episode6━5 敵対勢力について

※作品によって表示に時間がかかります
読了時間目安:11分
「ガイラル!無事か?」
「ガブリアスか。忙しいのに来てくれたのか…サンキュな」

戦いの後、事後処理を進めていたガイラル達の元に、ガブリアスと数名のポケモンが駆け付けた。ガブリアスは辺りの戦闘の跡を見て、ガイラルを心配する。

「そんなこと気にするな。それで…何があった…?」
「…順を追って説明するよ」

ガイラルは、先程の戦いの内容を話し始める。

………

「ブラストは殺されてしまった、が…ディザスタメンバーの一人を倒したのか。素直に喜べないが…よくやったな、ガイラル達」
「まぁ、な。ルカリオ達も一人を倒したそうだし、少しずつだがディザスタにダメージを与えてる。…絶対に見付け出す。好き勝手にはさせねぇ」

ガイラルは決意を抱き、空を睨む。ガブリアスは息を吸い、話を始めた。

「…もう一つ、良い情報がある。ベルセルクが、ディザスタメンバーのしたっぱから話を聞き出したそうだ。…一つは、ディザスタの構成員についてだ」

そう話した後、辺りを見て息をつく。

「…場所を代えようか、ガイラル。マニューラとコジョンドもついでだ。三人共、支部長室に行こう。…竜の兵団!後始末を任せてもいいか?」

ガブリアスは自身が連れてきた兵士達に命令し、即座に兵士達は散らばっていった。

………

四人は支部長室へ着き、コジョンドの提案でレェリも連れてきた。クンツォについての話もしたかったからだ。
ガブリアスは椅子に深く腰掛け、口を開く。

「よし。では話そう。ベルセルクが聞き出した情報は、主にディザスタの構成員についてだ。まずは、こちらの予想通り…メンバーの殆どが元神の支配者だ。アルセウスとジャロス連合の戦いの最中、何人もの兵士が消えていたからな。いわば、残党だ」
「そして…大量のアンノウン。流石にアンノウンをどう作成しているのかまではしたっぱには聞かされてなかった為、解らなかったがな。…重要なのはここからだ」

ガブリアスは息を吸い、いくつかのホログラムデータを浮かび上がらせた。

「…ディザスタの最高戦力についても把握できた。…ルカリオ達が倒した、『エルオル・キルショット』。単身で数々のポケモンを殺している、強力な傭兵だ。サーナイトが特性を使わずを得なかった程、強敵だったらしいな。そして、『ボスゴドラ・エギン』。元神の支配者幹部補佐。俺も存在は知っていたが、高い実力とは裏腹に、目立たない奴だった。故に、出身や過去については何も分からない。ベルセルクやアーリアも同じくな」

浮かんでいるエルオルのデータとボスゴドラのデータを消し、更に続けた。

「次に、『アンバル・シア・ナイト』元ミラウェルの神兵。実力は俺達が良く知っている為、厄介な相手だな。同様に、こちらの強さも把握されているだろう。ナイトも、同じく過去のデータは無い。話を知っていそうなラギは死んだからな。…その次は、『エンペルト』。元神の支配者幹部補佐。ボスゴドラと同じように、過去のデータは一切無い。ただ、知っての通り高い実力を持つ。…ガイラルは一度戦ったんだったな」
「ああ、かなり強かった。バトラーだったユキメノコに、致命傷を与えた張本人だしな」
「そうか…」

その時の事を思いだし、少しだけ暗い表情を浮かべるガイラルとガブリアス。
空気を変えるように、ガブリアスは大袈裟に咳をした。

「『カイリキー』。元神の支配者幹部補佐。バトラーのキリキザンとダーテング。そしてルカリオを合わせた三人で戦った事があるが、それでも五分五分だと。キリキザンの調子が悪かったとは言え、かなりの強敵だ。弟をコジョンドに殺された為、コジョンドを狙ってくる可能性が高い」

…最も、その弟も元神の支配者であったため、数々の悪事を働いてきた悪党だった。コジョンド曰く、自業自得だ。との事。

「そして、したっぱでも素顔を見たことがない二人がいるらしい。片方はリーダーだろう」
「…謎のポケモンが二人…か。片方はもう分かったようなもんだな。間違いなく、アイツだ。そして…リーダーだろうよ」
「やはりか、ガイラル。俺もそう思ったよ」
「だネ。数々の幹部補佐に加え、神の支配者の兵士を束ねる事の出来るポケモンなんて、元幹部の奴しかいない」

ガイラルはその名前を口に出す。

「…『ゴウカザル』。途中で幹部になった実力者。油断していたとはいえ、俺とバクフーン。そしてクチートに痛手を与えた強敵だ。サーナイトが撃退したが…その日から姿を眩ませている。野心の強い男だ…負けたままでは済まないだろうな」
「そうね、ガイラル。ディザスタを率いてるのはゴウカザルで決まりだと思う。…だとしたら、もう1人は?」

マニューラの言葉に、全員が長考を始める。そして、レェリが発言した。

「…元幹部だという、オノノクスは?消去法で言えば、一番可能性がある」
「それは、断じて無い!」

すると、ガブリアスが声を荒げて批判した。怒声の余韻で、辺りが静寂に包まれた。

「…すまない。オノノクスは君の友人で、罪滅ぼしのために旅をしているんだったな。可能性の話とは言え、無神経だった」
「あ、いや…こちらこそすまない。元幹部であるオノノクスを疑うのも、可笑しな話ではなかったな。大声を出して申し訳ない」
「ふぅ、ビビったぜ。ガブリアスよ、誰も本気でオノノクスを疑ってはいねぇよ」
「そうだな…重ねて謝罪するよ」

…オノノクス。元幹部であり、ガブリアスとは旧知の仲。自身がやってきた罪を償うため、今は旅をしている。
当然、もう二度と悪事は働かないだろう。

「…とりあえず、もう1人のポケモンについては置いておこう。その前に、コジョンドとレェリ。クンツォというポケモンについて、話してくれるか?」
「はいよ」
「ああ」

ガブリアスに言われ、コジョンドとレェリが話を始めた。

「レェリは、僕達と同じく僕の父親の弟子だった。一人前の職人になるまで皆一緒に暮らしてたんだ」
「…ただ、思想が少し危険な女だった」
「危険…?」

レェリの言葉に、ガイラルが反応する。

「俺達武器職人、そして商人は…基本的に要望があれば作るし売る。でも、好みは当然別れていた。俺ならば、客を選ぶ。俺が作った武器を、悪人に使われたくはないからだ」
「僕は客に任せるスタンスね。武器は使われてこそ価値がある。どういう使われ方をするかは分からないけど、埃被って倉庫で眠る武器なんて見たくないんだ」
「…なら、クンツォとやらは?」

更にガイラルが追及し、レェリが答えた。

「…実験、だ。奴は、自身が作った武器をポケモンを選ばずに売り、試すんだ。しかも、使用者が死亡してしまうほどのリスクを伴う武器であろうと…な」
「流石の僕でもリスクがある武器なら、ちゃんと購入者に説明をするよ。クンツォはそれをせず、購入者が死亡しても気にしない。逆に、更に危険性のある武器をまた作る。クンツォにとって武器は実験の道具。リスクの大きさは強さの大きさ。自分の作った武器はどれ程の威力が出せるのか…それだけがクンツォにとっての楽しみなんだろうネ」

コジョンドは呆れた様に話す。ガブリアスが苦い顔をしながら更に聞いた。

「そんな奴を、コジョンドの親父さんやお前達は止めなかったのか?話を聞く以上、危険人物に他ならないが…」
「親父は基本、弟子のやり方に口を出さないよ。僕の事だってまともに子育てしなかったらしいし、ネグレクトというかなんというか…」
「俺達は勿論、止めようとしたさ。だが、奴は止めなかった。そして、いつの間にか姿を眩ませた。…今や、ディザスタ専属の武器職人にまで落ちぶれたとはな」

レェリは何処か悲しげな顔で、俯いていた。

………

話が一段落し、コジョンドとレェリはマテリア開発室へと向かうため席を外した。もっと改良出来ないか、技術者に相談するためらしい。

「ディザスタ。奴等の目的は知らないが…俺達をなめているのか?」
「?どういう事さ、ガイラル」

苛ついてそう話すガイラルに、マニューラが尋ねた。

「戦力の話だよ。俺達、神殺しに加えてミラウェルの強力な兵士。それに対するディザスタの戦力は神の支配者の残党…数はともかく、戦力としては低い。アンノウンを従えているにしても、総当たりの戦いになればこちらが有利。アンノウンを殺すためのミラウェルがあるからな。そして、最高戦力の幹部や幹部補佐…確かに強敵だが、もう既に二人も倒せた。一人に対し神殺しが四人はいれば、まず勝てるだろう」
「宣戦布告をしておいて、本当に勝てると思ってんのか?と思うほどこちらが有利な戦力だ。…ガブリアスはどう思うよ」
「そうだな…」

ガブリアスは目を瞑って少し考えた後、答えた。

「…切り札、か?それだけで戦況をひっくり返すような、強力な一手が。それこそが、奴等の目的なのかもしれない」
「切り札…成る程、どんなに逆境でも、勝てるという切り札。それがあるからこそ大胆に動けるのかもな…」

ガブリアスは頷き、再び長考を始めていた…。


前に戻るもくじ次へ進む

読了報告

 読了報告及び評価をするにはログインが必要です。

感想フォーム

 この小説は感想を受け付けていますが、感想を書くにはログインをしている必要があります。

 そのため、感想を書くにはアカウントを所有している必要があります。

感想

 この小説には感想がついていません。