先輩、後輩シリーズ

作者:ステイルさん

「あっちゃー、これはいよいよヤバイなぁ~」
私はひっそりと木陰にあつらえた小さなテーブルの上に置かれた白紙の名簿表に目通す。何度見ても真っ白な空欄が続くだけ。
「ヤバイなぁ~」
もう一度呟いて考えても仕方がないと腕を枕にして頭をテーブルに押し付けた。うっかり腕の中に閉じ込められた小さな電気蜘蛛を外に追い出しながら
「あの……」
頭の上に白い綿を乗せた新入生らしくオドオドした男が立っていた。これが私と後輩の馴れ初めだった。

私がまだ小さいころの記憶―――。
雲に私は乗っていた。それが忘れられないくらい気持ちよかったんだ……。
「さぁ、旅の準備はできた。早く入りたまえ」
「せ、先輩? 僕には何も見えな―――」
この時、僕はどうして登山部に入ったのかと本当に後悔した。

雲湧く夏の続編になります。
「夜中、ふらふらと大学を歩いているとね、誰もいない登山部の部室のね、テレビに赤い目が点いてるんだって!怖くない?」
8月9日、第二次世界大戦真っ只中、それは落とされた。そのお陰で戦争は終わりを迎えたが、あまりにも大きな犠牲を払うことになった……。
サンを観察してみた…。

「先輩、後輩シリーズ」になります。
「イヤホンの音」を読んでから読むことを推奨します。