お茶会を開こう

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ある日のこと。カゲボウズ、ムウマ、小さいバケッチャとボクレーがお茶会をしたいと言い出しました。ムウマージやユキメノコがやっているのをみて、自分たちもやってみたくなったようです。

そんなちびっこゴーストポケモンたちの願いを叶えるために、デスカーンは一肌脱いでやることにしました。お茶会の作法レッスンの始まりです。

まずはしっかり身だしなみを整えること。お客様をお迎えするわけですから、失礼があってはいけません。埃や塵を払い落し、ぼさぼさの毛をブラッシングします。

次に誰を呼ぶのか決めます。今回はカゲボウズの知り合いのピッピと、ボクレーのお花友達のスボミー、ナゾノクサを呼ぶことになり、それぞれに招待状を書きます。
「つぎのまんげつのよる、おちゃかいをひらきますのでおこしください」
紫蝋で封をしたら、ヤミカラス特別便で運んでもらいます。

お茶会までに覚えなければいけないことはたくさんあります 食器の並べ方、お話の聞き方、技の披露会があるのならばそれにむけての練習もします。 ちびっこたちが覚えるには多い情報量ですが、立派なゴーストポケモンになるには学ばなければならないことです。

満月の前の夜。お茶会に出すお菓子の材料集めに出かけます。 主に呼ぶお客様の好きな味の木の実ですが、隠し味の「幸せな夢」や「楽しい記憶」も必要です。町へ繰り出してカゲボウズに記憶を、ムウマに夢をそれぞれ取りに行かせます。

小さいバケッチャとボクレーには木の実を集めさせ、材料が揃ったら帰ります。 でもでも終わりじゃありません。本番に向けてマナーの復習をします あっちこっちへ行かされ四匹ともへとへとですが、その瞳はなんだかキラキラ輝いているように見えます。

当日は黄昏時から大忙し。
ちびっこ四匹はデスカーンに教えてもらったことを思い出し、テーブルを飾り付け食器を並べ、玄関先を綺麗にお掃除。デスカーンは何も言わず見守っています。

きちんと準備が出来たことを確認すると、デスカーンはキッチンに入ります。 ここからはデスカーンの戦場、四本腕をキッチンを飛ぶような速さでフル稼働。スポンジケーキを焼いていたと思ったら、生クリームを泡立てていたと思ったら、木の実を洗って切っていたと思ったら、もう飾りつけをしています。

ちびっこたちがお茶会を成功させられますように。お客様が喜んでもらえますように。願いを込めて作業にいそしむデスカーンの顔つきは真剣そのもの。まるで鬼のよう。最後に甘い夢をパウダーにして振りかけたら、お茶会の定番ショートケーキの完成です。

お菓子に合う紅茶を淹れる頃、お客様がやってきました。四匹ともわくわくのどきどきです。上手くお話できるかな?

お客様は素敵な洋館の内装にうっとり。椅子に座って、最近あったことや怪しい噂話をします。カゲボウズは口をはさみたいのをグッとこらえて、頷いて話を聞いています。ムウマもナゾノクサの揺れる葉っぱを引っ張りたいのを我慢して、ニコニコ笑顔でお話をします。

お話が盛り上がってきたところでデスカーンがケーキと紅茶を持ってきました。
小さいバケッチャはむしゃっと食べてしまいたい気持ちを抑え、お客様が口を付けてから食べ、ボクレーもがっつきたい気持ちを振り払い、おしとやかに食べます。デスカーンはよしよしと深く頷いています。

お話も楽しく進み、お皿とカップが空になった頃。それじゃあとピッピが立ち上がりました。今夜は素晴らしいお茶会をありがとうと、本来であるならば月に捧げるダンスをナゾノクサと一緒に踊り、スボミーは感謝の花を花冠にしてプレゼントしてくれました。

お客様が帰り玄関扉がピッタリ閉じると、四匹はお茶会の成功を喜びはしゃいだ後疲れたようにぐったりその場にへたり込んでしまいました。 よく出来た。偉いぞとデスカーンは四匹を優しく撫で、そのまま腕で掴んでベッドに連れていくのでした。

きょうのおはなしは、これでおしまい

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