この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
ちょい遅くなりました
そして!今回は前作のあのキャラが…!?
…知らない人はごめんなさい。そのうちちょっとした説明を入れます。
その後、村長が手配した宿に向かい、いつものミーティングを終えた。
今回はヴォルフが倒した事もあり、ミーティングは短時間で終了した。そのまま、部屋に行き三人は寝床に着いた。
明日、ヴォルフの答えを聞き、それ次第で任務は終了だ。
就寝する前に、ルトは一人で考えを纏めていた。…唐突にシルフィを狙った、アンノウンについてだ。
「(…知能のあるアンノウン…か。奴等は生物じゃない。かといって機械でもない。…一体何なんだ…。奴等を倒しても手に入る情報はコアの成分のみ。埒が明かないな…)」
ルトは寝返りをうち、側に置いてあるマテリアを見詰めた。
「(…上層部の方々は目星がついているのだろうか。…俺らが在中するミラウェル、エルディム支部のリーダー『ガイラル』神兵。その人なら…何かを掴んでいる…?)」
ガイラル。神殺しのリーダー格の一人であり、アルセウスを撃破した張本人。そして、アンノウンの存在を深く知る者。
「(この村にテレポートポイントを付けて貰えるように提案をする、その時に会えたなら聞いてみたいな。…いかん…眠気が…)」
ルトは考えを全て纏めれずに、深い眠りについた。
………
翌朝。早朝にて下の階にあるロビーへ降りてきたルトは、受付の近くにある椅子に腰掛けた。
時間は7時手前。流石に早すぎたか…とルトは心の中で息をついた。
そうこうしていると、玄関口から二人の影が射した。ヴォルフとシルフィだった。
「…早いな、ヴォルフ。シルフィも」
「ああ。…お前だけなのか?残りの二人は?」
「多分、二人はまだ寝てるだろう」
「…そう、か」
ヴォルフは視線を宙に走らせながら、呟くように返事を返す。
「…答えは出たか?」
「…まぁ、な。…お前らが揃ったら話す。…それより、シルフィ!ほれ」
ヴォルフは唐突に、シルフィを前へ押した。シルフィはもじもじとしながら、ルトを見た。
「その…た、助けてくれてありがとう…。まだ、ちゃんと礼を言ってなかったから…」
「え?あー…。気にすることはないよ。兵士なんだからさ」
「…兵士、ね」
シルフィは照れくさそうにヴォルフの背後に回った。
そして、ヴォルフはルトになにやら疑問を抱いたようだ。
「ん?それがどうしたんだ」
「…付き合いなんてねぇがよ、お前…やたら兵士であることを強調するよな。何故だ?」
「…何故?何故、か…」
その質問の意図がわからず、ルトは俯く。
「強調なんてしてるつもりはないけど…俺は、兵士は正しい事をして当たり前だと思ってる。誰かを守ることは当たり前で、守れなかった事は恥だ。よくシャルに極端だな、と言われるけどな」
ルトは微笑しながらそう答えた。ヴォルフは少しだけ苦い表情をしていたが、フッと笑った。
「…フン。なるほどな。鬱陶しいくらいに真っ直ぐな奴だな、お前」
「う、鬱陶しいは無いだろ…。お前だって、正しいと思ったからこそ、マテリアを持ってたんだろうに」
ルトにそう言われ、ヴォルフは頷いた。
「…違いない。…そろそろ、二人を起こしてこいよ」
「…そうだな。起こしてくる」
………
ルトが起こしに行った時には、二人共起きていた。
旨を伝えると、急いで支度して下の階へ降りてきた。
全員が揃ったところで、ヴォルフは少しだけ息を吸い込み
「…俺達は、ミラウェルに入ることにした」
「…!」
と答えた。その答えに、ルト達は笑顔になる。
「ありがとう。ヴォルフ達が入ってくれるなら、心強い」
「…シルフィさんは心強くないのでは?」
「…ちょっと黙ってろバカ」
「むぐぐ…」
ルトの後ろで軽口を叩いていたミリアンの口をシャルが抑える。ミリアンはモゴモゴ言いながら悶えていた。
「…とりあえずミラウェルの説明は置いといて…ヴォルフ。まだ聞きたいことがあるんだ」
「聞きたいこと?ああ…マテリアの入手先か?」
「ああ」
ルトの質問に、ヴォルフはすぐに答えていく。
「武器商人から貰った…は知ってるか」
「そこまではわかる。ただ、マテリアを所持できる武器商人なんて俺たちには分からないんだ。ミラウェル専属なら、ミラウェル内でその話が広がるしな」
「なるほどな。確かにアイツは不思議な奴だった…。俺の顔を見ていきなり、こう言ったんだ
『君、マテリア欲しいの?』…ってよ」
ヴォルフの話は、なんとも不思議な内容だった。
フラリと村に二人連れで現れて、宿に一晩泊まり、翌日ヴォルフにマテリアを無償で渡した。
最初は、マテリアの偽物を売り付けたのかと考えた。…だが、金目当てですらない上に、アンノウンを殺せる物が偽物な筈がない。
ルトは、最も気になったことを聞いた。…そう。その武器商人の名前だ。
「名前は確か…そう、『コジョンド』って言ってた。見た目もコジョンド族だったから、変わった名前だなって思った記憶がある」
「…コ…!?」
ヴォルフから告げられた名前に、ルト達は驚愕して言葉を失った。
コジョンド。マテリアに詳しいとかそういうレベルじゃねぇ…!マテリアを作り出した張本人だ!
「そ、そのコジョンドは何処に行った!?」
「あ、ああ…いつの間にかこの村から出ていった。…なんだ?そんなに有名な奴なのか?」
ヴォルフはルト達の態度に驚き、コジョンドの事を訪ねた。
「コジョンドってのは、マテリアを作り出した産みの親だ。アンノウンコアを武器として運用しようなんて狂気じみた発想が出来る武器職人なんざ…後にも先にもこの人しかいないって言われるほどのな」
「…!そ、そんな奴がこの村に…!?…そうだ、確かこんなことも言ってた。
『近くに来たし、ガイラルにも挨拶しとこうかな』…って連れのポケモンと話をしていたんだ」
またしてもルカリオ達は固まった。
今度は、エルディム (今いる大陸)支部ミラウェルの支部長の名前だ。
「…てことはよ、ルト。今…ガイラルさんのとこにコジョンドがいるってことか…?」
「あ、ああ…そうなるな」
「…いやはや、なんだか面白い事になってきましたね…」
ルト達3人は苦笑いを浮かべながらボソボソと小さな声で話す。
痺れを切らしたヴォルフが、少しだけ声を荒げた。
「おい!そいつらがどんな奴らなのかしらねぇが…今は俺達の話だろ」
「あ、ああ…。すまん。…それじゃ、話を戻すぞーーーー
………
それから、ヴォルフ達にミラウェルでの任務のことや設備のこと。…非戦闘員であるシルフィをどう活躍させるかなどだ。
シルフィの件については…一つ宛がある。シャルだけは苦い顔をしていたが…背に腹は変えられない。
「…とりあえずこんなところか。他にはいいか?」
「…よーく分かった。後は俺が判断する」
「判断はいいが…間違っても暴力沙汰起こすんじゃないぞ。ミラウェルのことが嫌いなのは仕方無いとしても、ミラウェルに入るんだから多少は我慢してくれよ」
ルトは戒めるようにそう言い、ヴォルフは不満げな顔のまま頷いた。
「…さて、それじゃ…上層部の所に行くぞ。ガイラルさんがいればいいが」
ルト達は集まり、下山の準備を始めた。
………
「よう。久しいな、マニューラにコジョンド。今はこの辺をブラブラしてんだって?」
広く落ち着きのない白い部屋で、一匹のポケモンは派手な椅子に座る。そして、コジョンド族の男性を見ながらそう言った。
「うん、そうだよ。色々回ったけど…この大陸は中々良いところだネ」
「ちょっと、遊びでやってんじゃないでしょコジョンド」
「わかってるよーマニューラ」
マニューラと呼ばれたマニューラ族の女性に言われ、コジョンドはケラケラと笑った。
すると突然、椅子に座っていた男は立ち上がり、コジョンド達を強く見詰めた。
「…どうだった?」
その質問に、コジョンドは溜め息をつく。
「…あんまり良い成果は無いね。ただ…道中で珍しいアンノウンに会ったくらいか。…そのアンノウンは…『喋ってた』んだよ。片言だったけどね」
その答えに男は驚く。
「喋ってた…!?知能が無いとされるアンノウンが、か…。ありがとう、十分な情報だよ。こっちからレプテルア支部の『アーリア』に情報を伝えておく。…あっちも、何か情報を掴んだかもしれないしな」
「だネ。…それじゃ僕達はしばらくこの支部にいることにするよ、『ガイラル』。またあとで」
「じゃね!ガイラル」
「ああ!またな、二人共」
コジョンドとマニューラは殺風景な部屋から出ていき、ガイラルは再び椅子に座った。
「…言葉を話すアンノウン…か。…嫌な予感しかしねーな」
ガイラルは深く息を吐き、電話機に手を掛けた。
ーーガイラル。
ーーエルディム支部、支部長。階級『神兵』
ーーエルディム支部内タイムアタックランキング一位。
ーー最高タイム、『0,1秒』
・ミラウェルの隊員は、志願や応募、もしくはスカウトで増える。
スカウトの場合は、訓練期間を飛ばして兵士になることが多い。ただし、スカウトをすることが可能なのは中級兵士以上の兵士のみ。