夢の抜けた後は

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:3分
毎日ハロウィン企画:7日目のお話
 ヨノワールはあることに悩んでいた。最近魂の戻りが悪いという嘆きをよく聞かされているからだった。たくさん魂を戻したら、少しは気も晴れるだろうか。ああでもないこうでもないと作戦を立て、あるポケモンたちに協力を依頼するのだった。

それから数日後。協力してくれたポケモンたちの合図を頼りに、ヨノワールはサマヨールとヨマワルを連れて、約束していた場所へ向かった。しばらく待っていると、カボチャ頭の子供達が、列を成してぞろぞろやってきた。虚ろに歌を口ずさみながら、ヨノワールたちの前でばたりばたりと倒れ、山のように積もっていく。さいみんじゅつであやつられているうちに、甘い夢をからっぽになるまで吸い尽くされた子供の山は、かなりの高さまで積み上がった。街一つ分くらいの数は集まっているだろう。ヨノワールは山を崩すように子供たちの体に手を突っ込んで、息をするように魂を抜いていく。

抜いた後の身体はサマヨールがすっぽり吸い込んで、ヨマワルは抜け出た魂たちと戯れているのだった。やがて魂の群れが出来上がり、三匹は羊飼いのように魂を移動させていく。月明かりさえない夜を、紅い目と魂の色彩だけが横切っていく。取り逃がしのないように、遅れている魂はヨマワルがぺちぺち叩いて前に進ませている。

魂を連れて、ポケモンさえ近寄らないような崩れた洞窟へ入る。入り口などなくともすり抜けてしまえば、なんということはない。奥の淀んだ泉にサマヨールが入れてきた子供達の身体を浮かべると、飲み込まれるように沈んでいく。これから長い時間をかけて骨と肉がわかれ、またこの世に戻るその日まで、水底で眠らせておくのだ。

ヨノワールは洞窟の壁を塞ぐように置かれた大岩を渾身の力で横にずらし、ぽっかりと空いた穴に魂を送り込んでいく。最後の一つが送られると、ヨマワルはパタパタと手を振って見送るのだった。じゃあね、また会う日まで。ヨノワールが再度岩で封をして、三匹は外へ出た。暗闇の中に、誰かが喜ぶような声を上げたような気配を感じるのだった

きょうのおはなしは、これでおしまい

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想