21-始まりの島で

作者:円山翔

本文冒頭






「明朝、日が昇らないうちにこの島を出ます」
 最後のマジックショーの公演が終わった後、控室で荷物を片付けながらカオルは言った。相変わらず仮面で隠された顔からは、表情の一つも窺うことはできない。
【行先はキナリ島ですね】
 少し間をおいて、カオルのすぐそばで自分の荷物を鞄に詰めていたムメイがノートを見せた。生まれつき言葉を発することのできない彼にとって、ノートは大切な意思疎通の手段だった。
「ええ。博士にお借りしたミミロルをお返ししなければなりません。それに」<

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