次のポケモンは引き続きベンチに控えていたボーマンダだが、井上はボーマンダを倒したことによってサイドを一枚ドロー。よって残りのサイドが一枚となった。
「よし」
 井上は胸に手を当て一息ついた。終盤に来てサイド差二枚はひっくりかえせまいと思っているからか。
「……。俺のターンだ! 手札の水エネルギーをボーマンダにつけてサポーターのクロツグの貢献を発動。トラッシュの水エネルギー二枚、炎エネルギー一枚とコイキング、ギャラドスをデッキに戻しシャッフルする。そしてボーマンダでポリゴンZLV.Xに直撃攻撃!」
 弾丸のようなスピードでボーマンダがポリゴンZLV.Xに突撃する。固定50ダメージは残りHP30のポリゴンZLV.Xを確実に気絶させた。
「くっ! 僕はポリゴン2をバトル場に出します!」
「サイドを一枚引いてターンエンド」
 六、七、八。ジャストだな。PCCのレギュレーションでポリゴンZにつけれるワザマシンは八枚。そしてトラッシュに送ってやったワザマシンは八枚だ。これで完全に井上の攻めの芽を完全に摘んだ。
 井上の攻撃パターンは基本的にポリゴンZの熱暴走のみ。他のポケモンは全てそれにおいてのアシスト。
 そしてエネルギーもサイクロン、ワープエネルギーを組んでいるところからみていち早く相手のポケモンを倒すことをモットーとしている。
 熱暴走の火力を上げるワザマシンは何度も言っているがサルベージの方法がごくわずかなので、ポリゴンZが倒されると同時にトラッシュされると熱暴走の元の威力40から火力を上げれずただの平凡な、むしろ二進化にしては虚弱なポケモンでしかない。
 よってワザマシンが無くなる前に、いわゆる「殺られる前に殺る」戦法の相手にはその剣を叩き折ってしまえばいい。ワザマシンが切れた井上はもはや恐れるに足らず、だ。
「こ、……」
 井上が弱弱しく右手を挙げながら震える声で発する。
「こ?」
「降参し───」
「ふざけるなァ!」
 降参しかけた井上に対し、俺はバトルテーブルを右手で強く叩きつけ大きく一喝する。周りが一瞬で静まり返ったように思える。
「お前がこのPCCに賭けている情熱はその程度なのか? お前はそんな生半可な気持ちで今ここにいるのか?」
 驚きと困惑が交差している井上は上げかけていた右手を下ろす。だがしかし、井上のリアクションはそれだけで、特に何も言い返しそうにないので勝手に続けることにした。
「勝ったものには負けたものの気持ちを受け継ぐ義務がある。お前がこのPCC二回戦に勝ち進むまでに倒した相手は四人だ。四人分の気持ちをお前は背負っているんだ。勝ちたかった、もっと上へ進みたかった。お前が倒した相手は皆が皆そう思っていただろう。そして倒した相手はお前に自分のぶんまで戦ってほしいと想いを託したはずだ! なのにお前のそのザマはなんだ! 自分が少し不利になったからといって降参? そんな態度でお前に敗れたヤツらは喜ぶのか? 喜ぶわけがないだろ!」
「ぼ、僕は……」
「降参するのも自由だ。諦めずに戦いを続けるのも自由だ。だが、その想いを背負わず捨てたりすることは許さん。それを背負った上でせめて自分の真っすぐな気持ちをプレイにぶつけてみろ!」
「……。僕の、ターン!」
 再び井上の目に強い闘志が蘇った。
 あのまま降参させれば俺が勝っていた? そんなのでは満足しない。去年の九月、翔と出会うまではポケモンカードがこんなに熱いものとは知らなかった。楽しいのは楽しいがただただ単純に勝利を求めるだけの俺に、それ以外の良さを教えてくれた翔のように。俺も全ての感情をぶつけあう、そういう熱い勝負がしたいのだ。今の井上のように。
「ポリゴン2をポリゴンZ(120/120)に進化させてサポーターカードを発動。マイのお願い! 自分のトラッシュから名前の違うトレーナーのカードを二枚選び相手プレイヤーに見せて、そのうち一枚を相手が選択。そして選択されたカードを手札に加え残りをトラッシュする! 僕はワザマシンTS-1、ワザマシンTS-2を選択!」
「なるほど、どっちにしろワザマシンしか選ばせないというわけか。TS-1を選択する」
「僕はワザマシンTS-1をポリゴンZにつけて熱暴走攻撃!」
 40+20×1=60のダメージ。ボーマンダの豊富なHPが幸いして80/140と半分以上余している。
 だが油断は一切出来ない。次のターンにもう一度マイのお願いを使われてワザマシンをつければ80ダメージを食らうことになる。そうすればこちらが終わりだ。それを未然に防ぐには……。
「俺のターン! こいつをボーマンダにつけよう。達人の帯! 達人の帯をつけたポケモンは最大HP、そして与えるワザのダメージが20足される!」
 もちろんデメリットとして達人の帯をつけたポケモンが気絶した場合相手はサイドを余計一枚多く引ける。しかし残りサイド一枚の井上には無関係なデメリット。そしてボーマンダのHPは100/140。強化された熱暴走が来ても問題はない。
「ボーマンダに炎エネルギーをつけ、ハマナのリサーチを使ってデッキから水エネルギーとクロバットGを手札に加える。そしてクロバットGをベンチに出してワープポイントを発動!」
 バトル場にいるボーマンダとポリゴンZの足元に青い渦が現れて二匹を飲み込んでしまう。
「ワープポイントは互いにバトル場とベンチのポケモンを入れ替えさせるグッズカードだ。俺はベンチに出したばかりのクロバットGをバトル場にだす」
「僕はユクシーをバトル場に」
「クロバットGを逃がして(クロバットGの逃げるエネルギーはなし)ボーマンダを再びバトル場に戻す。ユクシーに直撃攻撃!」
 激しい一撃がユクシー70/70に襲いかかる。ボーマンダに突き飛ばされたユクシーのHPは50+20(達人の帯)=70のダメージを受けて尽きる。
「直撃は全ての効果に関係ないんじゃあ!」
「それは『相手の効果』限定だ。ボーマンダ自身の変化は普通に受け付けるぞ」
「なっ……! ぼ、僕はポリゴンZをバトル場に出します!」
「サイドを一枚引いてターンエンド。これで共に残り一枚ずつ、だ」
 残り一枚ずつとはいえどダメージを受けているボーマンダを抱えてるこちらが分が悪い。達人の帯でHP20強化したとはいえ向こうも達人の帯とワザマシンをつけてしまえばHP100は簡単に吹き飛んでしまう。
「僕のターン! マイのお願いを発動。ワザマシンTS-1、TS-2を選択」
「TS-1を選んでもらう」
「そのワザマシンTS-1をポリゴンZにつけて熱暴走攻撃!」
 これで熱暴走の威力は40+20×2=80となる。ギリギリのところでボーマンダ20/160が踏みとどまった結果だ。
 井上は額の汗をぬぐう。ボーマンダを倒しきれなかったのだが、その顔は先ほどのおどおどした表情と違ってむしろこの勝負自体を楽しんでいた。
「行くぞ! 俺のターン。俺の全てを、情熱を見せてやる! ボーマンダに水エネルギーをつける。そして炎エネルギーを二枚トラッシュしてドラゴンフィニッシュ!」
 達人の帯も相まって100+20=120のダメージを与える超火力の炎がボーマンダからポリゴンZめがけて放射される。
 炎のエフェクトの向こう側にいた井上も、俺が最後のサイドを引くまでこの勝負の中で一番の表情をしていた。



風見「今日のキーカードはボーマンダだ。
   バトル場もベンチも、どこにだって攻撃できる。
   これこそが圧倒的な力だ!」

ボーマンダLv.62 HP140 無 (DP3)
無無  ちょくげき 50
 このワザは、相手の弱点・抵抗力・すべての効果に関係なく、ダメージを与える。
炎炎水水  ドラゴンフィニッシュ
 自分の炎の基本エネルギーを2枚、または、水の基本エネルギーを2枚トラッシュ。炎をトラッシュしたなら、相手に100ダメージ。水をトラッシュしたなら、相手のベンチポケモン1匹に、100ダメージ。(トラッシュできないなら、このワザは失敗)
弱点 無+30 抵抗力 闘-20  にげる 3

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