本文冒頭
「エーフィ」
ご主人様が私の名前を呼ぶ。私が「なあに?」とY字にわかれた藤色の尻尾を振ると、ご主人様は少し眉間にシワを寄せた。
「そうやってずっとまとわりつかれていると、キュウコンの体調確認ができない。悪いが少し離れてくれ」
言葉に少なからずの棘を感じた私は、これ以上機嫌を悪くする前にと渋々ご主人様の傍を離れる。私が離れたことで明らかに嬉しそうな顔になったご主人様は、駆け足で銀色のキツネ……キュウコンの方へと向かってしまった。
キュウコンは普通の色違いとは違う色の目を細め、ご主人様が来るのを露骨に嫌がっている。でも、ご主人様はキュウ
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