14話 風見杯予選! 翔VSM[ムービー]ポケモン(前)

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:6分
「ありがとうございましたー」
「ありがとうございました……」
 これで四勝。負けはない。あと一勝すれば決勝進出サクサクだ。
 次の試合のコールはまだないのでとりあえずデッキ調整をしよう。
 今日はデッキを二つと、予備のカードを少しばかし持ってきた。主にトレーナーカードをいじるためだ。
 デッキを組む時はこれで完璧と思っていても、いざ使ってみると使えそうなカードが邪魔になったりと言うことがカードゲームにはよくある。その点ドロー支援のカードは万能だ。という持論。
「おっす翔、そっちはどうだ?」
 恭介が声をかけてきた。
「四勝の負けなし。リーチかかった感じ」
「俺はまだ三勝無敗だわ。一歩遅いなー」
『エントリー番号38と97は試合会場14番に集合してください』
「おっと、それじゃあ後でな」
「おう! 負けんなよ?」
「決勝会場で会おうぜ」
 恭介は自分の試合のために急ぎ足で去って行った。
 この大会にはうちの借金返済がかかっている。本来はもっとプレッシャーがあっていいはずなんだが、なんだかやってることがポケモンカードなのでそういうものがまるで感じられない。
 これはこれでいいのかもしれないが複雑な心境だ。
『エントリー番号36と15は試合会場3番に集合してください』
 俺にもお呼びがかかったようだ。さっさと行ってサクッと勝とう。



 この大会と公式大会の異なる点を挙げれば、いろんな都道府県の人が参加できることと、当日参加可能と、なにより子供と大人が混ざって戦うところだ。
 普通、実力差があるため子供と大人は部門別で分かれているのだが、この風見杯は子供も大人も同じ土俵に立つ。
 勝って優勝というよりも大会に出るということがメインのヤツと当たると悪いが楽に勝たせてもらえる。
 実際俺の目の前の相手は小学生。楽に決勝に進めそうだ。
「よろしくお願いします」
 互いに挨拶を交わし、順番を決めてデッキをシャッフル。カードを引いてたねポケモンをセット。互いにセットしたポケモンを同時にオープンして試合が始まる。
 俺の最初のバトルポケモンはノコッチ60/60、ベンチポケモンはヒトカゲ60/60。
 一方相手の小学生はバトルポケモンはギザみみピチューM30/30、ベンチポケモンはミミロルM50/50。
「M(ムービー)デッキねぇ……」
 ファンデッキだなこりゃ。瞬殺とまでは行かないがこれは楽だな。
「僕のターン。えっと、ギザみみピチューMに雷エネルギーをつけてともだちパーティー発動! 山札から好きだけMとついたポケモンをベンチに出せる!」
 ギザみみピチューがおいでおいでしてる。
「ピカチュウM(60/60)とニャースM(50/50)、ポッチャマM(60/60)とパルキアM(90/90)をベンチに出します」
 一気にベンチが埋まる。この辺はプレイングが甘い。この後にいいポケモンが手札に考えたときのケアがまるでない。とはいえギザみみピチューのHPが低いためすぐに場が一つ減るという点はあるのだが。
「ドロー! ヒトカゲに炎エネルギーをつけてノコッチのへびどりを発動。カードを一枚引いて終わりだ」
「僕の番だね。カードを引いて、スタジアムカード、ミチーナ神殿を発動!」
 3D投影機によって対戦相手の男の子の背後に映画で観たあのミチーナ神殿が現れる。思ったよりも大きい神殿で、それは見るものを圧巻させるほどだ。
「さらにトレーナーカードの命の宝玉を発動! デッキからエネルギーカードを五つまで選択して手札に加える。僕は水エネルギーを三枚、雷エネルギーを二枚手札に加えます。その後五回コイントスをして表の回数だけMと名のついたカードにエネルギーをつけることができる」
「なっ」
 なんていう速攻プレイ。しかし相手の山札はすでに十一枚。下手にサーチしすぎるとあっという間に山札が無くなるぞ……。
 ところで、この間風見と戦ったときよりこの3Dなんたらマシンは進化している。どの点が進化しているかというと、コイントス機能がついたことだ。
 デッキを置くところの傍にあるボタン一つを押すと自動的にコイントスを行ってくれる。イカサマコイントスを使ったコイントスをされることもなく非常に公平なシステムだ。
 ウラ、オモテ、オモテ、ウラ、オモテ。つまり相手の男の子は三枚までエネルギーをつけれる。
「パルキアMに水エネルギーを二枚、雷エネルギーを一枚つけます。そしてパルキアMに水エネルギーをつけます。ギザみみピチューMの雷エネルギーをトラッシュして逃がし、パルキアMを新たにバトルポケモンにします」
 これは弱ったな。水タイプのカードを出されるのは困る。炎デッキの俺には鬼門となる。
「パルキアMの攻撃! 一刀両断。コイントスをして表ならベンチポケモンにもダメージを与える」
 ウラ。かろうじてヒトカゲは無事だった。パルキアMがノコッチに向かって右手を振り下ろす。重低音と共に、モニターのノコッチ10/60にはダメージカウンターが五つ乗った。
 ムービーデッキを侮ってました。いやはやヤバいぞ、これは思ったよりも強い。どう対応していこう。



翔「今日のキーカードは命の宝玉!
  Mと名のついたポケモンにエネルギーをたくさんつけれるぜ!

命の宝玉 トレーナーカード (オリジナル)
 自分の山札から基本エネルギーを5枚まで選択し、開いてプレイヤーに見せてから手札に加える。その後、山札を切る。さらに、5回コイントスをし、表の数だけ自分の「名前にM[ムービー]がつくポケモン」に基本エネルギーをつける。

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想