想い出の葬列

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ぱんぱかぱんぱん 仲良しパンプジン4匹
今日も夜道をてくてく とことこ
道の向こうにチラチラ灯りが見える
なんだろなんだろ 行ってみよう

うきうきわくわく近寄ると、黒い葬列ずらずらり
黒布を頭から尻尾の先まで被った参列者たちは、誰の顔も見えやしない。ただ黙々と道を往く

やぁやぁみんなでどこいくの
小さいパンプジンが尋ねると、葬列は動きをはたと止める。パンプジン達を見た葬列の主が嬉しそうに近づいてきて言う。
これはこれは。君たちはお屋敷のパンプジン達じゃあないか。ちょうどいいところで出会った。この葬列に花を添えておくれよ、歌って踊るポケモンがいないんだ。

そんならお安い御用さと、パンプジン達はくるくるぴょんぴょん跳ねまわる。不気味で月のない夜を祝うような歌を連れて、葬列はまた動き出し前へ前へ進んでく。

物言わぬ葬列はどんどん進む。橋の下、公園、物流センター、小川のほとり、炭鉱、住宅街、美術館、鉱山、立体駐車場、オフィス街。共通点なんでどこにあるのだろう。いろんなところをぐるぐる巡る。
最後に来たのは湖で、葬列は皆手に花を持って水面に浮かべては戻っていく。

パンプジン達も葬列が持ってきた緑色のバケツから、一つ一つガラスのような透明で薄い花を持って、水面に浮かべてく。これは思い出の葬列。楽しかったこと、悲しかったこと、交わした約束、他愛もない会話の切れ端を、ありがとうとさようならで送る。

全てを流し終えると、パンプジン達はお気に入りの草花や木で作った楽器を取り出して、演奏しながら歌い出す。歌に合わせて葬列の黒い布がヒラヒラと舞い踊り、水に溶けて消えていく想い出の死を祝う。 皆で歌おうさよならの歌 過ぎ去りし日を道連れに いつかどこかでまた会おう

演奏が終わる頃には葬列は跡形もなく消え、花も溶けいつもと変わらぬ姿の湖を、パンプジン達はぼんやり眺めているのだった。

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