星の夢

作者:586さん

同一の世界観で展開されるお話を時系列順に並べています。

「天野、部活やめたってさ」

1996年4月。四方を海に囲まれた島・榁(むろ)の中学校で、あるひとつの事件が起きた。ポケモン部の部長である天野佳織が、突然部活を辞めてしまったのだ。佳織の退部をきっかけに、平穏に見えていた皆の日常が少しずつ揺らいでいく。

佳織が部活を辞めた、その理由は。

※このお話は、朝井リョウ先生の小説「桐島、部活やめるってよ」に強い影響を受けています。
2013年の初夏。ヒワダタウンに住む中学三年生の少女・シズは、兄のツクシから突然「来年から、ヒワダジムのジムリーダーになってほしい」と告げられる。いきなりのことに戸惑うシズ。そしてシズの双子の妹であるスズ、シズとスズの幼馴染であるリョウタもまた、各々に複雑な感情を抱いていた。「自分にジムリーダーとしての器があるのか」――苦悩するシズが、最後に辿り着いた答えとは。
小学生のかよ子は内気でひかえめな性格の女の子。そんなかよ子が「生き物係」として、学校で飼っているポケモンの面倒を見ることになってしまった。不安になりながらやってきた飼育小屋にいたのは一羽のアチャモ。ところがこのアチャモ、とんでもないやんちゃ坊主だったのだ……!
とある理由で故郷のムロタウンをひとり飛び出した少女・瑠璃。行き着いた先の大都市トウキョシティで、彼女は「晴れ男」の少年・陽介と出会う。瑠璃と陽介、そしてひょんなことから知り合った女性・清音の三人が、雨の降りやまないトウキョシティを股にかけた冒険を繰り広げる。

――私たちは、気まぐれな空の下で生きている。
慕っていたおじいちゃんを亡くしてふさぎ込んでいた少女・ナツ。気持ちの整理が付かないまま日々を過ごしていると、おじいちゃんが使っていた一冊のノートを発見する。そこには見たこともないポケモンがいくつも描かれていて、見知らぬ地の言葉が記されていて。

目にしたこともないほど美しい――「雪の女神」が描かれていた。
榁で暮らす瑞穂は、海の見える喫茶店「ペリドット」を一人で切り盛りしている。家には妹の沙絵と、居候しているアブソルのシラセがいる。お祭りのような時間を経て、今は夕凪のような穏やかな日々を重ねるばかり。ペリドットでコーヒーを淹れて、商店街でお惣菜を買って、家で沙絵とご飯を囲んで。

けれどこの夏、また少し、海がざわつき始める。

これは――海が凪ぐまでの、ひと夏の物語。
関東地方のベッドタウン・紫苑市。ここに暮らすサチコは、自分には手に入らないものを欲しがるばかりの鬱屈した生活を送っていた。そんなサチコには、ネネというちょっと足りない友人がいる。サチコとネネと、周りの人々。凸凹だけど、平穏な毎日が続いていく……

――そういうわけには、いかないみたいで。


※このお話は、阿部共実先生の漫画作品「ちーちゃんはちょっと足りない」から着想を得ています。
大人しい小夏と腕白な優真。どこをとっても正反対の二人は、幼馴染だけどお互いを苦手としている。一緒にいるってだけでもまっぴらごめん、ましてや二人で協力して何かをするなんて、どちらも考えもしなかった。

――夏休みが始まったあの日、二人が海を訪れるまでは。
四方を海に囲まれた孤島の榁で暮らす少年・透は、ふとしたことをきっかけに同級生の少女・一海と知り合う。学校や海での交流を通して仲を深めたふたりは自然と惹かれ合い、お互いを特別な存在だと感じるようになってゆく。

――二人の前に広がるのは、終わることのない永遠の青 [パーマネント・ブルー]。
ジャージ姿の陸上少女が出会ったのは、どこまでもマイペースなホウセンカだった。星が瞬く空の下、夜の公園で二人が小一時間ほど繰り広げる、泡沫の夢のような心の交流の物語。
エーテル財団の支援を得て、遠く離れたパルデア地方の名門校であるグレープアカデミーへ留学した少女・川村優美。ところが、彼女は突如として行方を眩ましてしまう。叔母の清音は身を案じ、消えた優美の足取りを追う。そこで清音が見たものは、そして優美の失踪に隠された真実とは。「ハートのたまご」から四年後の世界を描いた新しい物語。

――ウソつき [phony] のオトナに、《ネバーランド》は見つからない。